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フランス欧州ビジネスニュース2026年3月20日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年3月20日(フリー)
仏Aura Aero社が仏に電動飛行機新工場建設の許可を取得。2028年稼働、2033年には年間150機の納入と1,600人の雇用創出を目指す

1.   航空宇宙:仏Aura Aero社、電動航空機工場の建設許可を取得

2.   仏、EU排出枠終了の10年延長を提案 、脱炭素と競争力の両立狙う

3.   仏、迫られる電力優先順位。データセンターが脱炭素の壁に

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1.   航空宇宙:仏Aura Aero社、電動航空機工場の建設許可を取得

仏Aura Aero社が仏に新工場建設の許可を取得。2028年稼働、2033年には年間150機の納入と1,600人の雇用創出を目指す。電動・ハイブリッド機の一貫生産体制を築き、持続可能な航空産業を牽引する。
 
フランスの航空機メーカー、Aura Aero(オーラ・アエロ)は、トゥールーズ・フランカザル空港近隣に新工場「Aura Factory」を建設するための建築許可を取得した。
この新工場は、12万4,500平方メートルの敷地に5万平方メートルの規模で建設される。同施設では、2人乗りの練習機「Integral」シリーズ(全電動モデルのIntegral Eを含む)や、19人乗りハイブリッド地域旅客機ERA」の設計、製造、組み立て、飛行試験、顧客への引き渡しまでを一貫して行う計画である。
今後のスケジュールとして、2026年後半着工(定礎)し、2028年の稼働開始を目指している。現在、同社は既存の施設で250人を雇用しているが、新工場の稼働が最大化する2033年には、年間150機の航空機を納入し、約1,600人直接雇用を創出する見込みである。
今回の許可取得に先立ち、環境当局から騒音生物多様性への影響に関する再評価を求められていたが、今回の進展によりプロジェクトは大きく前進した。同社は、フランス国内で革新的かつ持続可能な次世代航空機を生産し、地域に経済的価値をもたらすという野心的なビジョンを掲げている。


2.   仏、EU排出枠終了の10年延長を提案 、脱炭素と競争力の両立狙う

EUのETS改革を巡り、仏は排出枠終了期限を2050年まで延長し産業界に猶予を与える案を提示。将来のETS収入を担保に最大1000億ユーロを前倒し活用し、現状5%に留まる脱炭素投資の拡充と競争力維持を図る。
 
欧州連合(EU)は、重工業の脱炭素化を目的とした排出量取引制度(ETS)の改革を巡り、重要な局面に立っている。中東情勢による化石燃料価格の高騰を受け、イタリアなどの一部加盟国は制度の停止を求めているが、フランスは制度の根幹を維持しつつ、柔軟な対応策を提案している。
フランス案の柱は、当初2039年に設定されていた排出枠の終了期限を2050年まで10年間延長することである。これは、産業界の脱炭素化が想定より遅れている実態を踏まえ、排出枠の上限を引き上げることで企業に時間的猶予を与える狙いがある。2005年から2024年の間に発電・産業部門の排出量は半減したが、目標達成への道のりは依然として険しい。
また、資金面での支援策として、将来のETS収入を担保に欧州投資銀行(BEI)から融資を受ける「フロントローディング」という仕組みを提唱している。これにより、無料割当が削減され始める2030年から、最大1000億ユーロの資金を前倒しで活用することが可能になる。現在、炭素市場の収益のうち産業部門の脱炭素化に充てられているのはわずか5%に過ぎない。
この提案には、産業界が求める無料割当の2034年以降の継続や、国ごとの資金配分比率といった課題も残る。しかし、価格シグナルを維持しつつ投資を促進することで、2026年から導入された国境炭素税とともに、欧州産業の競争力維持と気候変動対策の両立を目指すものである。