フランス欧州ビジネスニュース2026年2月9日(フリー)
1. Française de l’Énergie、ロレーヌ地方で天然水素の探査のため深さ4,000メートルまで掘削
2. 二酸化炭素回収・貯留(CCS):仏財務省、仏CCS産業の振興を促進
3. 仏エネルギー戦略:安堵と不安の狭間にいる仏再生可能エネルギー業界
4. バッテリー:ACC、2026年夏までにステランティス向けの生産量を3倍に、それでもまだ不十分
5. 「独仏経済の崩壊か、覚醒か」:中国の猛追に迫られる30%関税の背水の陣
6. 「電気バッテリーのエアバス」、ACCが苦境に
7. 自動車:欧州で電気自動車の販売が増加
8. 欧州バッテリー産業が2026年以降の主権を確立するために不可欠な3つの戦略的要素
9. 風力発電:巨人オルステッドがトランプに逆らい、事態を好転させた方法
10. レアアース:エストニアにある欧州自動車メーカー向け永久磁石の戦略的工場
1. Française de l’Énergie、ロレーヌ地方で天然水素の探査のため深さ4,000メートルまで掘削
フランスのエネルギー企業「La Française de l’Énergie(フランス・ド・レネルジー)」は、フランス北東部モゼル県のポンピエールにおいて、天然水素(ホワイト水素)の試掘を進めている。
2026年2月15日までに、掘削深度は世界初の記録となる地下4,000メートルに達する見込みだ。この調査は「Regalor 2」プロジェクトの一環であり、EUの公正な移行基金などから880万ユーロの支援を受けている。CNRS(フランス国立科学研究センター)は、この地域の水素埋蔵量を3,400万トンと推定しており、深海部ほど濃度が高まる特性がある。
同社は2026年1月28日、約2,200平方キロメートルにおよぶ「Trois Évêchés(トロワ・エヴェシェ)」の排他的探索許可を取得した。今後はガスの再生速度や生産ツールの検証を行い、2028年の操業開始を目指している。
天然水素の抽出コストは、1キログラムあたり20セントから1ユーロと予測されており、電解による「グリーン水素」の約10ユーロと比較して圧倒的に安価である。2030年までに低炭素水素を250万トン生産するというEUの目標達成に向け、このプロジェクトは欧州のエネルギー地図を塗り替える可能性を秘めている。
2. 二酸化炭素回収・貯留(CCS):仏財務省、仏CCS産業の振興を促進
フランス政府は2026年2月9日、二酸化炭素の回収・貯留・利用技術であるCCUS産業の発展を目指し、運営委員会を立ち上げた。この技術は、電化などの手段では削減が困難な「削減不能な排出」への対策として期待されている。
フランスの大手セメント会社Vicatは、Air Liquide社が開発した技術を用い、年間120万トンのCO2を回収する野心的なプロジェクトを推進している。回収された炭素はパイプラインで運ばれ、最終的にアドリア海などの地質貯留層に埋め立てられる計画である。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、CCUSは2050年までに世界の温室効果ガス排出量を約10%削減する可能性がある。
フランス政府は2030年までに、主要な産業拠点で年間400万から800万トンのCO2を回収する目標を掲げている。しかし、課題は山積みである。現在、炭素の回収・輸送・貯留コストは1トンあたり100ユーロから250ユーロと推定されており、欧州の排出枠価格である約85ユーロを大幅に上回る。そのため、事業の収益性を確保するには巨額の公的支援が不可欠である。
また、環境団体は、この技術が汚染企業の免罪符となり、根本的な生産体制の転換を遅らせる「技術至上主義」に陥ることを懸念している。さらに、フランス国内での貯留能力の不確実性や社会的受容性の問題もあり、当面は北海や地中海といった国外への輸送に頼らざるを得ない状況である。