日刊 フランス欧州経済 2026年5月18日(フリー)
1. Osmos X社、高効率プラズマ推進の宇宙機開発 29年初飛行へ
2. 中古EVの需要低迷、行き詰まる在庫と自動車市場「緑化」への影響
3. 欧州自動車大手が防衛分野へ参入 再軍備背景に多角化模索
4. EU、中国セキュリティ機器大手に反補助金調査を開始
5. 欧州議会最大会派が新車CO2削減の緩和案提示、中道派は猛反発
6. 中東の生産停滞でアルミ価格急騰、欧州製造業のコストに影響
7. 論説・北京自動車ショーに見る中国EVの技術的優位と欧州勢の苦戦
1. Osmos X社、高効率プラズマ推進の宇宙機開発 29年初飛行へ
Osmos X社は、高効率なプラズマ推進技術を採用した再利用可能な宇宙機「Thorus」を開発している。2029年の初飛行と2030年以降の20機配備を目指し、人員拡大や資金調達を進めている。
2022年に創設されたOsmos X社は、衛星の軌道移動や燃料補給、デブリ削減などの軌道上サービスを提供する再利用可能な宇宙機「Thorus」を開発している。同社は顧客との距離を縮めるため、宇宙機の設計拠点をトゥールーズに新設した。
競合企業が電気推進を採用するのに対し、同社はプラズマ推進技術である「HPCR」を採用している。この技術は長期間の稼働が可能であり、従来の電気モーターの約3倍のエネルギー効率を誇る。そのため、ミッション数を3倍に増やし、運用コストを削減することが可能である。創業者らはイオン源製造のPantechnik社で35年の専門知識を培っている。
開発中のThorusは、500〜10,000 kgの積載量に対応し、寿命は5年である。1,000 kmの低軌道から36,000 kmの静止軌道への衛星輸送や、通信衛星の寿命延長、防衛目的の宇宙監視などを目指しており、すでに欧州の2つのプロジェクトに採択されている。
今後の計画として、2027年春にプラズマ推進の実証飛行を行い、2029年に宇宙機全体の初飛行を予定している。これに伴い、現在18人の従業員を年末までに約40人、2029年には120〜150人へと拡大する意向である。資金面では、2024年に投資ファンドのExpansionなどから200万ユーロ以上を調達しており、2027年までに新たな資金調達を目指している。そして2030年以降、20機のThorusを段階的に配備する方針である。
2. 中古EVの需要低迷、行き詰まる在庫と自動車市場「緑化」への影響
ガソリン高騰で仏の中古EV販売は急増したが不均衡は残る。新車優遇策によるリース車両の大量流入が見込まれる一方、中古への公的支援がなく需要は低迷。供給過剰に伴う自動車市場の緑化停滞が懸念されている。
ガソリン価格の高騰を背景に、フランスの中古電気自動車(EV)市場が活性化している。Dataneoの統計では、前年同月比で2026年の3月に48%、4月に65%販売が急増した。しかし、この一過性の好調だけでは市場の構造的不均衡は解消されない。
EUやフランス政府は環境政策として新車EVの購入を強力に推進しており、最大5,700ユーロの環境ボーナスや、年間5万人を対象とするソーシャルリースなどの支援により、2025年の新車登録におけるEVの割合は27%に達した。問題は、これらの車両の多くが3〜4年の長期リース契約であり、数年後に大量の中古車として戻ってくる点である。
現在、中古EV市場には公的支援がなく、価格の高さから需要が低い。ディーラーは大量の在庫を抱え、2026年第1四半期の平均売却期間が151日に及ぶなど、資金繰り悪化や赤字販売を強いられている。来年にはソーシャルリース第1期の5万台が市場に流入するため、さらなる供給過剰が懸念されている。
中古EVの流動性が低下すれば、ディーラーは将来の下取りリスクを恐れて新車EVの販売を躊躇し、結果として自動車市場の緑化全体が停滞する恐れがある。業界団体Mobiliansはソーシャルリースを中古車へ拡大することを求めているが、財務省は応じていない。