フランス欧州ビジネスニュース2025年9月15日(フリー)
1. エアバス、タレス、レオナルド、宇宙事業統合で合意間近
2. 再生中古品販売の王者バックマーケット、フランスで500店舗のオープンを発表
3. 楽天フランス 、スペインを皮切りにヨーロッパでの展開を強化
4. 宇宙光通信の新星、Cailabs、資金調達成功
5. 「ユーフォリア」「ポップエア」:人々を魅了し、賛否両論を巻き起こす巨大エキスポの立役者、ロベルト・ファンタウッツィ
6. 2035年に内燃車販売終了:欧州連合、より柔軟に
7. 「ダサいけど可愛いから買ってしまう」:フランスでファッション現象となったぬいぐるみ「ラブブ」
8. ユーテルサット社長、ワンウェブ衛星群はスターリンクに対する唯一の運用上かつ主権的な対応策
9. Flexミッションでタレス・アレニア・スペース、植生監視の探査計画
10. 昆虫タンパク質:イノバフィード、収益性が確保されるまで米国での事業を一時停止
11. ジロンド県のフライングホエールズ飛行船工場プロジェクト、最初の承認を受ける
1. エアバス、タレス、レオナルド、宇宙事業統合で合意間近
Airbus、Thales、Leonardoの3社は、欧州で宇宙・衛星の共同事業会社(JV)を設立し、米国と中国の大手に対抗する計画である。今月末までに意向表明書(LOI)をまとめ、今冬の最終化を目指し、2026年に欧州委員会の競争当局へ提出する方針である。新会社には衛星製造からテレポート運用、宇宙インテリジェンスまでの宇宙関連事業の大半が移管され、ランチャー(ロケット)は対象外である。デューデリジェンスと独禁(アンチトラスト)手続きは進行中で、3社の経営陣は臨界規模(クリティカルマス)の確保、R&Dの共同化、断片化の解消によって、SpaceXや中国に対抗する必要を強調している。参照モデルとしてMBDAが挙げられるが、今回はより直接的な統合を志向し、各社が少数持分を保有するガバナンスが検討されている。欧州委員会は競争維持を求めつつ理解を深めており、NASA–ESA協力の不確実性が欧州の自律性追求を加速させている。加えて、軍事宇宙の競争が激化し、EUは次期多年度予算で宇宙政策に大規模予算を充てる構えであり、パリ、ローマ、ベルリンは現状維持が将来的に過大なコストになると一致している。
2. 再生中古品販売の王者バックマーケット、フランスで500店舗のオープンを発表
Back Marketは実店舗戦略に舵を切り、米国での初出店を来週から開始し、年内にフランスで500拠点の販売網を構築する計画である。2014年創業、評価額は51億ユーロで、オフライン比率が70%と高い米国市場での機会を重視する動きである。
同社は並行して修理事業にも参入し、まずフランス、ドイツ、スペインで専用子会社を設立し、のちに欧州全域へ拡大する方針である。狙いは部品供給へのアクセスを改善し、再生品の品質保証を強化することであり、自宅集荷サービスの導入も検討している。
事業見通しとしては、2025年の取扱高が30億ユーロ超(2023年の21億ユーロから増加)となる計画である。従業員は700人で、その80%がフランス在籍である。フランス市場では再生スマホの市場規模が10億ユーロ超、普及率が20%に達しており、iPhone再生品のシェアは11年で5%未満から36%へ拡大した。これらの動きは、再生品の一般消費化を加速する同社の成長戦略を示すものである。
3. 楽天フランス 、スペインを皮切りにヨーロッパでの展開強化
Rakutenはこれまでフランスに限定していた事業から欧州展開を開始し、スペインでは追加コストなしでローンチする。これはAIによる商品ページの翻訳、ナビゲーションのローカライズ、検索エンジンの最適化により実現したものである。フランスでは月間9.3百万訪問者を持つ100%マーケットプレイス型で、Boulanger、Darty、Carrefourなどの流通やLego、Tefal、Nike、Moulinexなどのブランドが出店している。2018年にPriceMinisterをRakuten Franceへ改称して以降、10,000の加盟商業者を在庫管理、出荷準備、返品対応で支援し、今回のスペイン展開でも国際物流ネットワークを活用する。スペインではRakuten TVの存在と、FCバルセロナへの5年間のスポンサー(2022年まで)によりブランド認知がある。
スペインのEC市場は2023年に3,000万のオンライン購入者を有し、2024年に950億ユーロを突破し、前年比+13.1%で成長した。Rakutenは2023年からフランスで黒字化しており、ClubRによるロイヤルティ戦略(フランスで1,300万人、世界で20億人の会員)が年間平均900ユーロの購買力回復につながっている。さらに中古・リファービッシュが2件に1件(1/2)を占める点も強みである。2026年にはイタリアとポルトガルへの展開を予定する。2024年の欧州EC市場は6,610億ユーロ(+9%)で、うちフランスは1,750億ユーロである。パリの従業員は200人であり、今後数ヶ月はこの拡大に注力する方針である。