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フランス欧州ビジネスニュース2026年5月6日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年5月6日(フリー)
フランスのディープテック企業、Rosi Solar(ロジ・ソーラー)は、独自の熱化学処理技術により、太陽光パネルから銀や高純度シリコン、銅などを回収する高度なリサイクル事業を加速させている

1.        太陽光パネルから希少金属を回収 仏企業が新技術で欧州の資源確保へ

2.        洋上風力やEVで欧州産磁石を義務化 フランス政府、資源自律を急ぐ

3.        仏、新レアアース計画で脱中国依存へ 供給網の自立急ぐ

4.        仏新興企業、重要鉱物確保へ先端技術 AIやバイオで中国依存脱却狙う

5.        鉄鋼の脱炭素化見据えリサイクル大手統合 独拠点確保で売上5割増へ

6.        「産業復興」か環境保護か フランス、重要金属の国内生産巡り対立激化

7.        欧州半導体産業の強化へ一助 独メルク、仏でAI向け計測施設を稼働

8.        独自動車業界に深刻な亀裂 エンジン車禁止緩和で「先行組」と「後発組」が対立

9.        ノルウェー、旧ガス田を再稼働 欧州へのエネルギー供給強化へ

10.  脱炭素と化石燃料利権の「二重規範」 ノルウェー政府基金の投資戦略に批判


1.        太陽光パネルから希少金属を回収 仏企業が新技術で欧州の資源確保へ

仏ロジ・ソーラーは熱化学処理で太陽光パネルから希少資源を回収する。資金調達を経て欧州各地で工場を新設し、中国依存脱却と資源循環の確立を目指す。欧州のエネルギー主権を支える戦略的事業として期待されている。
 
フランスのディープテック企業、Rosi Solar(ロジ・ソーラー)は、独自の熱化学処理技術により、太陽光パネルから高純度シリコン、銅などのクリティカルマテリアル(重要原材料)を回収する高度なリサイクル事業を加速させている。従来の粉砕方式とは一線を画す同社のプロセスは、欧州のエネルギー主権を支える戦略的技術として注目されている。
資金調達と事業拡大 同社は最近、既存株主のInnoEnergyや欧州イノベーション会議(EIC)、新規のCMA CGMらから2,000万ユーロの資金を調達した。これにより、スペインのテルエルに年間の処理能力1万トンを誇る新工場の建設を決定し、2027年中の稼働を目指している。さらに、ドイツでも年間3万トン規模の巨大生産ラインの計画を進めており、2027年末から2028年初頭の稼働を視野に入れている。
現状と課題 フランス・イゼール県の実証拠点では、現在年間約2,500トンの処理を行っている。鉛の含有やパネルサイズの大型化といった産業上の課題に直面し、当初の計画からは遅延しているものの、標準化とAI導入による自動化を進めることで、効率的な商業化を図っている。フランス国内だけでも2030年までに25万ユニットのパネルが寿命を迎えると予測されており、同社はリサイクル公認団体Sorenの委託業者にも選出されている。
欧州の戦略的背景 欧州ではNZIA(ネットゼロ産業法)により、2030年までに太陽光パネルの40%を域内で製造する目標が掲げられている。中国が世界のウェハー生産の97%以上を占める中、リサイクルを通じて原材料を再確保するRosiの技術は、欧州の「脱・中国依存」とサーキュラーエコノミー確立に向けた鍵を握っている。


2.        洋上風力やEVで欧州産磁石を義務化 フランス政府、資源自律を急ぐ

仏政府は中国依存脱却へ、レアアース供給網確保の国家計画を発表。公共調達やEVへの欧州産使用義務化を柱とし、リサイクル強化や多国間連携を推進する。脱炭素に不可欠な資源の安定調達を地政学的最優先課題とする。
 
フランス政府は2026年5月5日、エネルギー転換に不可欠なレアアース(希土類)の供給網を確保するための国家計画を発表した。レアアースは電気自動車のモーターに1〜2キロ、洋上風力発電では出力1メガワットあたり平均200キロ使用されるが、採掘から加工、磁石製造に至るまで中国が市場を独占している。2025年4月の中国による輸出制限を受け、政府は依存脱却を地政学上の最優先課題と位置づけた。
計画の柱は、公共調達や特定産業への欧州産製品の使用義務化である。洋上風力発電の入札(AO 10)では、永久磁石の中国依存度を50%未満に抑え、25%以上を欧州産とすることを求める。また、自動車産業に対しても、調達先の多角化計画の策定を義務付け、これに応じない企業には「フランス2030」などの公的補助を停止する厳しい姿勢を示した。
フランス国内には鉱山がないため、戦略の中核はリサイクル精製にある。ラングドック地方のケアマグ社は、永久磁石のリサイクルと精製を担い、将来的には重レアアースの世界需要の10%国内需要の100%をカバーする見込みである。政府はこれらのプロジェクトを支援し、グリーン産業投資税額控除を2028年まで延長する。あわせて、マレーシアブラジルカナダなどとの二国間協力や、G7での連携を通じて、上流工程の供給源確保を急いでいる。