日刊 フランス欧州経済 2026年5月19日(フリー)
1. AI Mistral AIが今年2件目の企業買収、産業エンジニアリング分野への展開を加速
2. 非食品の廃棄削減へ 仏スタートアップが欧州展開と成長加速を目指す
3. 仏運送大手と新興が提携、大型トラックの自動運転化と燃料削減へ
4. 中東紛争が仏中小企業に影、経営者の6割超が財務への悪影響を懸念
5. 英国でブレグジット巡る議論が再燃 労働党内で復帰論と慎重論が対立
6. 蘭ASMLと印タタが協力協定 初の半導体ファウンドリ建設へ装置供給
7. 「セルティック・インターコネクター」仏側の変換所が完成、海底敷設へ
8. 軽自動車に着想、ステランティスが欧州向け小型EVの生産計画を発表
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1. AI Mistral AIが今年2件目の企業買収、産業エンジニアリング分野への展開を加速
仏Mistral AIは、産業向けAIシミュレーション専門の墺Emmi AIを買収した。技術者約30人が合流し、航空宇宙や自動車などの産業分野への展開を加速させて大型契約の獲得を狙う。
フランスの生成AI企業Mistral AI(デカコーン企業)は、産業エンジニアリング向けAIシミュレーションを専門とするオーストリアのEmmi AIを買収した。これは2026年2月のKoyeb買収に続く2番目の買収である。
2024年に誕生したEmmi AIは、物理法則をモデル化してリアルタイムシミュレーションを可能にする「ラージ・エンジニアリング・モデル」を開発している。ターゲットは航空宇宙、自動車、エネルギー、半導体分野で、すでに7桁規模の契約実績もある。1年前にはSerenaなどから1500万ユーロを調達していた。
今回の買収で、Emmi AIの約30人の技術者がMistral AIのチームに合流する。共同創業者のギヨーム・ランプズは、デジタルツイン等の提供により長年の技術的課題を克服できると強調する。金融やロボティクス分野へも多様化を進めるMistral AIは、この産業分野への加速により大型契約の獲得を狙う。なお、投資家のSerenaにとっては、数ヶ月で2社の投資先を同社に売却した形となる。
2. 非食品の廃棄削減へ 仏スタートアップが欧州展開と成長加速を目指す
仏Dealinkaは、非食品の売れ残り商品を慈善団体へ再分配するプラットフォームを運営する。650万ユーロの資金調達を完了し、今後は国内の体制強化や欧州各国への海外展開を進め、さらなる成長を目指す。
フランス北部のヴァランシエンヌで2023年に設立されたDealinkaは、非食品の売れ残り商品を慈善団体へ再分配するデジタルプラットフォームを運営するスタートアップ企業である。同社は、廃棄物削減を目指すAgec法を背景に、企業の在庫を距離や保管能力に応じて最適な団体へ寄付する仕組みを構築し、企業からの手数料で収益を得ている。
同社は、投資ファンドRe-Sourcesからの出資と銀行融資により、総額650万ユーロの資金調達を完了している。設立からわずか2年で売上高は510万ユーロ、従業員は64名に達しており、今年は700万ユーロの売上を見込んでいる。昨年は、建設資材や衛生用品など3100万ユーロ相当、45,000パレット分の製品を、800件の事業を通じて1,200のパートナー団体に再分配している。
フランスでは毎年43億ユーロの非食品の売れ残りが発生し、そのうち約6億3000万ユーロが依然として廃棄されているため、市場の成長余地は極めて大きい。同社は今回の資金を、国内での営業人員の採用や技術の向上、そしてスペイン、英国、イタリアなどの海外展開に充てる計画である。中期的に従業員を約100名へ増員し、現地子会社の設立や企業買収も視野に入れ、さらなる成長加速を目指している。