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フランス欧州ビジネスニュース2026年4月21日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年4月21日(フリー)
パリのDeFi企業モルフォがトークン価値に基づき評価額10億ドル超のユニコーンとなった

1.        仏DeFiスタートアップがユニコーンに、トークン時価総額10億ドル突破

2.        再エネ供給過剰の仏電力市場、蓄電リーダーがIPO含む戦略的選択肢へ

3.        半導体増産へ公的資金87億ユーロ、仏検査院、管理体制と評価を疑問視

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7.        創薬AI、製薬大手と提携加速 開発期間の半減と成功率向上へ

8.        中東紛争で燃料価格が急騰 、プライベートジェット、コスト直撃で運賃上昇

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10.  欧州共通のデジタル決済始動、オンラインから実店舗拡大へ


1.        仏DeFiスタートアップがユニコーンに、トークン時価総額10億ドル突破

パリのDeFi企業モルフォが、トークン価値に基づき評価額10億ドル超のユニコーンとなった。ブロックチェーンを用いた資産貸借のインフラを提供し、預かり資産は130億ドルに到達。金融大手の採用も進んでいる。
 
パリを拠点とするスタートアップ、Morpho(モルフォ)が、従来の資金調達を経ることなく、企業価値10億ドルを超える「ユニコーン」の仲間入りを果たした。デジタル担当相のアン・ル・エナンフは、同社を分散型金融(DeFi)のリーダーと称賛している。
2021年に設立されたMorphoは、ブロックチェーン上での資産の貸借を可能にするインフラを提供している。その評価額が10億ドルを突破した背景には、従来の増資ではなく、同社のガバナンス・トークンの価値がある。暗号資産(仮想通貨)業界では、プロジェクトの価値が企業そのものだけでなく、ガバナンス権や経済的露出を伴うトークンに反映されることが一般的だ。
現在、流通しているトークンの時価総額は10億ドルに迫り、将来的に発行予定の全10億枚のトークンで計算すると、理論上の時価総額は17億ドルを超える。同社はトークンを通じて2022年1800万ドル2024年5000万ドルを調達しており、投資家にはa16z cryptoCoinbase Ventures、さらにBpifrance(フランス公的投資銀行)などが名を連ねている。
共同創設者のポール・フランボは、Morphoを「クレジット界のVisaやMastercard」に例える。自ら直接貸し付けるのではなく、ブロックチェーンを用いて貸し手と借り手を結びつける技術ネットワークを目指している。
実績面では、2025年に預かり資産がピーク時で130億ドルに達した。融資残高も19億ドルから45億ドルへと236%の成長を遂げている。Coinbaseがビットコインを担保としたステーブルコインの融資に同社の技術を採用したほか、ソシエテ・ジェネラルの子会社SG Forgeも自社のステーブルコインをMorpho上で展開している。
現在、同社は約60名のスタッフを擁し、パリ、ニューヨーク、シンガポールに拠点を置く。収益化よりも成長を優先する段階にあり、分散型金融における主要なインフラとしての地位を固めている。


2.        再エネ供給過剰の仏電力市場、蓄電リーダーがIPO含む戦略的選択肢へ

仏蓄電池首位のNWが、欧州での事業拡大に向け支配権譲渡やIPOを含む新株主の模索を開始した。太陽光の供給過剰で蓄電需要が急増する中、高い収益性を武器に2026年までの支配権譲渡も視野に成長を急ぐ。
 
バッテリーストレージ企業のNWが、急成長に伴い新たな株主を模索している。創業者であるジャン=クリストフ・ケルデルヒュエは、来年にも支配権を譲渡する可能性がある。
フランスの電力市場は現在、太陽光発電の急増により卸売価格がマイナスに転じるなど、供給過剰の状態にある。当局やエネルギー企業は、市場と送電網の均衡を保つために、蓄電池による数時間の電力貯蔵を重要な解決策と見なしている。
この分野で独立系のNWは、EngieTotalEnergiesNeoenを抑え、フランスのリーダーとしての地位を確立した。関係筋によると、同社はさらなる加速に向け、野村證券をアドバイザーに起用し、過半数株式の売却や株式公開(IPO)を含むあらゆる選択肢を検討している。
同社の企業価値は約20億ユーロに達すると推測されている。これは、2026年に予想されるEBITDA(営業利益)1億ユーロ20倍に相当する。昨年の実績では、売上高6,000万ユーロに対し、EBITDAは約5,000万ユーロと極めて高い収益性を誇る。
NWの強みは、送電網の混雑を回避する安定したシステムサービス収入と、市場価格の変動を利用した裁定取引の組み合わせにある。同社は独自の「JBox」を展開し、2024年末にはフランスとフィンランドを中心に、計1,500基(出力1.6GW相当)の設置を見込んでいる。
ケルデルヒュエは、ドイツやポーランドなどへの国際展開に向け、2億〜3億ユーロの自己資本増強を計画している。すでに2025年末2.2億ユーロの負債調達を完了しており、資金的な余裕はあるものの、2028〜2032年の次なる成長段階を見据えて支配権を手放す準備を進めている。