フランス欧州ビジネスニュース2026年4月30日(フリー)
1. 「オリエント・エクスプレス」の帆船誕生 アコーとLVMHが共同展開
2. 燃料高騰で巨額利益のTotal、野党が追加課税を要求 政府は慎重姿勢
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1. 「オリエント・エクスプレス」の帆船誕生 アコーとLVMHが共同展開
世界最大の帆船ヨット「オリエント・エクスプレス・コリニアン」が誕生。アコーとLVMHが組み、超富裕層向け体験型観光へ本格参入する象徴だ。豪華な設備で差別化を図り、二隻目の建造など事業拡大を進めている。
2026年4月29日、フランスのサン・ナゼールにて、世界最大の帆船「オリエント・エクスプレス・コリニアン」の命名式が行われた。全長220メートルに及ぶこの豪華ヨットは、ホテル大手アコーとLVMHが共同展開する「オリエント・エクスプレス・セーリング・ヨット」の第1号船である。
本船は、高級ホテルのコードをクルーズに持ち込んだ「世界で最も機動的なホテル」をコンセプトとしている。船内には54室のスイート(45〜230平方メートル)が備わり、デザインはアール・デコ様式を採用。全室に執事(バトラー)が配置される。食の面では多つ星シェフ、ヤニック・アレノが監修する5つのレストランが提供され、スパや録音スタジオ、1930年代風のバーなどの設備も完備されている。
利用価格は、3泊の航海で1名約1万7,000ユーロからとなっており、1週間の船体貸切費用は約600万ユーロに達する。既に富裕層や企業からのプライベート利用の問い合わせが相次いでいる。
このプロジェクトは、アコーが進める高級路線への再編戦略の一環である。マリオットやフォーシーズンズといった競合に続き、高成長を続ける「体験型観光」と「超高級クルーズ」市場への参入を象徴している。すでに2隻目となる「オリエント・エクスプレス・オリンピアン」の建造も進んでおり、2027年春の納入を予定している。
2. 燃料高騰で巨額利益のTotal、野党が追加課税を要求 政府は慎重姿勢
燃料高騰で巨額利益を得たトタルだが、仏国内の納税は実質ゼロで課税論争が再燃。利益を国外拠点とする会社側と、追加課税を求める野党が対立する。政府は慎重な姿勢を崩さず、富の再分配の実効性は不透明である。
TotalEnergiesの2026年第1四半期決算は、純利益が前年同期比51%増の50億ユーロに達した。中東での緊張に伴うエネルギー価格高騰を背景に、1株90セント(5.9%増)への配当引き上げも決定された。しかし、ガソリン価格が1リットル2ユーロを上回る中で、この「戦争利得」に対する課税論争が再燃している。
フランス政府は追加課税を排除しない姿勢だが、現行制度の限界が露呈している。同社は超過利潤税(CEBGE)の対象で、本来は41.2%の税率が適用されるが、2025年のフランス国内での納税額は実質ゼロとなる見通しだ。これは、グループ全体で巨額の利益を上げつつも、国内の製油事業が2億5,000万ユーロの税務上の赤字を記録しているためである。同社は、利益の大部分はフランス国外の採掘拠点や、スイスに置かれたトレーディング部門で発生していると主張し、燃料価格の上限設定による消費者還元を強調している。
これに対し、野党の社会党は課税対象の閾値を引き下げる法案を提出し、国民連合(RN)は配当や自社株買いに対して最大33%の課税を求めている。経済学者のリュカ・シャンセル氏は、利益が国外にあるとする説明は「現状維持のための物語」だと批判した。政府は欧州5カ国による共通課税の提案への署名を見送るなど慎重な姿勢を維持しており、実効性のある「富の再分配」が実現するかは不透明である。