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日刊フランス欧州経済 2026年6月18日 (フリー)

日刊フランス欧州経済 2026年6月18日 (フリー)
Photo by Collab Media / Unsplash

1.        仏、水力発電近代化へ新法可決 大手EDFなどは2035年までに巨額投資

2.        仏宇宙ベンチャーがギアナ発射場の最終区画を獲得 再利用ロケットで市場に挑む

3.        欧州独自のデータ基盤構築へ 仏安全総局がシステム移行に時間かける理由

4.        中国独占のタングステン価格急騰、欧州で供給途絶の懸念と国内鉱山再開の動き

5.        仏独が「デジタル主権」の共通定義で合意 欧州の技術的自立へ連携強化

6.        BMWが業績予想を下方修正、中国苦戦でビジネスモデル変革へ

7.        EU、対中貿易赤字抑制へ規制強化 摩擦激化のリスクも

8.        欧州資本市場統合への試練、ドイツの特権獲得で規制一元化に遅れ

9.        欧州議会が新ゲノム技術の規制法案を承認 気候変動対策の品種を容認へ

10.   EUのゲノム編集承認、高まる生物特許化への懸念と市場独占のリスク

11.   米政府のAI輸出規制に仏大統領が反発 G7などで技術共有の枠組み模索


1.        仏、水力発電近代化へ新法可決 大手EDFなどは2035年までに巨額投資

フランス国民議会は水力発電への投資を再開する法案を可決した。これによりEUとの長年の対立が解消へ向かい、EDFなどは競争入札を避け大がかりな近代化が可能となる。揚水発電の創設などで気候依存度を下げ、2035年までに能力増強を目指す。

フランスの国民議会は2026年6月17日水力発電への投資を再開するための法案を可決した。これによりフランスは、欧州連合(EU)の承認獲得に大きく近づいている。
新しい法枠組みは、フランス電力(EDF)やエンジー(Engie)の子会社Shemなどの事業者が、競争入札に晒されるリスクなく大がかりなダムの近代化工事を行えるようにするものである。これにより、これまで両社を阻んでいた懸念が解消される。
投資の再開は気候変動や電化への対応に不可欠である。水力発電はフランスの電力生産の11.4%を占めるが、2025年のEDFのダム発電量は天候不順により2024年比で11%減少した。EDFは2035年までに45億ユーロを投資し、発電能力を4GW増強する計画である。また、Engieも約5億ユーロの投資を予定している。
投資の柱となるのが揚水発電所STEP)の創設や既存施設の改修である。揚水発電所は、電力が余剰の際に下部池から上部池へ水を汲み上げ、需要のピーク時に放流して発電する仕組みであり、気候への依存度を下げることができる。なお、別枠で2041年までの譲渡延長が認められているCNRも、10年間5億ユーロの投資を進めている。
今回の新法は、認可制への移行などを通じて、EUが求めていた市場開放を巡る20年に及ぶフランスとEUの対立を解消するものである。欧州委員会による最終承認には最大で18カ月を要する見込みだが、政府は前向きな見通しを示している。ただし、新体制への移行に伴い、EDFは保有する発電能力20GWのうち6GWを競合他社に提供する義務を負う。これには「支配権の喪失」を懸念する声もあるが、EDFは依然としてフランスの水力発電の80%を占める筆頭事業者であり続ける。


2.        仏宇宙ベンチャーがギアナ発射場の最終区画を獲得 再利用ロケットで市場に挑む

仏Sirius Space Servicesがギアナ宇宙基地のディアマン発射場最終区画に選定された。同社は自社製メタンエンジンを強みに小型ランチャーを開発中で、工場買収により生産体制も確保し2028年初頭の初飛行を目指す。
 
フランスのニュースペース企業であるSirius Space Services(シリウス・スペース・サービス)は、ギアナのクールー宇宙基地にあるディアマン発射場の最後の区画に選定された。これはフランス国立宇宙研究センター(CNES)が2026年1月に開始した公募によるものである。同基地は5機の小型ランチャーを受け入れるために同サイトを改修しており、他にはPLD SpaceIsar AerospaceRFA AugsburgLatitudeが選ばれている。なお、MaiaSpaceソユーズ発射場跡地へ移る。
CNESはプロジェクトの成熟度、独自開発したエンジンの試験成功、優れたシステムアプローチを評価し同社を選んだ。同社はインフラ等の提供を受ける代わりに年間賃料を支払い、独自の組立棟発射台を建設する。
共同創業者兼CEOのAntoine Fourcade氏(25歳)率いる同社は、SpaceX型のモデルを採用し、開発から生産、商業化までを自社で統括する。2020年に設立され、2026年工業化フェーズへと移行した。同社はスター(Star)と名付けた液体酸素メタンを燃料とするエンジンを開発。低軌道への積載量が180kgから1.2tに及ぶSirius 1Sirius 13Sirius 15のシリーズを展開予定である。20,000ドル1kgあたり)の価格は、初飛行から10年未満での完全再利用化により引き下げを目指す。受注残高等は5億ユーロを超え、CNESも主要顧客である。
同社は2025年6月から2026年5月にかけてSermAMM-42Enerfluxといった工場を次々と買収し、生産ラインを確保した。既存の航空・自動車向け事業も継続し、年約3,000万ユーロの経常収益を得ている。
実証機Sirius 1B2027年末に欧州本土から、主力機Sirius 13の初飛行は2028年初頭クールーから予定されている。これにより同基地が受け入れるロケットは8機となる。なお、基地内ではアリアン6ベガCの運用が優先される。