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フランス欧州ビジネスニュース2026年3月23日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年3月23日(フリー)
革新的なCO2回収技術を開発する仏スタートアップ企業、Carbon Cage

1.   仏スタートアップ、CO2回収に革新―「0度」の結晶化技術でコスト壁打破

2.    仏独KNDS、2026年上場へ―企業価値250億ユーロ、防衛覇権争い激化

3.   欧州防衛M&Aが空前の活況―取引額613%増も透ける自国第一主義

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1.   仏スタートアップ、CO2回収に革新―「0度」の結晶化技術でコスト壁打破

既存技術の課題である高コストを、大気圧下かつ0度近辺で動作する水和物結晶化技術で克服する。86兆ドル規模の市場を見据え、2035年までの工業化により膨大なエネルギー消費を抑えた炭素回収を目指す。
 
フランスのスタートアップ企業、Carbon Cage社が開発する革新的なCO2回収技術に関する要約である。
世界では年間約500億トンCO2が排出されているが、CCSU(炭素回収・利用・貯蔵)による回収量は5,000万トン未満に留まっている。GIEC(気候変動に関する政府間パネル)は、この市場が86兆ドル規模に達すると予測しているが、既存の回収技術は圧縮工程等で膨大なエネルギーを消費し、コストが高い点が課題であった。
サンテティエンヌ国立高等鉱業学校のスピンオフである同社は、クレーター・ハイドレート(ガス水和物)を活用した特許技術でこの障壁を打破する。この技術は、添加剤を加えた水を0度に冷却して結晶化させ、その中にCO2を閉じ込める手法である。従来の化学吸収法などが150度までの加熱や高圧圧縮を必要とするのに対し、本方式は大気圧下で動作し、0度から20度の温度差があれば運用可能であるため、エネルギー消費を大幅に削減できる。
同社は70万ユーロの資金で始動し、ドイツの鉄鋼メーカーやトルコの精製業者と提携して欧州のプロジェクトに応募した。600万ユーロの予算獲得を目指し、4年以内に共同でパイロットプラントを設置する計画である。また、2030年アルプス冬季五輪会場へのデモンストレーター設置を経て、2035年までの工業化(商業展開)を目指している。


2.    仏独KNDS、2026年上場へ―企業価値250億ユーロ、防衛覇権争い激化

仏独KNDSは2026年のIPOに向け、企業価値最大250億ユーロの評価獲得を目指す。仏政府は持ち株放出を12.5%以下に留め、独ラインメタルへの対抗と欧州防衛ハブとしての主導権維持を図る構えである。
 
仏独防衛大手のKNDSは、2026年の新規株式公開(IPO)に向けたキャンペーンを開始した。同社は地上戦兵器に特化した「純粋なプレーヤー」として、ライバルの独ラインメタル社による買収攻勢に対抗し、欧州の防衛ハブとしての地位を固める狙いである。


戦場での実績と相互運用性
ミュンヘンで行われたデモンストレーションでは、ウクライナのスカイエトン社のドローンとフランスの自走榴弾砲「カエサル」の連携が披露された。KNDSは、自社製品と他国製ドローンやロボットを統合する「オーケストレーター」としての能力を強調している。パートナー企業は、フランスのドレール社やエストニアのミルレム・ロボティクス社など2,000社に及ぶ。


企業規模と市場価値
KNDS
は、仏独統合から10年で売上高を約40億ユーロに倍増させた。2024年の受注額は230億ユーロに達し、そのうち149億ユーロをドイツ部門が占めている。市場では、上場時の企業価値は200億から250億ユーロに達すると予測されている。


資本構成と政治的バランス
現在、資本はフランス政府とドイツのボーデ・ヴェグマン家が50%ずつ保有している。上場に伴い、ドイツ政府が戦略的資産保護のために25.1%の拒否権付少数持分を取得する可能性がある。フランス側は強い支配力を維持するため、持ち株の放出を10〜12.5%程度に留める意向である。


今後の展望
上場によって得た資金は、次世代戦車開発や市場の統合に充てられる。将来的には、現在はジョン・コッカリル傘下にあるアルクウス社の買収によるフランス部門の強化も視野に入っている。
フランス政府には、ラインメタルの一強状態を避け、仏独が均衡する強力なKNDSを維持したいという戦略的意図がある。