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フランス欧州ビジネスニュース2026年3月25日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年3月25日(フリー)
水素発電のHDFは欧州のPIEEC(欧州共通利益重要プロジェクト)として、2031年までに最大1億6,900万ユーロの補助金を受ける契約を正式に締結している

1.        水素発電のHDF、ポートフォリオ3割削減 27年の燃料電池量産へ集中

2.        中東緊迫でトタルに明暗、生産15%停止も原油高が利益を牽引

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1.        水素発電のHDF、ポートフォリオ3割削減 27年の燃料電池量産へ集中

HDF Energyは事業を厳選し、投資予算を30億ドルから23億ドルへ削減した。売上は9割超減少したが、コスト抑制で損失を半減。2031年迄に最大1.69億ユーロの補助金を得て、ガイアナでの稼働に注力する。
 
HDF Energy
は、市場の現実を見据えた事業の選択と集中、および経費削減を断行した。同社は欧州のPIEEC(欧州共通利益重要プロジェクト)として、2031年までに最大1億6,900万ユーロの補助金を受ける契約を正式に締結している。
一方で、世界展開における遅れや停滞を背景に、プロジェクト・ポートフォリオを3分の1削減した。これにより、先進プロジェクトの総投資予算は前年の30億ドルから23億ドルへと減少した。現在はフランスやガイアナに加え、バルバドスインドネシアケニアメキシコの各計画に注力している。
2025年の業績は、プロジェクトの成約や燃料電池の販売がなかったため、売上高が前年比91%減の99万8,000ユーロへと急落した。しかし、人件費を5%、一般経費を20%削減するなどのコストカットにより、純損失は前年の1,090万ユーロから570万ユーロへと半減している。2025年末時点の従業員数は118名、手元資金は3,350万ユーロである。
2026年の最優先事項は、ガイアナにおいて太陽光発電と水素貯蔵を組み合わせた初の「リニューステーブル」発電所を稼働させることである。これにより1万世帯への安定した電力供給を目指す。また、ボルドー近郊のブランシュフォール工場では燃料電池の試作を進め、2027年の量産開始を予定している。


2.        中東緊迫でトタルに明暗、生産15%停止も原油高が利益を牽引

トタルエナジーズは中東紛争で生産能力の15%が停止中だが、原油高が利益を補う。一方でホルムズ海峡封鎖時には生産量の16%が脅かされるリスクがあり、カタール産LNGへの高い依存度が将来の懸念材料である。
 
フランスのエネルギー大手TotalEnergies(トタルエナジーズ)は、中東での紛争長期化により大きな影響を受けている。現在、同社の生産能力の約15%が停止状態にあるが、その経営状況は複雑な様相を呈している。
ウクライナ戦争時と同様、中東での緊張は原油価格を押し上げ、石油メジャー各社の株価を上昇させた。過去1ヶ月で同社の株価は14%上昇したが、中東地域への依存度は競合他社と比較しても高い。Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の分析によれば、ホルムズ海峡の封鎖によって同社の生産量の16%(カタール 8%、アラブ首長国連邦 7%、イラク 1%)が脅かされるリスクがある。これは業界内でもExxonMobil(エクソンモービル)20%に次ぐ高い水準である。
営業利益ベースでの露出度は17%に達するが、税制の影響でキャッシュフロー(CFFO)への寄与度は約10%に留まる。同社は、原油価格がバレルあたり8ドル上昇すれば、中東での生産停止による損失を十分に補填できると試算しており、現在の価格上昇ペースは利益をさらに押し上げる可能性がある。
しかし、先行きには不透明感が漂う。QatarEnergy(カタールエナジー)が攻撃を受けたガス資産の復旧には3年から5年を要すると言及した。TotalEnergiesはカタールの巨大プロジェクト「North Field East」(出資比率6%)や「North Field South」(同9%)に参画しており、将来的な成長戦略においてカタール産LNG(液化天然ガス)への依存度はさらに高まる予測である。プロジェクトの遅延は生産ポートフォリオに穴を開けるリスクを孕んでいるが、現在は「不可抗力条項」の発動により、供給義務の停止といった法的保護を受けている側面もある。