日刊フランス欧州経済 2026年7月13日 (フリー)
1. カナダの宇宙企業が仏CLSの買収提案、川上・川下事業統合で世界的大手へ
2. 猛暑のため原発3基が停止、8基が出力抑制 河川の生態系保護で制限
3. 洋上風力停止の見返りに天然ガス:仏電力とKKRもトランプ政権との取引を準備
4. 酒類の発酵CO2を回収・再利用、仏スタートアップが目指す循環経済と黒字化
5. ジョン・コケリルがベルフォールで水素事業に乗り出す、マクフィ社買収から1年
6. 航空セクターの利益の半分がエンジン側に集中、機体遅延や整備増で価値配分が偏る
7. 工場閉鎖の脅威を背景に、フォルクスワーゲンで募る従業員の不満
8. 独VWの危機が伊自動車部品産業を直撃、伊政府は緊急会議招集とEUへ産業保護要請
9. 独りよがりの計画に限界、仏の再エネ普及には規制の安定と欧州連携が不可欠
1. カナダの宇宙企業が仏CLSの買収提案、川上・川下事業統合で世界的大手へ
カナダのMDA Spaceが仏CLSの株式70%を取得する提案を実施。初の非欧州傘下となるが、仏宇宙研究センターが拒否権や雇用を維持する。川上と川下の事業を統合し、世界的な宇宙関連企業が誕生する。
地理空間情報と宇宙事業を専門とするカナダのMDA Spaceが、ベルギーのCNPが保有するCLSの株式を買収する法的拘束力のある提案を行った。これによりMDA SpaceがCLSの資本の70%を取得し、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が残りの30%を維持する。買収は規制当局の承認等を経て2027年初頭までに完了する見通しである。
CLSは1986年にCNESによって設立された衛星サービス企業であり、今回初めて非欧州資本の傘下に入る。しかし、カナダは欧州宇宙機関(ESA)の準加盟国であり、CNESはフランスと欧州の利益を守るために戦略的決定への拒否権を保持する。また、MDA Spaceはフランス国内の雇用維持や、トゥールーズを地理空間情報事業の世界的拠点とすることを約束している。CLSの2025年の売上高は2億2000万ユーロであり、今年度は2億8600万ユーロを目指している。
この統合により、従業員4000人のMDA Spaceと1200人のCLSが合わさり、世界的なリーダーが誕生する。衛星製造など川上事業に強いMDA Spaceと、データ活用サービスなど川下事業に強みを持つCLSは、事業や展開地域において高い相乗効果が見込まれる。なお、モノのインターネット(IoT)向け衛星通信事業者であるKinéisの株式は別の持株会社に移されたため、今回の取引に対象には含まれない。
2. 猛暑のため原発3基が停止、8基が出力抑制 河川の生態系保護で制限
フランスで猛暑による赤色警戒が出され、EDFは河川の水圏生態系保護のため原子力発電所3基を停止、8基の出力を抑制。排水の温度制限から熱波のたびに電力生産の抑制を余儀なくされており、以前も同様の停止があった。
フランスでは猛暑の影響で電力生産に支障が出ている。日曜日の気温上昇に伴い、EDF(フランス電力)は河川沿いにある3基の原子力発電所(ゴルフェッシュ2号機、ビュジェ3号機、シューズ2号機)の稼働を停止し、さらに他の8基(サン=タルバン1・2号機、ブライエ1・3号機、ビュジェ4・5号機、シューズ1号機、トリカスタン3号機)で出力を抑制した。この日、37の県で赤色警戒(最高レベルの警報)が出されていた。
この措置は、原子力発電所から排出される温水の熱が水圏生態系に与える被害を抑えることを主な目的としている。フランスには57基の原子力発電所があり、国内の電力生産の約70%を担っている。これらすべての施設は、冷却水を確保するために河川や海の近くに設置されている。
原子力安全・放射線防護庁(ASNR)は各敷地に対して排水の温度制限を定めているため、7月4日にフランスで始まったような熱波が発生するたびに、電力生産を抑制せざるを得なくなる。
なお、歴史的な猛暑となった6月の熱波の際にも、EDFはガロンヌ川沿いのゴルフェッシュ1号機、ローヌ川沿いのビュジェ、オーブ県のノジャン=シュール=セーヌの計3基の原子力発電所の稼働を停止している。