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日刊フランス欧州経済 2026年6月16日 (フリー)

日刊フランス欧州経済 2026年6月16日 (フリー)
Photo by Gabriel Goncalves / Unsplash

1.        エアバスがA320新組立ライン開設 CEOが欧州の競争力維持へ警告

2.        仏で再エネ送電網の接続停滞、配電大手のエネディスが変電所新設や制度変更で打開へ

3.        仏建設大手が競うロボット開発、人型や運搬用で目指す生産性向上と課題

4.        仏マーケットプレイスが業者の選別基準を強化、米中大手対抗と専門特化で明暗

5.        ルカン氏、LLM限界超える「ワールドモデル」研究へオープンソース重視

6.        仏テック庁が選定基準に戦略視点導入、ディープテック重視でエコシステム成熟へ

7.        仏企業が欧州5カ国にミニデータセンター配備、AI資源を低価格提供へ

8.        米、最先端AIの輸出を禁止 デジタル依存の欧州に衝撃、自立迫られる

9.        テスラの自動運転データに歪み 欧州規制当局への提示数値に懸念


1.        エアバスがA320新組立ライン開設 CEOが欧州の競争力維持へ警告

エアバスは生産終了したA380の拠点を転換し、需要の高いA320の新組立ラインを開設。最先端技術を導入し、2027年末までに月産70〜75機への増産を目指し、フランスの産業基盤と競争力の強化を図る。
 
Airbus(エアバス)はトゥールーズの「ジャン=リュック・ラガルデール」敷地内に、A320第2最終組立ラインを新設した。ここはかつて総2階建ての大型旅客機A380の製造拠点であったが、需要の低迷により2021年に生産が終了しており、今回の新ライン開設は過去の遺産からの完全な転換を象徴している。
式典において、同社のギヨーム・フォーリCEOは技術的な進歩を称賛する一方で、迫る大統領選挙を意識した政治的メッセージを発信した。同氏はフランスおよび欧州の競争力を維持することの重要性を強調し、自動車産業の二の舞を踏まないよう警告した。また、規制による時間と資金の損失を批判し、行政支援の必要性を訴えた。これに対し、同行したフィリップ・タバロ運輸相は欧米やアジアの競合に対する優位性を維持するための支援に前向きな姿勢を示した。
新設されたラインはデジタル化や自動搬送車の導入、ロボットによる穴あけ加工など、最先端の技術が投入されている。A320ファミリーはこれまでに2万機以上が発注され、航空機史上最も成功したモデルである。現在、同ファミリーの受注残は7499機に達しており、2027年末までに月産70〜75機のペースへ増産することを計画している。今回の投資は、フランス国内における産業基盤の強化と国際的な競争力の維持を目指す強い意志の表れである。


2.        仏で再エネ送電網の接続停滞、配電大手のエネディスが変電所新設や制度変更で打開へ

フランスは2035年までに電力比率を38%に上げる目標を掲げるが、変電所満杯で再エネ等の接続が停滞。配電網のEnedisは投資を増額して変電所を新設し、接続方式の優先順を見直すなどして目標達成を目指す。


フランスではエネルギーの脱炭素化と再生可能エネルギー(EnR)の導入が求められる中、用途の電化という新たな課題に直面している。第3次エネルギー多カ年計画(PPE3)では、2035年までにエネルギー消費に占める電力の割合を約25%から38%に引き上げる目標を設定した一方で、太陽光発電(55〜80GW)陸上風力発電(35〜40GW)などの目標値は当初の予想より下方修正された。
こうした背景のもと、送電網(RTE)と配電網(Enedis)の接続加速が急務である。Enedisは2025年に過去最高となる6.6GWの新設備を接続し、2026年も同ペースを維持する方針だが、現在、全国で200カ所変電所(ポストソース)が満杯となり、2800件の接続申請が停滞する接続困難(サチュレーション)の問題に直面している。特にオキシタニー地域圏など一部地域では深刻な遅延が発生している。
この状況を打開するため、Enedisは投資額を2025年57億ユーロから2030年には68億ユーロへ増額し、2030年までに全国で約100カ所(うちオキシタニー24カ所)の変電所を新設する。さらに、RTEと連携して従来の「先着順」から「準備が整ったプロジェクトを優先する」方式へと接続論理の変更を進め、待機列の解消を図る。これにより、国の目標達成に向けた基盤整備を確実に進める構えである。