フランス欧州ビジネスニュース2026年4月24日(フリー)
1. 仏Menta、産総研が技術採用 AI・耐量子暗号へ投資のIPO計画
2. ステランティス、中国・東風汽車と提携協議 欧州工場の稼働維持へ
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1. 仏Menta、産総研が技術採用 AI・耐量子暗号へ投資のIPO計画
仏メンタは産総研へのeFPGA提供で日本での地位を確立。AIや耐量子暗号への投資に向けIPOを計画中だ。同技術による低消費電力化を強みに、欧州やアジアの産業・防衛分野でのさらなる成長を狙う。
フランス・ソフィア・アンティポリスに拠点を置くディープテック企業Mentaは、日本を代表する研究機関との契約を締結し、サイバーセキュリティ分野での地位を固めた。同社は今後、AIおよび耐量子計算機暗号(PQC)への投資を加速させるため、新規株式公開(IPO)を目指している。
製造後のチップ再構成を専門とする同社にとって、日本市場への参入は容易ではなかった。しかし、2025年5月のSecafy、7月のルネサス エレクトロニクスとの契約を経て、今回、産業技術総合研究所(産総研/AIST)がMentaのeFPGA(組み込みFPGA)技術を採用した。ヴァンサン・マルクス会長は、現代の半導体設計においてサイバーセキュリティが構造的な柱となっており、未知の脅威に適応できるプログラマブルな次世代シリコンが必要だと強調する。
サイバーセキュリティからAIへ
モンペリエ情報・ロボット・マイクロエレクトロニクス研究所(LIRMM)からスピンオフした同社のeFPGA技術は、並列計算能力に優れ、AIや暗号技術に不可欠な計算力を提供する。これにより、製品の市場投入までの期間短縮と低消費電力化を実現し、産業機器や日常機器へのAI導入を容易にする。
欧州プロジェクトと資金調達
Mentaは、チップレット接続技術を開発するMOSAICS-LP(830万ユーロの支援)や、次世代車載電子機器を定義する欧州のCHASSISプロジェクトに参画している。後者はボッシュが主導し、BMWやルノーなどの大手も参加する2025年始動の共同事業だ。
現在、同社はFJV Investissementや欧州投資銀行(BEI)から計1,600万ユーロを調達しており、さらなる成長に向けてEuronextやNasdaqへの上場を真剣に検討中である。売上高の60%を占める日本市場や、韓国、台湾、インドといったアジア圏、さらに欧州防衛大手との契約を通じた防衛分野への拡大を狙う。
2. ステランティス、中国・東風汽車と提携協議 欧州工場の稼働維持へ
欧州での販売不振により生産過剰に陥ったステランティスは、中国の東風汽車と提携を協議中。欧州4工場の視察を受け入れ、合弁設立による工場稼働率向上とコスト削減を目指す。各国政府への報告も進めている状況だ。
欧州における販売不振を受け、ステランティスは生産過剰に陥った工場を稼働させるため、パートナーを模索している。
ステランティスは、2014年に破綻の危機に瀕したPSAを救済した中国の自動車メーカー、東風汽車(Dongfeng)との連携を検討している。ブルームバーグによると、両社は合弁会社設立の可能性を含めた協議を行っており、これが実現すれば、欧州各地にある同社の工場が東風汽車に開放される可能性がある。ステランティスはすでにフランス(レンヌ)、スペイン、イタリア(カッシーノ)、ドイツにある計4つの工場を視察させたという。この動きについて、ステランティスはフランスおよびイタリア政府へ報告済みであると報じられている。
PSAとフィアット・クライスラーの合併により誕生したステランティスは、欧州での低迷により産業上の供給過剰に直面している。先月には、ブルームバーグが同社と中国の小鵬汽車(Xpeng)および小米汽車(Xiaomi)との交渉について報じていた。ステランティスは東風汽車との交渉を否定せず、「世界中の様々なプレイヤーと幅広いテーマで協議を行っているが、目的はあくまで顧客に最良のモビリティの選択肢を提供することにある」としつつ、「憶測にはコメントしない」と回答した。
東風汽車は2025年に247万台を販売し、2026年には31%の成長を目指している。2年前、同社は自社ブランド「Voyah」で欧州進出を発表したが、プロジェクトは完全には遂行されなかった。ステランティスは戦略計画の発表を1ヶ月後に控え、非戦略的な資産売却や他メーカーとの提携など、コスト削減に向けた様々な選択肢を検討している。