フランス欧州ビジネスニュース2025年8月5日(フリー)

1. リフトと百度、来年、欧州でロボタクシーの導入を約束
2. フェラーリ、ジャガー、アストンマーティン、マセラティ:高級車メーカーの苦難
3. ノンアルコールビール・ラム酒・ワイン:ブランドにとって高価だが有望な賭け
4. エンジニアリング:仏Egis、米国での規模を4倍に拡大
5. スイス、米国の関税に関する臨時政府会合
6. 解説記事 、貿易戦争:「関税を支払うのはアメリカ人だ」
7. 「クール」を目指すディスカウントストア「ノーマル」の輝かしい成功
8. アルティス:仏司法、仏通信SFRの巨額債務の再編にゴーサイン
1. リフトと百度、来年、欧州でロボタクシーの導入を約束
中国の大手テック企業Baiduとアメリカのライドシェア企業Lyftは、2026年にドイツとイギリスでロボタクシーを展開する計画を発表した。Baiduの自動運転車フリートであるApollo Goが使用される予定である。
このサービスはすでに中国やアメリカでは確立されており、Baiduは15都市以上で1,000台以上の車両を運用している。北京、上海、深圳などが対象都市である。一方、アメリカではWaymo(Google系)、Tesla、Amazonなどが主導し、カリフォルニア、フェニックス、オースティン、アトランタに進出している。
発表後、Lyftの株価は4.7%上昇した。また、Uberも中国のMomentaと提携し、2026年にロンドンで自動運転VTCの実証実験を行う予定である。
ヨーロッパでは自動運転車に対する規制が厳しく、現在認可されているのはレベル0〜2のみである。レベル3は2022年にフランスで部分的に認可されたが、時速60km以下や中央分離帯の存在などの厳しい条件が課されている。ロボタクシーが目指すのはレベル4だが、欧州では限られた実証実験にとどまっている。
2. フェラーリ、ジャガー、アストンマーティン、マセラティ:高級車メーカーの苦難
高級スポーツ車業界は現在困難な局面に直面しており、その要因の一つはドナルド・トランプによる米国市場向けの関税強化である。
· フェラーリは、EBITDAマージンが40%近くという高収益性を示したものの、売上高の伸びは4.4%、1台あたりの収益は1.9%増にとどまり、市場予想の3%を下回った。これにより、同社の株価は6.9%下落した。
· Kepler ChevreuxやUBSなどのアナリストは、この下落は過剰反応であり、買いの好機であると見ている。
· 一方、アストンマーチンは6か月で35%株価が下落。米国の関税(25%)の影響を受けた。同社の車両平均価格は28万9,000ユーロで、フェラーリの41万6,000ユーロと比較してなお差がある。上半期の損失は1億4,000万ユーロ(1億2,200万ポンド)に達した。
· また、納期が最大5か月と短く、フェラーリの1年半~2年という希少価値に比べてラグジュアリーブランドとしての希少性に欠ける。新型車ValhallaやValkyrieの派生モデルでの巻き返しを2025年末に狙っている。
· ジャガー・ランドローバーは、CEOを解任した。マーケティングと製造における大胆な方針が裏目に出たためである。
· マセラティ(ステランティス傘下)は、販売台数が12%減少し、4,200台にとどまった。だが、コスト削減策により営業損失は1億3,900万ユーロに改善(2024年後半は1億7,800万ユーロの損失)している。
3. ノンアルコールビール・ラム酒・ワイン:ブランドにとって高価だが有望な賭け
世界的にワインとスピリッツの消費量が減少する中で、ノンアルコールおよび低アルコール(no-low)飲料の分野だけが成長を続けている。コロナ禍には年間15〜20%の成長を記録し、その後も5%の増加を維持している。特にスピリッツは2桁成長を続けている。
フランスでは、no-low市場の規模は4億5,000万ユーロ未満であり、ワイン・スピリッツ・ビール全体の200億ユーロ超に比べて小さい。18〜25歳の若年層が40%を占め、no-low消費者の80%は通常のアルコールも嗜むが、健康志向や一時的な禁酒を目的としている。
この分野への参入には脱アルコール処理や高品質なレシピ開発などに多額の投資が必要である。ビールは1960年代から先駆けとなっており、2014年にはTourtel Twistが登場し、果汁を使った0%ビールという新ジャンルを切り開いた。現在ではこのセグメントは1億3,500万ユーロ規模に達し、2025年1月から5月の間に+10.5%の成長、つまり通常のビールの4倍の速度で拡大している。
スピリッツ分野では、2020年にBacardiがMartiniで参入し、続いてDiageoがCaptain Morgan 0.0%やTanqueray 0.0%を発売。Tanqueray 0.0%はすでにブランド売上の21%を占め、Captain Morgan 0.0%は発売からわずか3か月で2%に達した。これらの製品群は今後5年間で+12.5%の成長が見込まれている。また、消費者の3分の2は品質次第で高価格でも購入を検討するという。
一方、ワイン業界は技術的・経済的課題から出遅れており、1つのドメーヌで50万〜100万ユーロの投資が必要とされる。ただし、LVMHがFrench Bloomに30%出資したり、Petit BéretやModeratoなどの新興ブランドが市場参入している。現在のトレンドは「プレミアム化」であり、高コストを補う戦略である。
この動向を反映して、Wine Paris 2026では「Be no」というノンアルコール専用エリアが設置される予定であり、ビールやシードルも対象となる。昨年の時点で、no-low製品を持つ生産者数は前年比+45%増加しており、市場の注目度が高まっていることを示している。