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日刊フランス欧州経済 2026年6月30日 (フリー)

日刊フランス欧州経済 2026年6月30日 (フリー)
Photo by Anfal Shamsudeen / Unsplash

1.        仏スエズ、オマーンで過去最大級の水処理契約を締結 15年で20億ユーロ規模

2.        仏のAI投資が最高額に、データセンター需要で伝統的製造業も活況

3.        仏企業の足を引っ張る規制肥大化の本質と背景:EUより自国政府の厳格化に原因

4.        セメント脱炭素化へ仏4社が新同盟、クリンカー削減と規制緩和を訴え

5.        中東紛争によるLNG不足で欧州のガス備蓄が低迷、今冬の供給に深刻な懸念

6.        EBRD、東欧の成長率鈍化を予測 エネルギー高騰や高齢化が課題に

7.        欧州、中国産鉄鋼の輸入制限へ 投資活発化も長期的コスト上昇の懸念残る


1.        仏スエズ、オマーンで過去最大級の水処理契約を締結 15年で20億ユーロ規模

仏スエズ社がオマーンで同社史上最大級となる15年総額20億ユーロの水処理契約を締結した。人口の約4割を対象に上下水道の管理や漏水率削減などを担い、同国の国家戦略に基づき水部門の近代化を推進する。
 
フランスの環境サービス大手スエズ(Suez)は、オマーンで同社史上最大級の水処理契約を獲得した。オマーンのハイサム・ビン・ターリク国王の訪仏に合わせ、現地のナショナル・トレーディング・カンパニー(NTC)ナショナル・エナジー・センター(NEC)と共同で、15年間で総額20億ユーロの「成果連動型契約」を締結した。
合弁会社「ナショナル・サステナブル・ウォーター・アライアンス」の出資比率はスエズ51%NEC34%NTC15%である。この契約は、オマーンの総人口の43%に相当する230万人の住民を対象に、首都マスカットなどの上水道・下水道サービスの管理と保守を担うものである。
具体的には、240箇所の井戸と1万700kmの配管を運用し、日量47万立方メートルの飲料水を供給する。さらに、4箇所の海水淡水化プラントの近代化や、40万個以上のスマートメーターの管理、22箇所の下水処理施設の運営も含まれる。
今回の契約には33個の主要業績評価指標(KPI)が設定されており、24時間の安定給水や、2040年までに漏水率を34%から11%へ削減することなどが求められている。このプロジェクトは、オマーンの国家戦略「ビジョン2040」に基づく水部門の近代化計画の一環である。


2.        仏のAI投資が最高額に、データセンター需要で伝統的製造業も活況

仏はAIの地を目指し投資を誘致。データセンターの爆発的需要は、半導体だけでなくシュナイダーエレクトリックやヴァレオなど伝統的な仏製造業にも多大な恩恵をもたらすが、電力や環境面での課題も抱える。
 
データセンターがもたらす需要は膨大であり、ヴァレオシュナイダーエレクトリックなど、一見テック分野とは無縁の企業活動を活性化させている。
2026年6月1日、ベルサイユ宮殿で開催された第9回「チューズ・フランス」サミットで、フランスは「AIの地」を目指す方針を固めた。発表された外国投資額は過去最高の計930億ユーロに達し、その大部分がAI開発や国内のインフラ整備に充てられる。

データセンター誘致を巡る欧州内の競争は激しい。フランスは国内に約350箇所の稼働中データセンターを抱え欧州3位につけており、豊富で低炭素な電力へのアクセスを強みに投資を呼び込む。ガブリエル・アタル首相は6月16日にインフラや計算能力の支援として6億5500万ユーロの追加支出を決定した。世界規模では、マイクロソフトメタアマゾングーグル4大巨頭が2027年から年間計1兆ドル8780億ユーロ)を投じる見込みである。
この投資は半導体セクターのみならず、従来の製造業にも恩恵をもたらす。データセンターのサプライチェーン関連の上場企業200社以上が世界株価指数を上回る実績を上げた。米キャタピラーや米フォードのほか、仏トタルエナジーズサンゴバン、電設資材のルグランなどが恩恵を受けている。自動車部品大手のヴァレオも冷却技術や蓄電システムへの展開で投資家の注目を集め、株価が急上昇した。
主役はシュナイダーエレクトリックである。同社はソフトバンクグループがフランスで計画する750億ユーロの投資プロジェクトの主要パートナーであり、同社の2025年の売上高400億ユーロの約30%をデータセンター市場が占める。
しかし、急激なサーバー密度の高まりは電力や水へのアクセスをめぐる地域社会との摩擦を生んでおり、ヴェオリアが提供する排水再利用などの環境対策が不可欠となっている。民間シンクタンクのレクセコードによれば、フランスへの100億ユーロAI投資のうち約30%が国内経済に還元される見込みであり、この歴史的な成長機会を逃すわけにはいかない局面である。