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日刊フランス欧州経済2026年5月21日(フリー)

日刊フランス欧州経済2026年5月21日(フリー)
Photo by İsmail Enes Ayhan / Unsplash

1.        仏AIONに大手6社が新参画、加盟28団体に 欧州AI入札へ布陣強化

2.        ステランティスと中国・東風汽車、仏工場でのEV現地生産で合意

3.        仏ダノン、米ケフィア大手の買収断念 全株式売却へ

4.        仏、量子技術と半導体の連携へ 大統領が新たな資金援助発表か

5.        仏、欧州投資魅力度で首位維持もFDI件数は17%の大幅減

6.        仏の外国投資に警戒感、R&D投資は47%減 大統領選控えドイツからの投資も減少

7.        フランスでデータセンター投資が急増 政府は認可期間短縮で後押し

8.        仏タレスとグーグル、独で主権クラウド展開へ 26年末までに提供開始

9.        欧州イノベーション評議会、50億ユーロ規模の新基金運用元にEQTを選出

10.   2025年の中国による欧州投資、前年比67%増の168億ユーロに急増

11.   欧州主要5カ国 2026年はプラス成長維持も中東情勢が影


1. 仏AIONに大手6社が新参画、加盟28団体に 欧州AI入札へ布陣強化

AIONコンソーシアムに新たに6社が参画し、計28団体となった。欧州委員会のAIギガファクトリー入札に向け、フランス連合の布陣を強化する。総予算100億ユーロ、最終的に1ギガワットの電力供給を目指す。
 
AIONコンソーシアムに、Bull、Orange、EDF、Ardian、Capgemini、Artefactの6社が新たに参画した。これにより、加盟メンバーは28に達している。この動きは、欧州委員会が今春以降に開始する予定のAIギガファクトリー(AIの工場)入札に向けたフランス連合の強力な布陣を示すものである。参画企業には研究機関のGenciやInria、金融のCrédit agricole、AIスタートアップのHugging FaceやKyutai、産業大手のSchneider ElectricやNokiaなどが名を連ねる。これらすべてのメンバーが民間需要の安定的な顧客となり、建設前から利用基盤を保証する仕組みである。
プロジェクトの建設候補地には、Iliad子会社がデータセンターを開発中のモンテロー(Montereau)のほか、OrangeやArdianの施設も視野に入っており、複数拠点での展開も想定されている。規模としては、初期段階で100メガワットの電力を確保し、最終的には1ギガワットの電力供給量を目指している。総予算は100億ユーロに上る。
欧州での選考は、これまでに16カ国から76の関心表明があったが、最終的な採択数は欧州全体で56件、1カ国あたり1件に限定される見込みである。激しい競争を勝ち抜くため、AIONはThalesやMistral AIといった未参画の大手とも協議を進めており、国内の他競合を抑えてフランス唯一の有力候補となることを目指している。


2.        ステランティスと中国・東風汽車、仏工場でのEV現地生産で合意

ステランティスと中国の東風汽車は、仏工場でのEV現地生産を含む提携拡大に合意した。合弁会社を設立し欧州市場開拓を図るが、安価な中国製部品による現地の雇用への影響や政治的な懸念の声も上がっている。

自動車大手のステランティスとその中国のパートナー企業である東風汽車(ドンフェン)は、フランスのレンヌ・ラ・ジャネ工場で東風の新型エネルギー車の現地生産を行うことで合意した。
このプロジェクトは、34年間におよぶ両社の提携関係を拡大するものである。両社は欧州に合弁会社を設立する予定であり、出資比率はステランティス51%東風汽車49%となる。この新会社は、2020年7月に設立された東風の高級EVブランド「嵐図( Voyah )」の中国国外での販売や生産などを担う。ステランティスにとって「嵐図」は16番目のブランドとなり、既存の販売・サービス網を活用して欧州市場への展開を図る。
一方で、この計画は懸念も呼んでいる。合弁会社は中国の競争力のあるEVエコシステムを活用し、共同での調達やエンジニアリングを行うとしている。中国製の部品は欧州製より30%安価であるため、労働組合は現地のサプライチェーンへの影響や雇用の先行きに危機感を募らせている。また、政治家からは中国企業に欧州市場の門戸を開く行為であるとの批判も上がっている。
かつて2014年東風汽車PSAの株式の14%を取得して経営危機を救った歴史があるが、その後関係は一時冷え込んでいた。今回、ステランティスが1億3000万ユーロ、中国側が10億ユーロ規模を投資して提携を再強化する。過去に必ずしも成功しなかったこの提携が、今回は成功するか注目される。