フランス欧州ビジネスニュース2025年8月18日(フリー)

1. 列車:海峡横断リンクで大規模な動き、始まる
2. 「あまりにも長い間、乗客には選択肢がなかった」リチャード・ブランソン、ユーロスターに挑戦状
3. 果物と野菜:農業の労働力不足を補うロボット
4. ドイツはヨーロッパの将来のデジタルリーダーとなるか?
5. 欧州の最遠隔地域:ヨーロッパが忘れた戦略的地平線?
6. 「海上輸送はヨーロッパの経済主権のてこである」
7. フレンチテック:「パリは夢を見て、ドバイはサインをする」
8. ドイツでは、ポルシェ家の後継者が防衛に目を向けている
1. 列車:海峡横断リンクで大規模な動き、始まる
イギリス政府とドイツは、英独間の直通鉄道を実現するための作業部会の設置を発表した。これにより、これまで乗り換えが必要であった区間が英仏海峡トンネルを通じて直接結ばれることになる。この取り組みは、すでに発表されているイギリスとスイス間の直通構想に続くものである。
同時に、ヴァージントレインズは規制当局ORRに申請を提出し、ユーロスターへの対抗を表明した。さらに同社は、参入準備としてアルストムに12編成の車両を発注した。この計画は、7月16日に署名された英独友好条約の一環であり、「交通分野での接続性強化」を目的としている。
経済的潜在力は大きいとされ、運営会社ゲットリンクは、ロンドン―ケルン―フランクフルト線で年間200万人、ロンドン―ジュネーブ線で100万人の旅客需要を見込んでいる。ただし、通関・安全管理やインフラ整備といった課題は残っており、特にイギリス側のテンプルミルズにおける整備基地の開設が重要である。
一方、ユーロスターも対抗策を進めており、2030年代初頭までにロンドン―フランクフルト―ジュネーブ直通線を開始する計画を発表している。
2. 「あまりにも長い間、乗客には選択肢がなかった」リチャード・ブランソン、ユーロスターに挑戦状
イギリスの起業家リチャード・ブランソンが率いるヴァージン・トレインズは、フランスのアルストムから高速鉄道アヴェリア・ストリーム12編成を購入する独占契約を締結した。商業運行の開始は2029年を予定しており、ロンドンとパリ、ブリュッセル、アムステルダムを結ぶ路線を展開し、その後スイスやドイツへの拡張も視野に入れている。
ブランソンは、ユーロスターの独占を打破し、利用者により多くの選択肢、快適さ、革新性を提供することを目指している。トンネルを通じた需要は拡大しており、2040年には年間3,500万人に達すると推定されている。これは現在の1,100万人の3倍以上である。
競合としては、ジェミニ、トレニタリア、エヴォリン、ヒューロといった企業も参入を計画しており、ユーロスターの優位性の終焉が加速している。しかし、実現には駅の拡張、国境管理の強化、車両基地の利用制限といった課題が残る。
一方、ユーロスターも対抗策を進めており、2030年までに50編成を追加し、ロンドン=ジュネーブやロンドン=フランクフルトなどの新路線を開設する計画である。
3. 果物と野菜:農業の労働力不足を補うロボット
果樹農家や野菜農家は労働力の確保に苦労しており、その解決策としてロボット技術が注目されている。スタートアップのネオファームは、アグロエコロジー型の温室向けにロボット搭載ポルティークを開発した。この仕組みは、最大30種類の作物を組み合わせる集約的輪作に基づき、病害虫を防ぎながら土壌を守ることを目的としている。しかし多大な労働を必要とするため、ロボットが導入された。これにより、10ヘクタールの温室で1,300トン、23種類の野菜を生産し、8,000人を養える規模を、わずか30人の農業者で運営できる。
このロボットはレール上を移動し、播種機や除草機など複数の道具を接続できるが、収穫だけは人手に頼っている。とはいえ農業ロボットはまだ黎明期にあり、2023年のフランス全体で600台程度にとどまり、主にブドウ畑や野菜栽培で使われている。
他のスタートアップも挑戦を続けている。例えばエスプリッド(Aisprid)はトマトの葉かきロボットをAIとカメラで実現し、アレリオン(Alérion)はミラベル(プラム)の収穫ロボットを開発中である。しかし技術的課題や資金不足が進展を妨げている。
ビジネスモデルも模索段階にある。サービス提供型のサブスクリプションを打ち出す企業(Aisprid)もあれば、自社運営の温室モデルを展開する企業(Neofarm)もある。ネオファームの温室事業は1拠点10ヘクタールあたり1,250万ユーロの投資が必要で、そのうちロボット部分は20%を占める。1基あたり7万ユーロのロボットが10ヘクタールで8基必要とされる。