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フランス欧州ビジネスニュース2026年1月23日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年1月23日(フリー)
仏The Exploration Company、低軌道に200キログラムの積載量を運ぶ小型ロケット「Prime」を開発する英Orbexを買収する検討に入った

1.        太陽エネルギーに対するモラトリアムの可能性を懸念、業界は太陽光発電所の制御可能性を主張

2.        停止と始動を繰り返す原子炉:EDFの変調に関する報告書に仏政府、困惑

3.        エネルギー:「フランスは電力大国だが、まだ電化大国ではない。

4.        レアアース:ラック盆地に新たな戦略的工場が建設される

5.        フレンチテック業界における外国ベンチャーキャピタルファンドの台頭

6.        宇宙: The Exploration Companyが英国の新興企業Orbexの買収準備

7.        ドイツやイタリアに遅れをとるフランス、宇宙レーダー画像化への取り組みを加速

8.        デンマーク、1985年以来実施されている原子力禁止の解除を検討

9.        スペイン:ヨーロッパ最大の鉄道網の現状が疑問視されている理由

10.   欧州議会によりEU・メルコスール協定が不透明に


1.        太陽エネルギーに対するモラトリアムの可能性を懸念、業界は太陽光発電所の制御可能性を主張
 
フランスの太陽光発電業界は、2025年に約6GWという過去最高の新規導入量を記録した。しかし、2030年に向けたエネルギー多年度計画(PPE)の策定が遅れる中、将来への不安が広がっている。
当初、政府は2030年の目標値を54GW(シナリオR4)としていたが、電気自動車やヒートポンプの普及による電力需要の伸びが予測を下回った。これにより、目標が42GW(シナリオR2)や、最悪の場合35GW(シナリオR1)に下方修正される懸念が生じている。業界団体(SER)は、目標の大幅な引き下げは新規プロジェクトの停止を意味し、数千億円規模の訴訟や、既に始まっているOkWindBoralexといった企業の人員削減(計画解雇)を加速させると警告している。
一方で、送電網管理組織(RTE)や原子力高等弁務官は、需要のない過剰な太陽光導入は、卸売市場での価格下落や系統運用の負担増を招き、国民に不利益をもたらすと指摘する。これに対し業界側は、蓄電池の価格が2025年1月から約30%下落したことを強調している。蓄電を組み合わせた太陽光発電は1MWhあたり80ユーロ、スペインでは40ユーロという低価格で安定供給が可能であり、もはや「断続的な電源」ではないと主張する。ただし、新設には引き続き公的支援が不可欠であるとしている。


2.        停止と始動を繰り返す原子炉:EDFの変調に関する報告書に仏政府、困惑

フランス政府は、原子力発電所の出力調整(モジュレーション)に関するEDF(フランス電力)の報告書公開を延期している。予算問題や政治的紛争を避けるための「ダチョウの平和」を選んだ形だが、背景には原子力派と再生可能エネルギー派の激しい対立がある。
原子力発電は本来、需要に合わせて出力を変化させるが、近年は太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入拡大により、その頻度が増している。特に2024年は、日中の太陽光発電急増に伴う市場価格の低下やマイナス価格の発生により、経済的理由から出力を抑えるケースが目立った。専門家によれば、需要が伸び悩む中で供給過剰が生じており、フランスの余剰電力は130TWhに達している。そのうち90TWhは輸出されたが、残りの40TWhは出力調整によって処理されている。
出力調整の増加は、発電機会の損失だけでなく、ポンプやタービンといった設備の早期摩耗を招き、メンテナンスコストを増大させる。また、現場スタッフの負担増も課題である。一方で、専門家は安全上の問題はないと断言している。
原子力派は、再生可能エネルギーの普及が原子力の経済性を損なっていると主張する。次世代原子炉EPRの発電コストが1MWhあたり100150ユーロと予測されるのに対し、最新の太陽光発電は蓄電池を含めても80ユーロを下回る。政府はこの「宗教戦争」の激化を恐れているが、化石燃料への依存脱却という大局的な視点も不可欠である。