フランス欧州ビジネスニュース2026年3月5日(フリー)
1. 仏ソラビア、企業価値10億ユーロ超へ、天然成分市場にて買収で攻勢加速
2. 仏Euroapi、純損失2.1億ユーロに拡大、対中競争激化でビタミン増産断念
3. 「モデル地域」の崩壊、独自動車産業の構造変化が自治体財政を直撃
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6. 中国製バッテリーや電気自動車、特にハイブリッド車をブロックしない「バイ・ヨーロピアン法」
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8. 「行動を起こさなければ、戦略的セクターは消滅する」:欧州委員セジュルネ氏の警告
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1. 仏ソラビア、企業価値10億ユーロ超へ、天然成分市場にて買収で攻勢加速
仏ソラビアは投資ファンド傘下で買収を加速し、企業価値は10億ユーロを超えた。天然由来成分需要を背景に、売上高を約40%増の2億5000万ユーロへ拡大。2020年代末の5億ユーロ規模到達を目指す。
フランスの植物由来成分メーカー、ソラビア(Solabia)が事業拡大を加速させている。1972年に薬剤師によって設立された同社は、化粧品、医薬、栄養補助食品向けの天然成分や診断キットを専門としている。2023年5月に欧州の投資ファンド、アストーグ(Astorg)の傘下に入り、企業価値は10億ユーロを超えた。
ソラビアは現在、業界の巨頭であるBASFやジボダン(Givaudan)に対抗すべく、積極的な買収戦略を展開中である。直近では、植物幹細胞技術を持つスイスのミベル(Mibelle)社、セケンス(Seqens)社の植物成分部門、および微生物診断専門のゼビオス(Xebios)グループの3社の買収を進めている。これにより、売上高は従来の1億8000万ユーロから2億5000万ユーロへと約40%増加する見込みである。
この攻勢の背景には、ロレアル(L’Oréal)や資生堂といった大手化粧品メーカーが、天然由来成分を重視する「クリーンビューティー」や「ロンジェビティ(長寿・抗老化)」を戦略の柱に据えている状況がある。ソラビアは科学的根拠に基づいた天然成分の提供により、差別化を図る方針である。
アストーグは、断片化された天然成分市場においてソラビアを独立系筆頭の地位に押し上げることを狙う。欧米に70以上の買収候補を見据えており、2020年代末までに売上高を4億から5億ユーロ規模へ成長させるロードマップを描いている。不安定な世界情勢の中でも成長が続く化粧品市場において、同社は全セグメントへのソリューション提供を目指すものである。
2. 仏Euroapi、純損失2.1億ユーロに拡大、対中競争激化でビタミン増産断念
Euroapiは中国勢のダンピングで純損失2.1億ユーロと業績が大幅に悪化。稼働率は50%に低迷し、サノフィ向け販売も26%減少した。これは、欧州の「衛生上の主権」確保が中国の攻勢に対し脆弱な現状を示唆している。
フランスの医薬品医薬部外品原料(API)大手Euroapiの業績悪化が深刻化している。同社が発表した2025年通期決算によると、純損失は前年の1億3100万ユーロから2億1100万ユーロへと拡大した。この背景には、米国による関税障壁の影響で、中国製安価製品の輸出先が欧州へ流入し、激しいダンピングに晒されている現状がある。
これを受け、同社はノルマンディー地方のサン=トーバン=レ=エルブフ工場におけるビタミンB12の増産計画断念を決定した。同拠点はアジア以外で唯一の生産サイトだったが、競争激化により経済的合理性が失われ、7800万ユーロの減損処理を余儀なくされた。
同社の売上高は前年比7%減の8億4800万ユーロに落ち込み、特に元親会社サノフィ向け販売が26%減少したことが響いている。現在、工場の稼働率は持続可能な水準である75〜80%を大きく下回る約50%に留まっている。
株価は2022年の上場時の12ユーロから、現在は1.43ユーロまで下落し、27%急落する場面もあった。同社は今後、2026年戦略として高付加価値な複雑な製品やラテンアメリカ市場に注力する方針だが、2026年の売上高も約10%減収となる見通しである。欧州の「衛生上の主権」回復を掲げた同社の苦境は、中国勢の攻勢に対する欧州化学産業の脆弱さを浮き彫りにしている。