フランス欧州ビジネスニュース2026年3月16日(フリー)
1. 空の脱炭素革命へ、積載60トンの巨大飛行船が2027年に初飛行
2. 仏Engie、チリ再エネ比率79%へ急拡大、石炭火力撤退と蓄電池導入を加速
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1. 空の脱炭素革命へ、積載60トンの巨大飛行船が2027年に初飛行
フライング・ホエールズは、2027年の初飛行を目指し、積載量60トンの巨大飛行船「LCA60T」による貨物輸送の脱炭素化に挑む。今後10年で160機を運用予定で、物流革新と産業主権の確保を示唆している。
フランスのスタートアップ、Flying Whales(フライング・ホエールズ)の執行責任者であるヴァンサン・ギブーは、巨大飛行船による貨物輸送の脱炭素化に挑んでいる。彼はエコール・ポリテクニーク出身で、NASAの資金援助による博士論文執筆や、ミサイルメーカーMBDAでの次世代対戦車ミサイル開発を経て、2020年に現職に就任した。
プロジェクトの概要と展望
2012年に始動したこのプロジェクトは、フランス政府やアキテーヌ地方、エア・リキードなどが出資している。現在、200名の従業員を抱え、以下の計画を進めている。
- 製造拠点: 2026年秋にフランスのジロンド県で工場の着工を予定しており、カナダにも拠点を設ける計画である。
- 人材育成: 2026年後半にアジャンで操縦士や整備士の養成センターを開設する。
- 運用目標: 今後10年間で160機の飛行船を運用することを目指している。
機体の性能と特徴
開発中の飛行船「LCA60T」は、全長200メートル、全高50メートルという、パリのグラン・パレに匹敵する巨大なサイズを誇る。
- 積載能力: 最大60トンの貨物を運搬可能である。
- 初飛行: 2027年の飛行開始を予定している。
- 用途: 森林管理(ONF)やエネルギーインフラ(Engie Green)、さらにはアリアングループのロケット輸送など、85以上のパートナーと提携している。
ギブーは、複雑な技術と政治・商業的課題が絡み合うこの事業を「フランスの卓越性の結晶」と捉え、物流の革新と主権の確保に邁進している。
2. 仏Engie、チリ再エネ比率79%へ急拡大、石炭火力撤退と蓄電池導入を加速
仏Engieのチリ法人は、2025年に過去最高のEBITDA6.51億ドルを記録。再エネ比率は79%に急増したが、送電網不足による電力廃棄が課題だ。脱炭素とインフラ拡充の両立が、事業成長の重要な鍵である。
フランスのエネルギー大手Engieは、チリでの再生可能エネルギー事業を加速させている。同社チリ法人の2025年のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は、前年比26%増の6.51億ドルに達し、グループ全体の5%を占める過去最高益を記録した。
チリはアタカマ砂漠の日照やパタゴニアの強風など、世界屈指の自然条件を備えている。Engieは2045年までのカーボンニュートラル実現を掲げ、チリ国内では2027年までに2.5GWの再生可能エネルギー容量を目指している。その一環として、1915年設立のトコピジャ石炭火力発電所などを閉鎖・転換し、2027年までに残る2基の石炭火力も停止する計画である。
しかし、供給過剰とインフラ不足が課題となっている。北部の鉱山地帯で生産された膨大な電力を需要の多い中部・南部へ送る送電網が不足しており、2024年には約5.9TWhもの電力が廃棄された。これに対し、同社は267MWの容量を持つBESS(蓄電池エネルギー貯蔵システム)の導入や、南米全土で計5,800kmに及ぶ送電網の管理・拡充を進めている。
チリの電源構成における再生可能エネルギー比率は、2015年の22%から2025年には約79%へと急拡大した。今後は、新政権による投資承認手続きの簡素化などを追い風に、さらなる投資加速が見込まれる。