フランス欧州ビジネスニュース2026年4月17日(フリー)
1. 乳製品大手仏Lactalisラクタリス、米州・アジアへ海外シフト
2. 仏再エネ雇用25万人に迫る 関連含め77万人超、地域経済を下支え
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1. 乳製品大手仏Lactalisラクタリス、米州・アジアへ海外シフト
仏ラクタリスの2025年売上高は米州事業の好調で312億ユーロに達した。欧州の低迷を受け、豪州やアジアでの買収を加速させ海外展開を強める。今後は負債圧縮と、目標とする利益率2%への回復が焦点となる。
フランスの乳製品大手Lactalis(ラクタリス)は、欧州市場の低迷を受け、海外展開を加速させている。
2025年の通期売上高は前年比2.9%増の312億ユーロに達した。この成長を牽引しているのは米州地域であり、売上構成比は32.7%、売上高は史上初めて100億ユーロを突破している。特に米国では、前年に買収したYoplait(ヨープレイト)の事業や、高タンパク食品の需要拡大が寄与している。一方、母国フランスの成長率は1.8%にとどまり、将来的に主要市場としての順位が入れ替わる可能性がある。
足元では、ニュージーランドの乳業大手Fonterra(フォンテラ)の消費者向け事業の統合を進めている。この買収により、オセアニアや東南アジアでの事業規模は倍増する見込みである。特にオーストラリアは同社にとって6番目の主要国となる見通しであり、アジア圏を新たな収益の柱に据える戦略である。
経営面では、昨年の純利益が5億2800万ユーロ(売上高比1.7%)に回復した。同社は目標として利益率2%の回復を掲げているが、課題も多い。欧州では原材料価格の高騰や物流コストの増大が利益を圧迫しており、販売価格への転嫁を巡って小売業者との交渉が続いている。また、相次ぐ巨額買収により、負債総額は63億ユーロに増加している。今後は2026年中にFonterra事業の統合を完遂させつつ、財務体質の健全化と成長の両立を図る局面にある。
2. 仏再エネ雇用25万人に迫る 関連含め77万人超、地域経済を下支え
フランスの再エネ直接雇用は2024年に約25万人へ達し、従来推計を大きく上回った。中小企業が4割強を占め、ヒートポンプや太陽光が主力だ。政策停滞による人員削減の課題はあるが、地域に根差す雇用効果は大きい。
フランス再生可能エネルギー連盟(SER)が発表した最新の調査結果によると、同セクターにおける雇用創出の実態が明らかになった。政治的批判や公的支援への懐疑論に対し、業界の経済的・社会的重要性を示す狙いがある。
雇用規模の推計
2024年におけるフランス国内の再生可能エネルギー直結のフルタイム雇用(ETP)は、248,785人に上る。これは、これまで参照されてきたADEME(環境エネルギー管理庁)の2022年データ(166,000人)を大幅に上回る数値である。内訳として、TPE(超零細企業)およびPME(中小企業)が全体の47%を占めている。
分野別・地域別の特徴
職種別では、ヒートポンプ分野が全体の約30%を占めて最多であり、次いで太陽光発電が17%である。地域ごとの特色も鮮明であり、以下の分布が見られる。
- 南西・中央・北東部:バイオマス
- オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域:水力発電
- オー=ド=フランス地域:陸上風力発電
経済的波及効果と課題
関連する建設業やサプライヤーなどの間接雇用(約179,000人)を含めると、その規模は約428,000人に達する。さらに、消費支出や納税による誘発雇用まで含めた総計は775,000人とされる。 一方で、エネルギー計画(PPE3)の停滞や入札の不透明感から、RWEフランスやボラレックスなどで人員削減も発生している。SERは、雇用の40%が設置や保守という「非移転型」であることを強調し、地域経済の安定に寄与していると主張している。