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フランス欧州ビジネスニュース2025年6月23日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年6月23日(フリー)
新薬開発を加速する技術を持つ仏新興企業、オリア・バイオサイエンス

1.        仏エネルギー計画:再生可能エネルギー事業者からの警鐘

2.        ダッソー、宇宙分野への復帰を表明

3.        ドローン、軍用機、エアバスの受注:2025年パリ航空ショーの結果

4.        ポップマート:コレクターを熱狂させ、数十億ドルを稼ぐカワイイ帝国

5.        エアバス、エンジーに脱炭素化目標の達成を要請

6.        医療機器:欧州、中国メーカーを公共調達市場から排除

7.        多様化を目指し、フィンテック企業、通信業界に賭ける

8.        欧州AI法に対する文化界の懸念

9.        すべての製薬業界に影響を与えたい:オリア・バイオサイエンスの大胆な賭け


1.         仏エネルギー計画:再生可能エネルギー事業者からの警鐘


 
フランス再生可能エネルギー協会(SER)は、2024年6月19日に国民議会で審議されたエネルギー計画法案否決を国会議員に呼びかけた。この法案は、「エネルギーに対する無責任な法案」であり、フランスの再生可能エネルギー分野で働く16万人の雇用を脅かすものであると警鐘を鳴らしている。
法案には、新たな風力・太陽光発電設備の即時停止(モラトリアム)が盛り込まれており、これは共和党(LR)のジェローム・ニュリー議員の提案で、極右勢力の支持を受けて採択された。また、2020年に閉鎖されたフェッセンハイム原発の再稼働バイオ燃料の開発目標の廃止エネルギー効率化や建物の改修努力の後退なども含まれている。
産業・エネルギー大臣のマルク・フェラッチは、これらの決定を「無責任」と非難し、「再生可能エネルギー産業に対して壊滅的なメッセージを送るものだ」と懸念を表明した。
500社以上が加盟するSERは、この法案が今後10年以上にわたってフランスのエネルギーの将来を犠牲にすると指摘している。法案の第一読会での採決は翌週火曜日に予定されているが、成立には不透明感が残っている。


2.        ダッソー、宇宙分野への復帰を表明


ダッソー・アビエーションは、再使用型の小型宇宙機「Vortex」によって宇宙分野への復帰を目指している。このプロジェクトに対して、2024年6月20日にフランス国防省および欧州宇宙機関(ESA)との間で支援協定が署名された。
Vortexは、極超音速飛行大気圏再突入に関する重要技術の飛行実証を目的とし、3年以内の開発を目指している。将来的には、再使用可能な軌道輸送・探査機のファミリー展開が視野に入っている。
この構想は、1992年に中止されたHermes計画や、NASAのX-38ESAのIXV実証機など、過去の宇宙開発プロジェクトを想起させるものである。
ESAはこの計画を高く評価し、2040年までに月や火星への貨物輸送も視野に入れている。ESAはすでにSpace Rider(イタリア)やThales Alenia SpaceThe Exploration Companyとの連携により、2028年からの宇宙貨物機の運用を予定している。
航空技術と宇宙技術の融合点にあるVortexは、欧州の次世代宇宙航空機開発に道を開く存在となる可能性が高い。


3.        ドローン、軍用機、エアバスの受注:2025年パリ航空ショー

の結果

第55回ブルジェ航空ショーは、ドローン軍用機(エンブラエル、サーブ)、そしてエアバスの民間機の受注が中心となったが、ボーイングの不参加により例年よりも地味な結果となった。
エアバスは、143機の確定受注102機の購入意向を獲得し、総額は推定で200億ドルにのぼった。しかしこれは2023年の800機の注文を大きく下回る。長距離型のA35053機の新規注文を獲得し、小型のA22040機の受注を再開した。最大の発表はベトジェットによるA321を100機とするものであるが、まだ覚書の段階に留まっている。
また、2024年7月には、中国とEUの外交関係50周年を機に、200機超の大型契約が結ばれる可能性がある。
軍事分野では、エンブラエルのKC-390が新たにポルトガルリトアニアから注文を受け、欧州での導入国は7カ国となった。サーブのGlobalEyeは、フランスでの採用が近づいており、ダッソーのFalcon 10X案は排除された模様である。
このショーでは、戦闘用ドローンの展示が特に目立ち、Anduril、Destinus、Baykar、Leonardoなどが最新機を発表した。ポルトガルのTekever1億ユーロを投資しフランスに新工場を設立予定であり、Turgis & Gaillardは長時間飛行可能なドローンAarokの試験飛行を実施した。
さらに、サフランラファール戦闘機用の新型エンジン「M88 T-REX」を発表。9トンの推力を持ち、現行型より20%向上している。