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日刊 フランス欧州経済 2026年5月20日(フリー)

日刊 フランス欧州経済 2026年5月20日(フリー)
仏国鉄の新型高速列車「TGV M」の商業運行開始が、当初の2026年7月から9月へ再延期される可能性が浮上した

1.        中国との競争や欧州の規制が壁に 仏太陽光工場計画が頓挫

2.        新型TGV運行開始、26年9月に再延期の可能性

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1.        中国との競争や欧州の規制が壁に 仏太陽光工場計画が頓挫

仏カーボン社は中国との競争や欧州の規制への不満から太陽光パネル巨大工場の建設計画を撤回した。仏国内の太陽光産業の期待は、中国企業と提携するオロソリス社に託される。
 
Carbon
カーボン)がフランスフォス=シュル=メールで計画していた太陽光パネルの巨大工場(ギガファクトリー)建設計画の撤回は、太陽光業界や脱炭素産業に大きな衝撃を与えた。
この計画は2022年に始動し、45ヘクタール(うち工場敷地29万平方メートル)の敷地で3000人の直接雇用と年間1200万基の生産を目指していた。フランスの産業主権や緑の産業転換を象徴するプロジェクトとして期待され、南仏地域圏などから150万ユーロの財政支援を受けた。総事業費17億ユーロに対し、これまでに2300万ユーロの資金調達や、2025年3月にはクラウドファンディングで最大250万ユーロ、業界企業から200万ユーロを集めるなどしていた。
しかし、市場を独占する中国との競争に加え、欧州市場の不透明さが障壁となった。共同創業者らは、欧州のネットゼロ産業法(NZIA)が域内生産を優遇せず、調達先の多様化にとどまったことや、自由貿易協定国(トルコベトナムインドなど)にまで「メイド・イン・ヨーロッパ」の対象を広げた規制枠組みを批判している。
これにより、フランス国内の太陽光ギガファクトリーの期待は、モゼル県に総額約10億ユーロ(公的支援2億3000万ユーロ含む)で工場建設を計画するHolosolisオロソリス)に託される。同社は年間生産能力を5ギガワットに抑え、中国トリナ・ソーラーと提携して2027年末の稼働を目指している。


2.        新型TGV運行開始、26年9月に再延期の可能性

仏国鉄の新型高速列車「TGV M」の商業運行開始が、当初の2026年7月から9月へ再延期される可能性が浮上した。初期不良への対応や当局の認可待ちが理由だが、仏国鉄とアルストム社は予定を確定していない。
 
SNCF(フランス国鉄)がAlstom(アルストム)に発注した新型高速列車「TGV M」の商業運行開始が、当初予定の2026年7月から9月へと再び延期される可能性が浮上している。専門誌「Ville Rail & Transports(VRT)」の報道によると、Alstomの社内文書には「2026年7月4編成」ではなく「2026年9月6編成」を納入する計画が記載されている。
SNCFは総計160編成TGV Mを発注しており、2018年の第1次発注時の計画では2023年末に最初の納入が予定されていた。しかし、初期のスケジュールからは既に2年以上遅れており、2024年のパリオリンピックでの運行にも間に合わなかった。さらに直近の12月10日の発表では、2026年7月1日パリ・リヨン・マルセイユ路線4編成の新型2階建て列車を導入するとしていた。
報道によると、初期不良などのトラブルに対応するため、7月には試運転(プレ運行)を行い、商業運行は新学期が始まる9月に延期される見込みである。SNCFAlstomは、欧州およびフランスの鉄道当局による「市場投入認可(ホモロゲーション)」を待っている段階であり、具体的なスケジュールについては確定していないとして、この報道を肯定も否定もしていない。ただし、関係筋によると、この認可は「数日以内」に下りる見通しである。