フランス欧州ビジネスニュース2026年3月19日(フリー)
1. 再軍備の波に乗り利益55%増 仏防衛テック、機雷掃討でNATOと大型契約
2. 廃カーボン再生に革新、仏スタートアップが航空機廃材の循環を加速
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1. 再軍備の波に乗り利益55%増 仏防衛テック、機雷掃討でNATOと大型契約
Exail社は欧州の自律型機雷掃討ドローン市場を牽引している。2025年の受注額は87%増の8億4400万ユーロと過去最高を記録。地政学的緊張を背景とした軍備需要が成長を支える重要な示唆となっている。
フランスの防衛関連企業Exail Technologiesは、機雷掃討に特化した自律型ナバルドローン(無人船)の分野で欧州のリーダーとしての地位を確立している。同社の業績は、地政学的緊張の高まりや欧州の再軍備を背景に、極めて好調に推移している。
2025年の受注額は前年比87%増の8億4400万ユーロと過去最高を記録した。受注残高は11億ユーロ(同52%増)に達し、将来に向けた高い透明性を確保している。売上高も前年比28%増の4億7900万ユーロと大幅に伸長した。
主な成長要因は、売上の約80%を占める航法・海洋ロボティクス部門である。同社は、ベルギーおよびオランダ海軍に対し、世界初の完全統合型自律機雷掃討システムを納入した。財務面では、EBITDAが40%増の1億300万ユーロに達し、営業利益も55%増の7100万ユーロを記録した。
2026年も勢いは継続しており、NATO(北大西洋条約機構)から約4000万ユーロ規模の水中デミニング(除雷)ロボット数百台の供給契約を獲得した。今後は機雷掃討以外のロボティクス応用、特に水上ドローン「DriX」の商用展開も目指している。
同社は2026年も2桁の増収を予測しており、需要拡大に対応するため、今後2年間で航法事業に最大1500万ユーロの追加投資を行う計画である。株式市場もこの成長を評価し、株価は年初から60%上昇している。
2. 廃カーボン再生に革新、仏スタートアップが航空機廃材の循環を加速
仏Fairmat社は独自技術で炭素繊維をリサイクルし、機械的特性を70%維持しつつ新品の10〜15%のコストで再生する。26年に500トンの処理を目指し、航空機廃材を他分野や次世代機へ回す循環型経済を推進中だ。
フランスのディープテック企業であるFairmatは、航空宇宙産業から排出される炭素繊維複合材料(カーボン)の廃棄物リサイクルを加速させている。2020年に設立された同社は、独自の特許技術である「コールドプラズマ」法を採用しており、素材の機械的特性を70%維持したまま回収することに成功している。この手法は、新品の素材と比較して10%から15%のコストで生産可能である。
現在、同社はナントとソルトレイクシティに計5,000平方メートルの生産拠点を持ち、さらに中国での物流拠点の開設も進めている。2024年末までに50トンの再生実績を上げ、2026年には500トンの処理を目指している。エアバスやダッソー・アビエーションなど10件の戦略的提携を通じ、将来的には年間3,000トンの回収能力を確保する計画である。
再生された材料は、現在バボラのラケットやサロモンのスキー板といったスポーツ用品、自動車、建設分野へ供給されている。航空業界の認証には約20年という長い年月を要するため、まずは他分野での循環実績を積み上げている。最終的には、エアバスとの提携を通じて再生材料を次世代航空機の製造ラインへ戻す「サーキュラーエコノミー」の実現を目標としている。同社はこれまでに累計で約1億300万ユーロ(直近の2025年4月には6,100万ユーロ)の資金調達を実施し、従業員数は100名規模に達している。