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フランス欧州ビジネスニュース2026年2月13日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年2月13日(フリー)
化粧品や皮膚科治療、さらには将来的な治療薬を凍結状態で処方する革新的な技術を開発している仏Frozmetics(フローズメティクス)

1.        マイクロエレクトロニクス: 仏Effiblue、希少金属の代替品を開発

2.        化粧品から冷凍医薬品まで、仏Frozmeticsの約束

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1.        マイクロエレクトロニクス: 仏Effiblue、希少金属の代替品を開発
 
グラースで開発された、炭素を主成分とする新素材「ジネスティウム(Ginestium)」が、マイクロエレクトロニクス分野で注目を集めている。この素材は、ナノ構造炭素が多層に重なった「グラフェンのパイ」のような構造を持ち、高い導電性耐食性軽量性、そして赤外線反射特性を備えている。
2017年に設立されたエフィブルー(Effiblue)社が、10年に及ぶ研究を経て開発したこの素材は、銀や銅といった一般的な金属だけでなく、イリジウムロジウム白金(プラチナ)パラジウムといった希少金属(レアメタル)の代替となる可能性を秘めている。特に、年間約10億台が生産される携帯電話アンテナや、車載GPSセンサー電極ICカード金メッキ代替など、市場規模が5,000億ドルを超えるマイクロエレクトロニクス市場において、その潜在需要は極めて大きい。また、その軽さから宇宙産業からも関心を寄せられている。
現在、この素材の実用化に向けて「MAGIC」と呼ばれるコンソーシアムが組織されている。2024年末に始動したこのプロジェクトには、エフィブルー社を筆頭に、電子設計のシムズ(Symes)社や機械工学のアヴァンティス(Avantis)社、さらにフランス国立科学研究センター(CNRS)などの研究機関が参画している。その主な目的は、製造工程の工業化(プレ工業化)と、詳細な特性評価による産業応用の妥当性確認である。
この3年間の計画には、フランス2030の一環として、総予算289万ユーロのうち、国と地域圏から176万ユーロの助成が行われている。すでに2件の特許が寄託されており、今後は共同開発契約を通じた商業化を目指している。資源の枯渇や地政学的リスクが顕在化する中、環境負荷が低く高性能なジネスティウムは、技術的自立を支える次世代の鍵となる素材であるといえる。


2.        化粧品から冷凍医薬品まで、仏Frozmeticsの約束

フランスのグラースを拠点とするスタートアップ企業、Frozmetics(フローズメティクス)は、化粧品や皮膚科治療、さらには将来的な治療薬を凍結状態で処方する革新的な技術を開発している。
ウェルネス業界では現在「冷たさ」がトレンドとなっており、クライオセラピー(低音療法)の市場は、2024年78億ドルから2035年には130億ドルに達すると予測されている。この追い風の中、同社は2023年に設立され、マイナス20度の極低温を天然の防腐剤として利用する「クライオコスメティクス(低温化粧品)」の研究を進めている。
同社の特許技術の大きな特徴は、凍結状態でありながら、解凍を待たずにクリームやジェルとして即座に使用できる特殊な処方にある。この技術により、通常は混ぜると互いに劣化してしまうビタミンレチノールのような、本来不可能な成分の組み合わせが可能になり、ケアの有効性が飛躍的に高まる。
現在、10名体制の同社は、大手化粧品メーカー3社との概念実証(PoC)を控えている。特にデルモコスメティック(皮膚科学化粧品)分野に注力しており、放射線治療による副作用である放射線皮膚炎の痛み緩和と修復を目的とした処方を開発した。これについては、50名の被験者を対象とした6ヶ月間の臨床試験が予定されており、結果は2026年12月に発表される見通しである。
さらに同社は、マイクロバイオーム(微生物叢)のバランスを整える「凍結医薬品」の開発も見据えている。湿疹やニキビなどの原因に対し、冷温で保存された生きた細胞を用いて肌を再建するという、従来の対症療法を超えた革命的な治療法の実現を目指している。