フランス欧州ビジネスニュース2026年2月19日(フリー)
1. 水素:パイオニア・Lhyfe、フランスで最大の電解装置プロジェクトを維持
2. 欧州のグリーンスチールの課題に対するフランスの回答、GravitHy
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1. 水素:パイオニア・Lhyfe、フランスで最大の電解装置プロジェクトを維持
フランスの水素エネルギー先駆者であるLhyfe社は、国内従業員の約半数を削減する検討に入るなど厳しい経営状況にある。市場の立ち上がりの遅れや高コストを背景に、ポワトゥー地方での100MW級計画を断念した一方、イゼール県のル・シェイラにおけるプロジェクトは「戦略的」拠点として維持され、2026年末の稼働を目指している。
この計画は、アスコーメタル社の工場跡地を利用し、同社にとってフランス最大規模となる10MWの電気分解能力を備えるものである。地域連合のHYmpulsion社と10年間の長期契約を締結しており、年間600トン(日産約1.6トン)の水素を優先的に供給する。これは地域が進める水素モビリティ支援の一環であり、導入予定の50台の水素バスなどの燃料として活用される。
事業費は1MWあたり約300万ユーロ、総額約3000万ユーロにのぼると推定される。欧州の「公正な移行基金」から550万ユーロ、クリーン水素パートナーシップから75万ユーロの助成を受けている。供給先は交通分野に留まらず、近隣のマイクロエレクトロニクスや化学などの産業界へのグリーン水素提供も視野に入れている。
現場ではすでに5MWのモジュール2基が到着しており、既存拠点の技術を応用した大規模化が進む。電力はPPA(電力販売契約)を通じて調達される。また、隣接するサヴォワ県では鉄鋼メーカーのウジテック社と連携した脱炭素化プロジェクトも検討されており、2030年の冬季五輪を見据えた水素エコシステムの拡大が期待されている。
2. 欧州のグリーンスチールの課題に対するフランスの回答、GravitHy
フランスのフォスで進行中のGravitHyプロジェクトは、2030年までに年間200万トンの直接還元鉄(DRI)を生産することを目指している。これはグリーンスチール(低炭素鋼)の原料であり、欧州の産業主権と脱炭素化を支える重要な鍵となる。
プロジェクトは着実に進展しており、まもなく許認可の申請が行われる予定である。2027年前半には工場の建設を開始し、最終的には500人の直接雇用を創出する計画だ。総投資額は22億ユーロにのぼり、2025年3月には6000万ユーロのシリーズA資金調達を完了している。今後は政府の支援や欧州のイノベーション基金を活用しつつ、さらなる資金調達を進めていく。
GravitHyの戦略の核は「協力」にある。イタリアのマルチェガリアやリオ・ティントといった大手企業を株主に迎え、共通のバリューチェーン内で各社の強みを活かす体制を構築している。また、製造プロセスの脱炭素化には電化が不可欠であり、フォス工業地帯への40万ボルト超高圧送電線の整備がプロジェクト成功の決定的な要因となっている。
国際競争において、フランスの低炭素で安価な電力は大きな武器である。欧州の境界炭素調整メカニズムなどの規制強化を追い風に、域内生産の需要確保を狙う。地政学的な不安や経済の逆風の中でも、物流の要所であるフォスの利点を最大限に活用し、コスト管理を徹底することで、欧州の産業レジリエンス(回復力)と自律性の確立を追求し続けている。