日刊フランス欧州経済 2026年7月8日 (フリー)
1. 輸出で稼ぐ仏の宇宙ビジネス、調達資金で増産体制を構築しグローバル市場へ挑む
2. 中国BYDによるルノーへの出資打診、経営権掌握への警戒から仏側は2度拒否
3. 仏政府が再エネ新公募、マイナス価格抑制へ太陽光発電への蓄電池設置を促進
4. 海外勢が先行する小型原子炉開発、仏スタートアップは資金選別と統合の難局に直面
5. エアバスと独メーカーが合弁設立、水素燃料電池を搭載した新型小型機開発へ
6. 欧州委がサイバーセキュリティAI計画を発表、独自評価能力で米中依存脱却へ
7. 欧州委が中国製タイヤへの反ダンピング関税を確定、価格上昇と欧州勢支援へ
1. 輸出で稼ぐ仏の宇宙ビジネス、調達資金で増産体制を構築しグローバル市場へ挑む
仏の宇宙新興企業がアジアや中東への輸出主導で急成長している。国内の公的需要への依存から脱却し、調達資金で増産体制を構築。工場の新設や増員が進む一方、有力企業への資金集中や業界再編の動きも見られる。
フランスのNew Space(ニュー・スペース)分野は、輸出主導で新たな成長段階に入っている。セクターの収入は12ヶ月で2億5000万ユーロから3億4000万ユーロに増加し、締結された4億3000万ユーロの契約の過半数が海外市場向けである。特にアジア(日本、韓国、シンガポール、インド)や中東が急成長地域となっており、U-SpaceやCailabs、Exotrailなどの新興企業が現地機関や企業と相次いで提携を進めている。
この輸出強化は、フランス国内の公的注文への依存から脱却する鍵となっている。現在、同分野は宇宙産業の雇用の15%にあたる3100人以上を擁しており、さらなる資金調達を目指している。過去5年間の累積調達額は約10億ユーロに達し、直近の1年間でも3億5000万ユーロが調達された。ただし、資金はLoft Orbitalなどの有力企業に集中する傾向がある。
調達資金の多くは研究開発(1億7000万ユーロ)に充てられるほか、増産体制の構築に投入されている。業界全体で35の生産ラインが稼働し、新たに12のラインが展開中である。これに伴い、1年間で400人が新規採用され、ComatやMecano ID、Infinite Orbitsなどの企業が工場を新設・拡張している。今後は生産のスケールアップへの対応とともに、欧州内での企業の買収や統合といった業界再編の動きが活発化している。
2. 中国BYDによるルノーへの出資打診、経営権掌握への警戒から仏側は2度拒否
中国のBYDが欧州拡大に向けルノーへ2度出資を打診。EV技術等の利点はあるが、BYDの狙いが経営権掌握であることや仏政府等の意向から、ルノーはジーリーとの協力を優先し出資提案をいずれも拒否した。
中国の自動車メーカーであるBYDが、ここ数年でフランスのルノーの経営陣に2度にわたり出資の打診を行っていた。
BYDは欧州市場での拡大を目指し、欧州内の工場買収や歴史あるブランドの買収を検討している。その一環として、ルノーへの出資も試みていた。最初の接近は約2年前、当時のルノー最高経営責任者(CEO)であったルカ・デメオの在任中に行われた。当時、ルノーはすでに別の中国メーカーであるジーリー(吉利汽車)と強固な協力関係を築いており、最終的にBYDとの協議を打ち切った。
2度目の試みは2025年の秋であった。BYDで欧州事業を統括するステラ・リー副社長がフランスのマクロン大統領と面会した際、ルノー経営陣との面会を希望した。これを受けて2025年秋にルノーのジャン=ドミニク・スナール会長が彼女を迎えた。ステラ・リーは再び出資を提案したが、関係者によると、BYDの狙いは単なる提携ではなく「経営権の掌握」であった。
ルノーにとってBYDとの提携は、完全電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)の技術、車載電池の調達において利点があった。しかし、ルノー株の15%、議決権の30%を保有するフランス政府や経営陣にとって、中国企業による買収や支配の受け入れは不可能な選択肢であった。規模の拡大という課題はあるものの、ルノーは2度目の提案も拒否した。本件について両社ともコメントを控えている。