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フランス欧州ビジネスニュース2026年4月16日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年4月16日(フリー)
中国発のスタートアップWindrose Technologyはフランスのバランシエンヌ近郊における電気トラック工場の建設プロジェクトを進めている

1.        中国EVトラック新興、仏に生産拠点 27年稼働へ

2.        伊マルチェガリア、仏に新製鉄所、ダニエリと設備契約、排出80%削減

3.        仏Veolia、AI・半導体事業で収益10億ユーロへ 2030年目標

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1.        中国EVトラック新興、仏に生産拠点 27年稼働へ

中国のウィンドローズが仏北部に電気トラック工場を建設する。投資額は約1億7500万ユーロ。2027年の生産開始を目指し、航続600キロ超の新型車で既存メーカーに挑む。部品調達に伴う補助金の適用が今後の焦点だ。
 
中国発のスタートアップ企業、Windrose Technology(ウィンドローズ・テクノロジー)は、フランスのバランシエンヌ近郊における電気トラック工場の建設プロジェクトを着実に進めている。同社は175万ユーロ(約1億7500万ユーロ)の投資を掲げ、既存の主要メーカーに挑む構えである。
同社が開発する新型電気トラック「Global E700」は、欧州初の中央運転席を採用した斬新なデザインが特徴である。航続距離は600キロメートル(公称610キロメートル以上)を超え、販売価格は約25万ユーロを想定している。これは、ディーゼル車からの転換を急ぐ既存の「7大メーカー」にとって大きな脅威となる。
プロジェクトは計画通りに進展しており、2026年1月初旬には欧州での型式指定(ホモロゲーション)をわずか18カ月で取得した。これにより、欧州全域での走行と先行販売が可能となっている。
建設予定地は、トヨタの工場に隣接するオンナン近郊の94,800平方メートルの敷地である。2026年3月末には県知事による建築許可および環境規制施設としての認可が下りた。現在は、提訴期間となる4カ月の法的待機期間にある。
生産開始は2027年を予定しており、最終的に300人の従業員を雇用する計画である。当初はアントワープ近郊の小規模工場で活動を開始し、後にバランシエンヌへ生産拠点を移管する。主要部品であるバッテリーなどは中国から調達されるが、アジア製部品に依存する体制で欧州の補助金が適用されるかどうかが、今後の焦点となる。


2.        伊マルチェガリア、仏に新製鉄所、ダニエリと設備契約、排出80%削減

伊マルチェガリアは仏の新工場「ミストラル」の主要設備を伊ダニエリに発注した。総額約10億ユーロを投じ、原子力やAI活用で排出量を80%削減する。自給率を高め、2026年の建築許可申請と着工を目指す。
 
イタリアの鉄鋼大手マルチェガリアMarcegaglia)は、フランスのフォス=シュル=メールに建設中の新工場「ミストラルMistral)」において、主要な製鉄設備の供給契約をイタリアのダニエリDanieli)社と締結した。この契約額は4505000万ユーロ(4億5000万ユーロ)にのぼり、プロジェクトが計画段階から実運用フェーズへと移行したことを示している。


本プロジェクトの要点は以下の通りである。
·       投資規模の拡大と戦略的意義 当初6億ユーロと推定されていた投資額は、現在では約10億ユーロ(約1500億円)規模に達している。2024年に旧アスコメタルAscometal)を買収したマルチェガリアにとって、この投資は地政学的なリスクに対応した自給自足体制の強化と、国際展開を加速させるための極めて重要な戦略である。
·       「インダストリー5.0」の実現 ミストラル工場は「21世紀初の熱延工場」を標榜し、環境負荷の低減と高度な知能化を両立させている。


o   脱炭素化:鉄スクラップや直接還元鉄(DRI)、原子力エネルギーを活用することで、従来の生産方式と比較して温室効果ガス排出量を約80%削減する。


o   AIとアルゴリズムの活用:人工知能(AI)を用いて設備の制御や原料の最適化、物流・エネルギー管理を行う。ミストラルAIINRIA(フランス国立情報学自動制御研究所)との連携も視野に入れている。


·       生産能力と今後の展望 工場の完成後、年間で200万トン以上の粗鋼、および最大300万トンのステンレス・炭素鋼の熱延コイルを生産する計画である。これはグループ全体の需要の35%をカバーする規模であり、主にイタリア国内の二次加工拠点へ供給される。
今後は2026年5月15日頃に建築許可を申請し、年内の承認を目指している。資金面では、グループが拠出する6億ユーロの自己資本に加え、フランス政府や欧州連合(EU)からの公的支援を得ることで、最終的な投資額を確保する見通しである。