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日刊フランス欧州経済 2026年6月11日 (フリー)

日刊フランス欧州経済 2026年6月11日 (フリー)
Photo by Máté Dudás / Unsplash

1.        ミシュラン、高収益の「特殊タイヤ」が牽引 防衛拡大と技術力でアジア勢を圧倒

2.        仏フラマトム社、原発部品の国内自給へ 日本依存脱却と国防・経済強化を狙う

3.        フランス製で消費危機打破へ 公的調達拡大と職人技の回帰が握る活路

4.        ドイツ経済モデルが崩壊、民間マイナス成長を政府支出で隠蔽か

5.        自動車市場の低迷を打破、欧州部品大手がAIデータセンター冷却やロボットへ活路

6.        脱石油へ仏航空産業が結集、新興と大手が競う先進ハイブリッド技術の最前線

7.        欧州アリアン6が安定運用、宇宙の主権回復へ 27年に年10機量産とコスト半減目指す

8.        Apple新AI、EUで提供未定 デジタル市場法(DMA)巡る対立が膠着

9.        欧州炭素市場改革、産業界の反発で難航 独伊ら緩和要求、競争力維持へ舵取り模索


1.        ミシュラン、高収益の「特殊タイヤ」が牽引 防衛拡大と技術力でアジア勢を圧倒

ミシュランは地政学的混乱や人員削減に直面しつつも業績は堅調である。利益率が高く成長分野である特殊タイヤが仏国内製造業や同社を支え、巨額の投資で他国を圧倒。防衛関連事業も拡大し、強みを維持している。
 
ミシュランは地政学的混乱やフランスの税制上の制約による人員削減に直面しつつも、業績は非常に堅調である。
同社にとって、鉱業、航空、土木、農業、防衛向けといった「特殊タイヤ(極限のタイヤ)」は、自動車向けとは異なり本質的に成長している分野であり、同社の「技術のショーケース」である。グループのフランス国内にある13の工場のうち約半数(ブルージュやモンソー=レ=マインズなど)がこの特殊タイヤを製造しており、フランス経済や国内製造業の基盤を支えている。
スペインの広大な敷地で過酷なテストを経て開発される特殊タイヤは、グループ全体の売上高の17%を占め、最も収益性が高い。2025年の営業利益率は13.5%に達し、乗用車・二輪車向けの11.7%やトラックなどの道路輸送向けの4.7%を上回る。
鉱業用タイヤの市場シェアは50%を超えるが、低価格を武器とする中国やインドといったアジア勢との競争が激化している。しかし、年間約10億ユーロを投じる研究開発(R&D)の成果により、中国勢に対して56年の技術的アドバンテージを維持している。
さらに、国家の軍備拡張を背景に防衛関連事業が2026年に拡大しており、売上高の23%を占めている。同社は国内外の軍用車両向けにタイヤや履帯を製造しており、フランスのルノーなどが参画する無人地上車両(ドローン)プロジェクトへの参加に向けても協議を進めている。


2.        仏フラマトム社、原発部品の国内自給へ 日本依存脱却と国防・経済強化を狙う

仏フラマトム社は高い技術力で新原発計画と国防を支える中核だ。現在は日本に依存する最重要部品の国内自給化を目指す「Forge+」を進め、生産能力拡大や雇用創出、プロセスの近代化を図っている。
 
フランスの伝統的な工業地帯であるル・クルゾに位置するフラマトム社の工場は、フランスの新たな原子力発電計画を支える中核拠点である。フランス経済や国の強みとして、以下の点が挙げられる。
第一に、民生用原子力防衛(軍事)の両面において高い技術力を有している点である。工場の受注の80%は民生用原子力であり、2038年に稼働予定のペンリー原子力発電所の新型EPR2型原子炉2基に向けた部品を製造している。さらに、将来の航空母艦「ラ・フランス・リーブル」の設備も一部手がけており、国防を支える。
第二に、徹底した品質管理と時間短縮の能力である。直径5メートルの金属部品に対し許容誤差はわずか2ミリメートルであり、高精度な製造技術を誇る。
第三に、主権の回復と国内生産体制の強化を進めている点である。現在、原子炉の最重要部品である「圧力容器」の製造は日本に依存しているが、約5億7900万ユーロを投じる「Forge+」プロジェクトを通じて、2028年から新工場の建設を開始する。これにより、すべての大型鍛造設備の国内自給化を目指す。
また、フラマトム社はEPR2用鍛造部品の製造割合を60%から3年以内に80%へ引き上げる計画であり、最初の6基EPR2向けに計500個の部品を出荷する予定である。
現在、従業員は650人に倍増しており、さらに「Forge+」により生産能力を2倍に拡大し、190〜200人を追加採用する。独自の専門学校も設立し、地域での雇用と育成を維持する。さらに、ガスと電気を併用する「ハイブリッド炉」の導入など、プロセスの電動化による近代化も進めている。