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フランス欧州ビジネスニュース2026年2月25日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年2月25日(フリー)
AI搭載ロボットで1,400人超の治療実績を持つ仏Quantum Surgicalは米企業買収により新体制を確立

1.        医療ロボット : 仏Quantum Surgical が米 NeuWave Medicalを買収する理由

2.        野菜を育てるフランスAI企業「Policloud」

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1.        医療ロボット : 仏Quantum Surgical が米 NeuWave Medicalを買収する理由

仏Quantum Surgicalは米企業買収により新体制を確立した。AI搭載ロボットで1,400人超の治療実績を持つ同社は、2030年に200億ドル規模となる市場で、遠隔治療や適応拡大を通じ医療の民主化を加速させる構えだ。


フランスの医療ロボット企業Quantum Surgical(クアンタム・サージカル)に関する動向の要約は以下の通りである。
買収と米国ホールディングスの設立
2017年
にベルタン・ナウムによって設立された同社は、2026年2月24日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン子会社のNeuWave Medical社を買収した。これに伴い、新組織Precision IO Group Inc.を米国に設立し、同グループ傘下の実質的な米国企業へと体制を移行した。新CEOには医療機器分野で実績のあるカート・アザーバージンが就任している。
技術的強みと市場展開
同社の主力製品である医療ロボット「Epione(エピオーネ)」は、ロボット技術とAIを組み合わせ、腹部や肺の切除不能な腫瘍を治療する。皮膚から針を刺入する低侵襲な経皮的腫瘍焼灼術を支援し、呼吸する患者の軟部組織にある数ミリ単位の標的を正確に捉える。

  • 実績: 欧州および米国で承認済み。約20の病院に導入され、1,400人以上の治療実績がある。
  • 買収の利点: 全米主要がんセンターの70%で採用されているNeuWave社のマイクロ波焼灼技術を取り込むことで、米国市場への浸透を加速させる。

今後の戦略
世界の医療ロボット市場は、2023年の約83億ドルから2030年には200億ドルに達すると予測されている。同社はこの成長市場において、以下の戦略を推進する。

  1. 適応拡大: 現在進めている骨腫瘍などの臨床試験を通じ、全身の腫瘍への適用を目指す。
  2. 遠隔治療: 熟練医の不足を解消するため、遠隔操作による治療手順の確立を目指し、医療の民主化を図る。

今回の買収は、消耗品メーカーがロボット企業を買収するという従来の業界構造を逆転させた画期的な事例である。


2.        野菜を育てるフランスAI企業「Policloud」
 
Policloudは、AI計算の排熱を農業に再利用する分散型クラウド基盤だ。7.5Mユーロを調達し、26年までに100台設置と売上1億ユーロ、3年以内に10億ユーロを目指す。

カンヌを拠点とする同社は、コンテナ型の分散型クラウド基盤「Policloud」を提供している。このシステムは、AI人工知能)プロジェクトに必要な高度な計算能力を提供すると同時に、稼働時に発生する排熱を農業用グリーンハウスの暖房に再利用する仕組みである。これにより、農家はカーボンニュートラルな熱エネルギーを得られるほか、計算能力の販売を通じて投資の回収や追加収益を期待できる。
同社のソリューションは、データセンターの構築が困難な中小企業や自治体、さらに主権的AIを求める多国籍企業からも注目を集めている。OSや言語モデルをカスタマイズでき、最大400個GPUを搭載可能という柔軟性が強みである。
経営面では、昨年6月750万ユーロ(企業価値約2,000万ユーロ)を調達した。現在の従業員数は12名だが、数ヶ月で約1,000万ユーロの売上を記録している。今後の計画として、2025年8台を導入し、2026年までに100台の設置と売上高1億ユーロの達成を目指している。さらに2030年までには設置数を1,000台に拡大し、3年以内に売上高10億ユーロに到達するという野心的な目標を掲げている。激しい市場競争の中、この持続可能なコンピューティングモデルの真価が問われている。