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フランス欧州ビジネスニュース2026年4月10日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年4月10日(フリー)
Photo by Andrés Dallimonti / Unsplash

1.     仏送電網の安定化に原発活用、市場価格マイナス時も運転継続

2.     エアバスがサービス新会社 収益の柱へ 30年に100億ユーロ目標

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1.  仏送電網の安定化に原発活用、市場価格マイナス時も運転継続
 
フランス送電網管理組織は、再エネ拡大に伴う電圧上昇対策として、供給過剰時も原発の運転を義務付ける。再エネに欠ける電圧調整能力を補うのが狙いだ。損失は補償されるが、費用は消費者の電気料金に転嫁される。
 
フランスの送電網管理組織RTEは、電力供給過剰時であってもEDF(フランス電力)の原子力発電所を稼働し続けるよう義務付ける方針である。これは、再生可能エネルギーでは困難な電圧の安定化を維持することが目的であり、2026年の春から夏にかけて予想される電圧上昇への対策である。
通常、電力ネットワークは成分の損傷を防ぐため、約40万ボルトの電圧を維持する必要がある。従来、この調整は火力、水力、原子力の回転機(同期機)が担ってきた。しかし、太陽光や風力発電の多くはインバーターを介して送電しており、電圧を制御する機能を備えていない。そのため、需要が減り再エネが増える時期には、一部の地域で電圧が危険なレベルまで上昇するリスクが生じている。
CRE(エネルギー規制委員会)が承認した新モデルでは、市場価格がマイナスで赤字となる状況でも、RTEが特定の原子炉の運転を「予約」し、維持させることが可能となる。引き換えに、EDFには損失分を補填する金銭的補償が支払われる。この費用は、最終的に消費者の電気料金に含まれるネットワーク料金から賄われる仕組みである。
一方で、原子炉の低出力運転や過度な調整は、設備への負荷や過熱のリスクを伴う。また、将来的には再エネ側でも「4象限インバーター」などの技術を用いることで、原子力と同様の電圧安定化サービスを提供できる可能性がある。脱原発を進めるスペインでは、すでに風力発電所に対して動的な電圧調整への対応を義務付けている。


2.  エアバスがサービス新会社 収益の柱へ 30年に100億ユーロ目標

エアバスは新子会社を設立し、デジタルサービス部門を統合した。2030年までに売上高100億ユーロを目指す。景気変動に強い保守・運航支援を強化し、ボーイングが先行するサービス分野で事業構造の転換を図る。

エアバスは、航空会社向けデジタルサービスを手掛ける新子会社「Skywise」を設立した。これは既存のデータプラットフォーム「Skywise」と運航支援の「Navblue」を統合したものであり、2030年までにサービス部門の売上高を100億ユーロに引き上げることを目指している。
現在、同社の民間航空部門におけるサービス事業の割合は売上全体の11%にとどまっている。一方、2025年の航空サービス市場は1590億ドル規模に達しており、2044年には年平均3.6%の成長で311億ドルに拡大すると予測されている。特にデジタル・接続分野は5.6%の成長が見込まれる有望な領域である。
新会社は世界各地に約750名の従業員を擁し、24時間体制で顧客をサポートする。提供するサービスは多岐にわたり、AIを活用した「予知保全」によって機体の地上待機時間を削減するほか、最適な飛行ルートの選択や燃料管理の効率化を実現している。現在、150以上の航空会社、約1万2000機がこのプラットフォームを採用しており、その中にはエアバス機を保有しない顧客も含まれている。
競合のボーイングは、2025年時点でサービス部門が売上の22%200億ドル)を占めるなど先行している。エアバスは、景気変動に左右されやすい機体製造に対し、長期契約で安定収益が見込めるサービス事業を強化することで、ビジネスモデルの転換を図っている。