フランス欧州ビジネスニュース2026年2月5日(フリー)
1. プラスチックの化学リサイクルで革新を起こすスタートアップ、仏Bobine
2. グリーンエコノミー:仏GravitHyがFosで新しいモデルを推進
3. アグリボルタイクス :大規模施設の出現前に、農村部でプロトタイプが増殖
4. 低迷する仏グリーン産業の現状と課題
5. 仏防衛産業、2年間で1000億ドル以上の受注を獲得予定
6. PFAS汚染:リヨンで実験的な水処理炉を開発
7. 分析記事:仏原子力スタートアップの不確かな未来
8. 原子力発電:ブライエ原子力発電所では、「太陽光発電が原子炉の運転に根本的な変化をもたらしている」
9. 「我々の問題はヨーロッパの技術革新であり、ズックマン税ではない」:ノーベル経済学賞受賞者フィリップ・アギオンの警鐘
10. レアアース:中国に対抗し、欧米が協力開始
11. 欧州ディープテック投資の現状と汎欧州ディープテックファンドの台頭
1. プラスチックの化学リサイクルで革新を起こすスタートアップ、仏Bobine
フランスのスタートアップ企業「Bobine」は、埋め立てや焼却処分されるしかない再生困難なプラスチックを対象とした画期的なケミカルリサイクル技術を開発している。同社は、産業化を加速させるために1,300万ユーロ(うち750万ユーロはエクイティ)の資金調達を実施した。
Bobineの技術は、従来の化石燃料による熱を利用した分解(パイロライシス)とは一線を画す。不均一系触媒と電磁誘導を組み合わせ、電気を用いてプラスチックを分解する。このプロセスにより、バージン材と同等の品質を持つ新たなポリマーへと再生が可能である。従来の蒸気クラッキング工程を回避できるため、エネルギー消費量を60%削減し、生産コストを45%抑えることができる。
この技術はフランス国立科学研究センター(CNRS)などの研究から誕生した。現在はミシュランの材料センター内に、1日あたり最大100kgの廃棄物を処理できるパイロットプラントを設置している。今回の資金により、処理能力を1日1トンへと拡大した実証プラントの開発を目指す。
欧州のケミカルリサイクル業界は、経済性や環境負荷の観点から課題も多いが、同社は2025年から石油化学メーカーとの提携を通じて収益化を開始している。安価な中国産プラスチックの流入が問題となる中、欧州内での持続可能なリサイクル技術として期待されている。
2. グリーンエコノミー:仏GravitHyがFosで新しいモデルを推進
マルセイユ・フォス臨海工業地帯では、従来の縦割り型から脱却した新たな産業シナジーのモデルが構築されつつある。その象徴が、脱炭素鉄製造プロジェクトのGravitHy、イタリアの鋼鉄大手Marcegaglia、そしてフランスの再生可能燃料企業Elyse Energyによる協力合意(MoU)である。
2022年に始動したGravitHyは、2030年までの低炭素鉄製造を目指している。一方、2024年にアススメタル社を買収したMarcegagliaは、供給網の主権確保のため一次生産への参入を図っている。ここに、e-メタノールやe-SAFを製造するNeocarbプラットフォームを展開するElyse Energyが加わることで、単なる供給関係を超えた連携が実現する。
この3社は、物流面での共同管理を検討している。具体的には、鉄道インフラの運用や、船舶・送迎・給食などのサービスの相互利用が挙げられる。さらに、規制対応や環境活動の調整も共同で行う方針だ。生産面では、Marcegagliaの工程で発生するCO2を回収し、Neocarbの合成燃料製造に活用するほか、共同の電力貯蔵プラットフォームの創設も視野に入れている。
エネルギー資源や資金調達の課題に直面する中、こうした手段の共有と産業間の相乗効果は、欧州におけるグリーン産業の新たな標準モデルとなる可能性を秘めている。マルセイユ・フォス地区は、革新的なアプローチを通じて、持続可能な産業拠点へと変貌を遂げようとしている。