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日刊フランス欧州経済 2026年6月1日 (フリー)

日刊フランス欧州経済 2026年6月1日 (フリー)
イタリアの鉄鋼最大手マルチェガリア(Marcegaglia)は、フランスで50年以上ぶりとなる新しい電気炉と大型圧延機の建設を予定している

1.        仏投資サミット開催、累計1000億ユーロ突破へ ソフトバンクなど巨額投資

2.        BMWとミストラルAIが提携 衝突シミュレーション用AIを共同開発へ

3.        孫社長、仏大統領の熱意を評価 日米アジア集中から欧州へ投資転換

4.        SBGの仏データセンター誘致、安定投資の背景に電力供給と地理的優位性

5.        仏、優秀な人材と行政支援が呼び水に ソフトバンクのAI投資計画

6.        仏で電気炉新設、2028年までに鉄鋼生産210万トンに拡大

7.        仏シュナイダー、ダンケルクに新工場 ソフトバンクのデータセンター投資に対応

8.        仏セキュリティ企業MokN、GVなどから1500万ドルを調達

9.        仏初のEVバッテリー正極材工場が着工、中国企業との合弁で

10.   欧州、EVバッテリーの域内供給網構築へ上流シフト鮮明

11.   中国、農機輸出で世界2位に 電動化と低コスト武器に欧州へ攻勢


1.        仏投資サミット開催、累計1000億ユーロ突破へ ソフトバンクなど巨額投資

マクロン仏大統領主導の投資誘致サミットが開催され、ソフトバンクなどの巨額投資により累計額は千億ユーロを突破する。仏は電力や人材を強みに工場新設等を進めてきたが、製造業の停滞など再工業化への課題は多い。
 
マクロン仏大統領の2期目の任期内では最後となる、第9回「チューズ・フランス(Choose France)」投資誘致サミットがヴェルサイユ宮殿で開催される。政治的な不安定さや地政学的リスクにもかかわらず、世界中から約200人の経営者が集まり、フランスへの巨額の投資を表明する見込みである。
今回のサミットでは、日本のソフトバンクが2031年までにデータセンター建設などで最大750億ユーロを投資すると発表した。これにより、2018年のサミット開始以来の累計投資額は、象徴的な節目である1000億ユーロを突破する確実な情勢となった。投資の重点分野は多岐にわたり、人工知能(AI)やデータセンターのほか、ドイツのエネルギー企業による脱炭素エネルギー分野、イギリスの製薬大手による保健・医療分野、イタリア企業による食品分野への投資などが予定されている。フランスが投資先として選ばれる背景には、豊富な電力、優秀な人材、そして工場向けの用地確保といった強みがある。
フランスは2010年代半ばから、構造改革や「フランス2030」計画による公的支援、地政学的リスクに伴う地産地消の動きを背景に、工場の新設や雇用の創出を進めてきた。しかし、直近ではその勢いに減速も見られる。国内総生産(GDP)に占める製造業の割合は約11%で高止まりしており、自動車産業をはじめとする一部の分野は依然として苦境にある。累計投資額は大台を超えるものの、本格的な「再工業化」の実現に向けては、未だに多くの課題が残されている。


2.        BMWとミストラルAIが提携 衝突シミュレーション用AIを共同開発へ
 
BMWと仏ミストラルAIは複数年契約を結び、衝突シミュレーション分析特化型AIツールを共同開発する。独自データでLLMをカスタム化し、分析時間を10分の1に短縮、高品質な開発の迅速化を目指す。
 
ドイツの自動車大手BMWと、AI(人工知能)分野で注目を集めるフランスのスタートアップ企業ミストラルAI(Mistral AI)が提携を発表した。両社は数年間にわたる複数年契約を結び、自動車開発に不可欠な「衝突シミュレーション」の分析に特化したAIツールを共同開発する。
BMWは毎週数千回もの仮想衝突シミュレーションを行っており、膨大なデータが生成されている。従来は、エンジニアが多範疇のパラメータを精査して調整変数を特定し、再シミュレーションを行う必要があった。今回の提携では、ミストラルAIが持つ汎用的な大規模言語モデル(LLM)を、BMWが長年蓄積してきた独自のデータやエンジニアリングプロセスに適応させ、専門的かつ垂直統合されたカスタムモデルへと進化させる。
これにより、シミュレーションデータの分析と重要情報の抽出に要する時間は従来の10分の1に短縮される見込みである。さらに、AIが次のシミュレーションに向けた推奨事項を提示できるようになるため、より高品質なソリューションへ迅速に到達することが可能となる。
ミストラルAI側は、今回の開発を通じて自動車や半導体セクターの多数の企業と連携できる「卓越した拠点(センター・オブ・エクセレンス)」の構築を目指している。まずは難易度の高い衝突シミュレーションという具体的なユースケースから着手し、将来的にはさらなる領域へのパートナーシップ拡大を視野に入れている。