フランス欧州ビジネスニュース2026年2月11日(フリー)
1. 蓄電池:アンジェに拠点を置くSTIFグループ、アジアで加速
2. 台湾のProLogium社 、ダンケルクに巨大バッテリー工場の建設を開始
3. 宇宙:仏Reuniwatt、衛星通信の飽和に対処するためにレーザーに賭ける
4. 仏AIサミットで1,090億ユーロの投資が約束されてから1年、新しいデータセンターの計画が具体化
5. 1,000社のスタートアップ、45,000人の雇用:AI 、フランスのテクノロジー業界を席巻
6. 脱炭素化: ArcelorMittal以外にも、汚染が最も深刻な上位50カ所の仏工場は、目標達成にはまだ程遠い状況
7. 自動車:ドイツ企業はドイツに背を向けつつある
8. 中国ではトラックの29%が電気自動車、フランスでは2%。「ヨーロッパは中国メーカーに市場を明け渡すのか?」
9. 医薬品化学:「植物はヨーロッパを希少金属への依存から解放できる」
10. 汚染:ロビイストに脅かされている欧州の化学物質に関するREACH規制
11. 電力:EDFによると、停電を避けるためには、最低限の数の原子炉を電力網に接続する必要がある
1. 蓄電池:アンジェに拠点を置くSTIFグループ、アジアで加速
フランスのメイン=エ=ロワール県に拠点を置く爆発防護システムの専門企業STIFが、アジア市場での需要急増により驚異的な成長を遂げている。同社はバッテリー貯蔵システム(BESS)向け防護ソリューションの主要サプライヤーであり、特にアジア地域が成長の原動力となっている。
アジアにおけるBESS関連の売上高は、2024年の700万ユーロから2025年には約2400万ユーロへと3倍に急増した。現在、アジアは同社のBESS部門売上の約45%を占めている。この躍進を支えているのは、テスラやサングロウ(Sungrow)、トリナ・ソーラー(Trinasolar)といった業界大手との取引である。特にテスラとは、上海のメガファクトリー向けに2026年に2500万ユーロ規模の取引が見込まれる戦略的契約を更新している。
生産体制については、上海近郊の蘇州工場が中核を担っている。同拠点では過去2年間で従業員数を倍増させ、2024年から2025年にかけて200万ユーロを投じて設備を近代化した。さらに2026年には約130万ユーロの追加投資を予定している。また、将来の戦略的市場としてインドへの進出も視野に入れている。
グループ全体の2025年の売上高は、前年比47.8%増の9050万ユーロに達した。2026年にはBESS部門が総売上の70%を占める見通しであり、2030年までに売上高2億ユーロを目指している。同社の株価は2023年末の市場上場以来上昇を続け、2026年1月23日時点で66ユーロを記録している。
2. 台湾のProLogium社 、ダンケルクに巨大バッテリー工場の建設を開始
台湾の電池メーカー、ProLogium(プロロジウム)は2026年2月10日、フランスのダンケルクで欧州初となるギガファクトリーの起工式を行った。当初の計画より1年遅れの着工である。この遅延は、同社が航続距離を伸ばす「次世代全固体電池(リチウムセラミック)」の技術を、より高度な「第4世代」へ移行させる決定をしたためである。
総投資額は52億ユーロにのぼり、そのうち15億ユーロは政府の補助金で賄われる。生産計画では、2028年に量産を開始して0.8GWh、2030年に4GWh、2032年には12GWhを目指す。将来的には市場の需要に応じて最大48GWhまで拡張する可能性も示している。
しかし、足元の経営環境は厳しい。欧州の自動車メーカー各社が電気自動車(EV)への完全移行を減速させており、Stellantis(ステランティス)などが電池工場の建設計画を一時停止している。また、先行する欧州勢のNorthvolt(ノースボルト)の破綻も影を落としている。
ProLogiumは、メルセデス・ベンツなどを株主として擁し、資金調達の継続に向けて自信を見せている。しかし、本格的な黒字化までの道のりは険しく、巨額の資金確保が今後の鍵を握る。欧州の電池産業が「死の谷」に直面する中、同社のプロジェクトが計画通りに進展するか、真価が問われている。