日刊フランス欧州経済 2026年6月15日 (フリー)
1. 仏ルノーが人型ロボット導入、新興と提携し工場の生産性向上と作業負担軽減へ
2. 仏政府が洋上風力10ギガワット入札発表も価格制限で未達懸念
3. 仏でデータセンター投資が急増、電力消費と環境負荷への懸念高まる
4. 老化研究を美と健康の成長レバーへ、仏企業が挑む肌診断と超個別ケアの未来
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1. 仏ルノーが人型ロボット導入、新興と提携し工場の生産性向上と作業負担軽減へ
仏ルノーは新興企業と提携し、自律型人型ロボットを自社工場に導入した。生成AI等の進歩により柔軟なタスク変更や人間との協調が可能で、生産性向上と作業負担軽減を目指し今後導入台数を大幅に増やす計画だ。
仏自動車大手のルノーは、フランスのスタートアップ企業Wandercraftと提携し、同社が開発した人型ロボット「Calvin」を自社工場での軽作業や物流管理に導入している。Calvinは自律的に作動し、約1時間半で24本のタイヤが載ったラックを7〜8台処理する能力を持つ。
ルノーは2025年6月にWandercraftの7500万ユーロの資金調達に応じる形で出資し、産業協定を結んだ。2026年末までに10台、2027年末までに350台のロボットを運用する計画である。生成AIやコンピュータビジョンの進歩により、従来のロボットとは異なる柔軟なタスク変更や環境認識、人間との協調が可能となった。人型ロボットの導入は、生産性の向上だけでなく、作業員の健康を害する激しい単純作業の負担軽減にも寄与する。
人型ロボットの市場価格は現在3万〜15万ユーロであり、米国(TeslaやFigure AIなど)や中国(Unitreeなど)で投資と開発が急加速している。アジアが工業化をリードし、米国がソフトウェア環境を構築する中で欧州の遅れが指摘されるが、技術的ノウハウは十分に存在する。
Wandercraftはソフトウェアを自社開発し、パリの新拠点で年最大2000台の製造を目指している。その後はルノーが量産を引き継ぐ。市場は2028年から2030年の間に本格離陸すると予測されており、人型ロボットによる生産性の向上は、アジアに流出した製造業を欧州へ回帰させる好機になると期待されている。
2. 仏政府が洋上風力10ギガワット入札発表も価格制限で未達懸念
仏政府は10GW規模の洋上風力発電入札を発表したが、目標価格を1MWhあたり100ユーロ以下に制限。着床式よりコスト高な浮体式などが上限を超える可能性が高く、業界は目標容量の未達を懸念している。
フランス政府は、洋上風力発電の大規模な普及を目指し、10 GW規模の入札(AO 10)の公募要領を公式発表した。大統領選挙前の事業者決定を目指す迅速なスケジュールを含め、業界は一見歓迎している。
しかし、業界関係者は10 GWの目標達成は困難であると懸念している。原因は、全体の加重平均価格を1メガワット時(MWh)あたり100ユーロ以下に抑えるという「ターゲット価格」の設定である。これを超過したプロジェクトは排除される仕組みだ。
特に全容量の50%を占める浮体式洋上風力発電への影響が深刻である。着床式は世界で80,000 MW以上の実績があるが、未成熟な浮体式は300 MW未満に過ぎず、開発コストが高い。着床式の一部で70〜75ユーロが予想される一方、浮体式は120〜150ユーロに達する見込みで、平均価格を押し上げてしまう。また、着床式であっても、水深が深く海岸から遠いオレロン(1,200 MW)のような難関案件では、100ユーロ未満での入札は容易ではない。
政府も不調のリスクを認めており、特にブルターニュ北西部の浮体式プロジェクト(1,200 MW)が最も頓挫する危険性が高いとみられている。他の浮体式案件は、接続コストの観点から救済措置が取られる可能性があるが、目標容量の未達は現実味を帯びている。それでも業界は政府の巨額投資自体は前向きに評価している。