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フランス欧州ビジネスニュース2025年7月21日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年7月21日(フリー)
英自転車メーカー・ブロンプトン

1.        折りたたみ自転車の「王者」ブロンプトン、ダイソンとバフェットからインスピレーションを得て、再出発目指す

2.        自動車:2035年の100%電気自動車化に向けた新たな攻撃

3.        繊維廃棄物:仏政府、関係企業に特別援助を提供

4.        列車レンタル:Akiem、ドイツの旅客列車市場に参入

5.        BP、米国風力発電所の売却により、グリーンエネルギーへの幻滅を示す 

6.        AI界を熱狂させるヨーロッパの新たなユニコーン企業、Lovable

7.        ドイツ、自動車業界は2035年に内燃機関の禁止が解除されることを期待

8.        欧州のスケールアップへの資金提供の強化でフランスとドイツがついに連携


1.        折りたたみ自転車の「王者」ブロンプトン、ダイソンとバフェットからインスピレーションを得て、再出発目指す

Bromptonの創業50周年に際して、同社CEOのウィル・バトラー=アダムスは、ポストコロナ後の困難な市場状況にもかかわらず、将来に対する前向きな見通しを示している。
2024年の売上は1億2,300万ポンド5%減少し、税引前利益も500万ポンドに落ち込み、前年の半分以下となった。生産台数も85,000台8%減となった。
それでも、同氏は今後10〜15%の年平均成長率を予測している。都市部の交通混雑や健康問題、気候変動などの社会課題に対するソリューションとして自転車が重要であると強調し、パリや中国の大都市による自転車インフラ投資は、自社のビジネスを間接的に支援していると述べている。現在、同社の輸出比率は80%に達している。
一方、中国製自転車に対する関税撤廃の動きには警戒を示し、それが実現すればBromptonにとって壊滅的な打撃になると警告している。また、必要であればアメリカ・デトロイトに工場を建設する可能性にも言及した。
1,500〜4,900ユーロという価格に対しては、「ライフスタイルの購入であり、最低でも20年間使用可能、交通費も不要であり、中古市場での価格も高値を維持している」と反論している。
ロンドン西部にある工場では年間10万台以上の生産が可能であり、ロボット化のみが解決策ではないとも述べた。
しかし、ポストコロナの市場では、ディーラーが需要を過大評価して在庫を抱え、結果として多くが倒産し、生き残った企業も在庫消化を優先して新規発注が減っている。さらに、自社販売に切り替えるブランドも増え、流通業者の収益構造が一層厳しくなっている。
ヨーロッパや北米ではようやく回復傾向が見られるものの、日本・韓国・中国といったアジア市場の需要が同社の存続を支えたと同氏は述べている。


2.        自動車:2035年の100%電気自動車化に向けた新たな攻撃

OPmobility(旧Plastic Omnium)のCEOであるローラン・ファーヴルは、2035年の新車ゼロエミッション規制について、欧州委員会の戦略の見直しを求めている。この方針は消費者のニーズに合っておらず欧州の自動車生産の衰退につながっていると指摘する。具体的には、欧州全体で生産が約20%減少し、フランスでは40%の減少1962年の水準に後退している。
現在の政策は100%電気自動車に偏っており、2024年の販売比率は17〜18%と、当初予測の25%には届いていない。背景には、価格の高さインフラの未整備購入補助金の縮小といった問題がある。
この結果、欧州の自動車の平均使用年数は12年を超えフランスでの車両更新率は過去最低水準となっており、CO₂排出削減への効果も限定的である。
ファーヴル氏は、多技術併用アプローチの導入を訴え、特に航続距離延長型EV(レンジエクステンダー)に注目している。これはゼロエミッションではないが、既存の車両に比べて大幅な脱炭素化が可能である。また、バッテリーの使用実態に応じた税制(奨励・罰則)の適用も提案している。
さらに、2035年のゼロエミッション目標は、低排出ハイブリッド車の開発遅れを招き、欧州の技術的優位性を損なっていると警告し、生産・雇用・イノベーションを維持するためにも、業界に明確な見通しを示すことが急務であると訴えている。


3.        繊維廃棄物:仏政府、関係企業に特別援助を提供

使用済み衣料の回収・選別事業者が直面している深刻な財政難に対応するため、フランス政府は2025年に4,900万ユーロの特別支援を実施する。この金額は前年より1,500万ユーロ増加しており、2026年にはさらに5,700万ユーロまで増額される予定である。
特に支援対象となるのは、3,000人の雇用が危機に瀕している協同組合ル・ルレ(Le Relais)など、社会的経済の中核を担う事業者である。背景には、急増する衣料廃棄量(2025年で22万トン、2026年で25万トンと推定)や、アジアなど海外とのリサイクル競争、およびリサイクルや転売による収益の減少がある。
また、政府は「Refashion」というエコ組織が運用する拡大生産者責任(REP)制度新たな仕様書の策定を進めており、これによりフランス国内での選別・リサイクル施設の直接的な資金支援を可能にする意向である。
しかし、この新仕様書の適用は2026年初頭とされており、それまでに多くの事業者が倒産の危機に晒される懸念がある。したがって政府は、即時的な資金支援によって、この危機的状況の打開を図る決断を下した。