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フランス欧州ビジネスニュース2025年7月31日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年7月31日(フリー)
Photo by Luca Musella / Unsplash

1.        エアバス:受注は増加しているが、生産拡大には依然として苦戦

2.        ドイツ政府、2026年に1,740億ユーロの公的債務を発行、2024年の500億ユーロから大幅に増加

3.        アグネリ家、バスとトラックの製造会社イヴェコをインド・タタ社に売却

4.        フランスにおける外国投資:仏財務省が戦略的セクターをどのように監視しているか

5.        第2四半期、予想に反するフランス国内生産の成長

6.        関税:フランスはトランプ大統領との合意をどう改善するつもりか

7.        ポルシェとメルセデス、トランプ関税下で、利益が太陽の下での雪のように溶ける

8.        フランスでは太陽エネルギーの浪費が昨年の3倍に

9.        エア・リキード、半導体向け売上、10年間12億から25億ユーロ倍増

10.  トランプ大統領との貿易協定:最も損失を被るのは欧州諸国か?


1.        エアバス:受注は増加しているが、生産拡大には依然として苦戦

Airbusは2025年上半期、アナリスト予想を上回る業績を発表した。特に、防衛・宇宙部門が予想以上に早く回復している。
新規の航空機受注は402機で、2024年上半期の310機から大きく増加。これにより、受注残高は8,754機に達した。
売上高はわずかに3%増加し、296億ユーロとなった。商用機部門の売上は2%減の208億ユーロだったが、ヘリコプター部門が16%増(37億ユーロ)、防衛・宇宙部門が17%増(58億ユーロ)と、他部門の好調がそれを補った。
調整後営業利益22億ユーロに達し(2024年の14億ユーロから増加)、純利益15.2億ユーロと前年の8.25億ユーロのほぼ倍となった。特に、防衛・宇宙部門は前年807百万ユーロの赤字から2億6500万ユーロの黒字に回復した。
Airbusは、2025年に820機の納入2024年は766機)という目標を維持しており、70億ユーロの営業利益を見込んでいる。A320用のエンジン供給の遅れはあるが、現在のエンジン待機機数は60機と、前年の100機から改善している。


2.        ドイツ政府、2026年に1,740億ユーロの公的債務を発行、2024年の500億ユーロから大幅に増加

ドイツ政府は2026年1,740億ユーロ公的債務を発行する計画であり、これは2024年の500億ユーロから大幅に増加する。この財政拡大策は、経済再生を目指すものである。実際、連邦統計庁(Destatis)によると、ドイツのGDPは2023年に▲0.7%、2024年に▲0.5%と、当初の見積もりよりも大きく後退していた。
フリードリヒ・メルツ首相は、財政黒字主義の伝統を破り、社会民主党(SPD)と協力して防衛とインフラ整備に5,000億ユーロを投資する計画を進めている。対象は道路、鉄道、橋など老朽化した基盤である。
しかしこの政策は議論を呼んでいる。特に、利払い費2024年の300億ユーロから2029年には670億ユーロに倍増する懸念がある。また、2027年から2029年にかけて1,720億ユーロの財源が未確保であり、2027年単年で300億ユーロの赤字が予測されている。
これに対処するため、70歳までの定年引き上げ社会保障の削減デジタル課税などの案が浮上している。ラース・クリングバイル財務相は「これまでにない規模の投資をしているが、財政の健全化も必要である」と述べ、すべての省庁が貢献すべきだと警告している。


 
3.        アグネリ家、バスとトラックの製造会社イヴェコをインド・タタ社に売却

Iveco Groupは、イタリアのトラックとバスのメーカーであり、アニェッリ家の投資会社Exorにより管理されてきたが、インドのTata Motorsに大部分が売却される予定である。すでにJaguar Land Roverを所有するTataは、今回の取引で欧州市場での地位を強化する。なお、防衛部門(全体の6%)は、イタリアの企業Leonardo17億ユーロで譲渡され、イタリア国内に維持される。
Tata Motorsはこの取引で約38億ユーロを支払い、持続可能な輸送技術などの設計能力も獲得することになる。Exorは27%の持株もTataに譲渡する。
Ivecoは現在、36,000人の従業員を抱え、19の工場31の研究開発センターを有している。2024年の売上高は153億ユーロであり、その74%がヨーロッパ市場からのものである。事業構成はトラック(58%)バス(15%)、エンジン・トランスミッション(21%)である。
フランスでは、アルデシュ県アノネー工場(旧イリスバス)をはじめ、ドゥ=セーヴル県のRorhtais(Heuliez Bus)、およびソーヌ=エ=ロワール県Bourbon-Lancyのエンジン工場などが拠点となっている。また、イル=ド=フランス交通公社(IDFM)にバスを納入する主要サプライヤーでもある。Nikola Motorsとの電動化プロジェクトは、同社の破綻により頓挫した。
Iveco1975年に複数の欧州メーカー(OM、Magirus-Deutz、Fiat-Unic、Lancia)を統合して発足し、その後FiatCNHExorのもとで複雑な再編を経験してきた。昨年の営業利益率は、トラック部門が5.6%バス部門が5.5%、防衛部門が10%であった。