日刊フランス欧州経済 2026年7月3日 (フリー)
1. 仏メデフ、財政健全化へ66の施策提案 企業負担避け公務員や年金改革を要求
2. 豪企業が仏のタングステン鉱山再開へ パリ証券取引所に重複上場
3. 新型原子炉の電力販売方法を巡り仏政府と欧州委が対立、秋の合意へ協議継続
4. ASNRが仏原発安全評価を発表、気候変動への対策と知見深化を要求
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6. 独自動車大手、歴史的危機で大規模な人員削減や工場閉鎖などコスト削減策を強化
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1. 仏メデフ、財政健全化へ66の施策提案 企業負担避け公務員や年金改革を要求
仏経済団体メデフのマルタン会長は、深刻な財政赤字の解消に向け、2027年からの大規模な財政健全化を提案した。企業への追加負担を避け、デジタル化による公務員効率化や年金改革などの支出削減を求めている。
メデフによる財政健全化提案の概要
フランスの経済団体メデフ(Medef)のパトリック・マルタン(Patrick Martin)会長は、国の深刻な財政赤字を解消するため、2027年からの大規模な財政健全化を提唱している。具体的には66の施策を通じて、翌年に330億ユーロ、2030年までに860億ユーロの公的赤字を削減する戦略を提示している。
提案の背景と企業の現状
企業の景況感にはPME(中小企業)の資金繰り悪化や失業率の上昇といった懸念信号が出ている。現在のフランスの公的支出はGDP(国内総生産)の57%に達しており、債務負担は無視できない水準である。しかし、2024年の解散総選挙以降、供給重視の政策が後退したことで企業の税負担は既に重くなっており、これ以上の負担増は投資や雇用の抑制につながるため、今回の削減案では企業への追加負担を避けている。
主な支出削減策
メデフは生産基盤を損なわずに持続的な成長条件を整えるため、以下の改革を求めている。
- 公務員の効率化: 諸外国と比較して高い一般行政管理費(支出)を削減するため、デジタル化やIA(人工知能)の活用、人口減少に合わせた公務員数の適正化による生産性向上を求める。未来への投資(見習い工制度やグリーン基金など)を削減すべきではないと主張する。
- 社会保障の抑制と年金改革: 当面の措置として社会保障給付の凍結(法定制度の不連動)を提案している。さらに、年金制度の財政均衡を維持するためには法定退職年齢を65歳に引き上げることが不可欠であるとしている。
政治・経済論戦への警鐘
左派が主張する富裕層への課税(ズックマン税など)は富を生み出さない「幻影的な解決策」であると批判し、重要なのは増税ではなく生産と雇用の拡大であると主張する。また、大統領選挙を控えた国内の政治論戦が、アメリカや中国の技術的覇権といった国際現実から乖離している点を問題視している。左派の分配偏重や連合右派(国民連合)の曖昧な経済・欧州政策を「素朴(ナイーブ)」であると切り捨て、政府が秋の予算審議で責任を果たせない場合は財政政令(オルドナンス)を用いてでも早期に改革を断行すべきであると訴えている。
2. 豪企業が仏のタングステン鉱山再開へ パリ証券取引所に重複上場
豪企業がアリエージュ県のサロー・タングステン鉱山再開に向け、パリ証券取引所に上場した。EU指定の重要原材料であるタングステンの欧州内調達を目指す。現在は初期段階であり、データ統合や調査が進められている。
オーストラリアの鉱物企業アポロ・ミネラルズは、フランスのアリエージュ県にあるサロー・タングステン鉱山の再開計画を進めており、2026年6月30日にパリの証券取引所ユーロネクスト・グロース・パリへ上場した。今回の重複上場は即座の資金調達を目的とするものではなく、欧州の資本市場で存在感を高め、重要原材料や供給安定化に関心を持つ欧州の投資家を惹きつけるためのショーケースと位置づけられている。
サロー鉱山は1971年から1986年まで操業され、世界で最も豊かなタングステン鉱山の一つとされる。タングステンは、産業用工具、航空宇宙、防衛、クリーンエネルギー移行技術に不可欠であり、欧州連合(EU)の重要原材料法(CRM法)において重要・戦略的原材料に指定されている。現在、世界のタングステン生産は中国が約82%と圧倒的なシェアを握っており、この再開計画は欧州内の依存度低減という政治的意味合いも持つ。
プロジェクトは未だ初期段階にあり、すぐに採掘が再開されるわけではない。同社は過去の900以上の掘削データなどを統合して3Dモデルを作成するなどの準備を進めており、数か月以内に地下へのアクセス許可を得て、環境影響の少ない掘削やサンプリング調査を開始する予定である。将来的には手続き簡素化や資金調達を有利にするため、CRM法に基づく優遇ステータスの申請も視野に入れている。