日刊フランス欧州経済 2026年6月12日 (フリー)
1. フランス政府、既存の5倍となる10GW規模の洋上風力発電入札へ
2. RTE新会長が脱炭素化推進へ、規則改革と巨額投資で電力網接続を加速
3. 欧州の規制背景に需要倍増、仏イヴェコが国内製造と技術力で電気バス市場を牽引
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1. フランス政府、既存の5倍となる10GW規模の洋上風力発電入札へ
フランス政府は総容量10ギガワットに及ぶ洋上風力発電の入札仕様書を公開した。停滞する業界の活性化へ向け、1メガワット時あたり100ユーロ未満の価格目標や、欧州製品を優遇する制限などが盛り込まれた。
フランス政府は洋上風力発電の大規模な入札「AO10」の仕様書を公開した。これは総容量10GWに及び、国内の既存設備容量の5倍、EDFのEPR(新型加圧水型原子炉)6基分に相当する。エネルギー省によると、2027年2月に11のロットが割り当てられる予定である。
フランスでは、入札の遅れや複数年エネルギー計画(PPE3)の停滞により、2024年以降、洋上風力分野の雇用や投資が減少し、業界は停滞に直面していた。
今回の入札では、着床式5GWと浮体式5GWの全ロットで、発電電力の平均価格を1MWhあたり100ユーロ未満に抑える目標が掲げられている。この価格はEDFが将来建設するEPR2の想定価格に基づき、25年間にわたり国が保証する。上限超過に備え、価格の安いフェカン(Fécamp)エリアを全体の40%組み込むなどの調整が行われた。これは手続きの不調や、送電線管理会社RTEに約200億ユーロの負担が生じる海底送電線接続の不稼働を防ぐためである。
さらに、夏期のメンテナンスに対する手当や、同一事業者が最大6つのロットを獲得できる緩和策が導入された。また、中国製部品を制限し、フランスおよび欧州の設備を優遇する「回復力」の基準も導入された。
2. RTE新会長が脱炭素化推進へ、規則改革と巨額投資で電力網接続を加速
RTE新会長に就任したエミリ・ピエットは、フランスのエネルギー主権や脱炭素化を推進する。RTEは国内外からの旺盛な投資需要に応えるため、接続規則の改革や巨額の投資計画を進め、電力網接続の加速を目指す。
エミリ・ピエットが2026年4月7日にRTE(フランス電力輸送ネットワーク)の取締役会長に就任した。政府の電化計画を推進する彼女の優先課題は、フランスのエネルギー主権、気候変動への対応、経済競争力への貢献であり、これらは投資家に対する非常に強い魅力(アトラクティブネス)の要因となる。
フランスの強みと経済の現状は以下の通りである。まず、原子力発電や再生可能エネルギーの余剰生産能力を抱えており、供給力に余裕がある。また、デカルボニカシオン(脱炭素化)と電化に向けた投資意欲が旺盛であり、工場、データセンター、水素関連など200以上の産業プロジェクト、計33GW(現行の国内産業設備容量の3倍)の接続待ち案件が存在する。これらの60%を接続できれば政府の脱炭素目標を達成可能である。さらに、日本のソフトバンクが750億ユーロの投資を発表するなど、海外からの投資誘致でも強みを発揮している。
RTEは手続きの遅れを解消するため、「先着順」から準備の整ったプロジェクトを優先する「第一準備完了・第一奉仕」への規則改革を進め、2026年後半にイル=ド=フランス地域圏で実証実験を開始する。また、接続を加速させるため2030年までに80億ユーロの予算を提示しており、これは2040年までの940億ユーロの投資計画の一環である。港湾を中心とした優先接続ゾーンの整備を進めつつ、地域住民への配慮や環境調査を継続し、産業とテック企業のバランスを考慮した優先順位付けを行う。