日刊フランス欧州経済 2026年6月3日 (フリー)
1. 仏独の車載電池ACC、技術・資金の補完目指し中国大手との連携模索
2. プジョー新型EV「208」は2027年後半発売へ、中国製モーター初期採用
3. 仏政府も出資し関与、アルミニウム・ダンケルクの買収契約が正式締結
4. 仏政府、化学セクターに1億5000万ユーロの炭素補償支援を発表
5. ステランティス、新プラットフォーム導入、29年から次世代EV生産
6. ステランティス、仏工場へ4億ユーロ投資 29年より新型EV生産へ
7. 仏EDF、水管理投資を大幅増額へ 気候変動による発電損失を抑制
8. シュナイダー、仏に建設予定のデータセンター用モジュール新工場の概略
9. 仏への投資額を2億ユーロに倍増、ポルトガル・ドローン大手が計画前倒し
10. スウェーデンが推進する「バイオ経済」 森林国が挑む経済と環境の両立
11. 欧州のエネルギー価格、米国より最大6倍も高く、EBRDが警告
1. 仏独の車載電池ACC、技術・資金の補完目指し中国大手との連携模索
仏独の車載電池メーカーACCが中国企業との協力を模索。需要が安価なLFP電池へシフトする中、技術や資金の補完を狙う。電池自給を掲げ公的資金を投じてきた仏独政府も、雇用維持の観点から動きを容認する構え。
フランス・ドイツの車載電池メーカーであるACC(Automotive Cells Company)は、生産の立ち上げ難航や多額の資金需要への対応、不足する技術力の補完を目的に、中国企業をはじめとする新たなグローバルパートナーとの連携を模索している。協議は数カ月前から行われており、ライセンス契約や出資などが検討され、BYDや世界最大手のCATLの名が浮上している。
ACCは、ステランティス(Stellantis)、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)、トタルエナジーズ(TotalEnergies)が共同出資して設立されたが、初期に採用した高性能だが高コストなNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)技術に対し、現在の市場需要が安価なLFP(リン酸鉄リチウム)電池へシフトしているという課題に直面している。中国企業はこのLFP技術に強みを持つ。
株主であるステランティスやトタルエナジーズの経営陣も中国技術の導入に前向きである。一方で、これまでフランスとドイツ両政府が13億ユーロを投じるなど、欧州の電池自給を目指して多額の公的資金が注入されてきた経緯があるため、中国企業の参入は政策の敗北と受け止められるリスクもある。しかし、欧州内での雇用維持や「メイド・イン・ヨーロッパ」の推進という観点から、政府当局もこの動きを容認する姿勢を示している。
2. プジョー新型EV「208」は2027年後半発売へ、当初は中国製モーター採用
プジョーの新型EV「208」が2027年後半に発売される。当初は戦略的に中国製モーターを搭載する。HV対応への方針転換に伴う開発の遅れにより、発売は当初計画より1年遅れる見通しである。
Stellantis傘下のプジョーの次世代型コンパクトカー「208」は、2027年後半に100%電気自動車(EV)として発売されるが、発売当初の数ヶ月間は中国のJing-Jin Electric Technologies(JJE)製のモーターを搭載する。Stellantisと日本電産(Nidec)の合弁会社であるEmotors製のモーターは、2028年中頃から搭載される予定である。このモーターの主要部品はフランスのトレムリーで製造され、ハンガリーのセントゴットハールトで組み立てられる。
この一時的な中国製モーターの採用は、欧州で中国のパートナーやサプライヤーの活用を拡大するというStellantisの新たな戦略を反映している。
新型「208」は、新プラットフォーム「STLA One」(旧称:STLA Small)を初めて採用する。同プラットフォームは当初100%EV専用として設計されていたが、戦略転換により2028年を目処にハイブリッド(HV)仕様にも対応できるよう設計が変更された。
このHV対応への遅い方針転換や、開発の一時凍結による影響で、新型「208」の開発は大幅に遅れた。結果として、当初の計画から1年遅れ、ライバル車であるルノーの「クリオ6」の2年後に発売されることになる。
「STLA One」は、スペインで生産される「208」のほか、CセグメントやDセグメントのベースにもなる。フランスのミュルーズ工場では、プジョー、アルファロメオ、オペルの3車種がこのプラットフォームをベースに生産される予定である。