3 min read

フランス欧州ビジネスニュース2026年1月30日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2026年1月30日(フリー)
仏Atosの製品部門であるEviden社、1秒間に100京回以上の演算が可能な「エクサスケール」スーパーコンピュータを、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)へ供給予定

1.        モザンビークLNGガスメガプロジェクトがTotalEnergiesの戦略にとって重要な理由

2.        フランス、スーパーコンピューターのリーダー

3.        自動車:下請け業者の連鎖的な閉鎖

4.        会計検査院、再び、仏国家財政の「憂慮すべき」状態について警告

5.        トランプ大統領に見捨てられた英国、欧州との不可能な「ブレグジット・リセット」を模索

6.        トランプ大統領と欧州の間で孤立した英国、中国との関係改善が「不可欠」

7.        1952年以来最悪の年:イギリスの自動車産業は苦戦

8.        PFAS汚染:EUにとって最大1.7兆ユーロの巨額なコスト

9.        石油、ガス:欧州のトランプ大統領への約束が果たされない理由

10.   貿易戦争でヨーロッパがアメリカよりも損失を被る理由


1.        モザンビークLNGガスメガプロジェクトがTotalEnergiesの戦略にとって重要な理由
 
仏石油大手TotalEnergiesは、治安悪化により5年間停止していたモザンビークでの巨大天然ガスプロジェクト「Mozambique LNG」の再開を正式に発表した。本プロジェクトは、2021年に過激派の襲撃を受けて不可抗力(フォースマジュール)を宣言し、中断を余儀なくされていたが、同国のDaniel Chapo大統領との式典を経て本格的に再始動する。
このプロジェクトは、TotalEnergies26.5%、日本の三井物産20%の権益を保有するほか、インド勢や地元国営企業も参画している。推定埋蔵量は1兆8,000億立方メートル(石油換算で120億バレル相当)に上り、投資総額は240億ドルから250億ドルに達する。すでに工程の40%が完了しており、約4,000人の労働者が現場に投入されている。
稼働開始は2029年を予定しており、当初は年間1,300万トンの生産を目指す。将来的に年間4,300万トンまで拡大する可能性もあり、同社のガスポートフォリオの最大20%を占める戦略拠点となる。これにより、ロシア撤退後の米国依存を解消し、ポートフォリオを再構築する狙いがある。
一方、環境NGOなどからは2021年の襲撃事件に関連した「戦争犯罪への加担」等の訴えや、環境負荷への批判が続いている。しかし、市場は再開を好感し、同社の株価は2%以上上昇した。本プロジェクトにより、モザンビークのGDPは現在の2.5%から、2029年以降は年10%の成長が見込まれている。


2.        フランス、スーパーコンピューターのリーダー

フランスのEviden社は、1秒間に100京回以上の演算が可能な「エクサスケール」スーパーコンピュータを、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)へ供給する。この新型機「アリス・ルコク」は、米国に3台、中国に数台存在するのみの最高峰の性能を持つ。同社はドイツに続き2回目の納入となり、欧州市場での首位を誇示している。
この計算能力により、複雑な物理現象のシミュレーションが劇的に高速化される。従来100日を要した計算が、わずか24時間で完了する見込みだ。用途は医薬品の開発、自動車の衝突試験、核兵器の有効性評価など多岐にわたる。
システムの構築には高度な技術が必要である。総重量280トンに及ぶ約100台の筐体を支えるため、設置拠点では床の補強や膨大な配線、冷却システムの整備が行われた。事業費は5年間の運用を含め5億ユーロに上る。
Evidenは、かつてのBullAtosの流れを汲む企業である。同社のハイパフォーマンス・コンピューティング部門の売上高は、2024年6億5000万ユーロから2025年には8億ユーロへ拡大する見通しだ。国家主権の維持を重視するフランス政府は、同部門を一時的に100%公的資金による管理下に置く方針である。基幹部品に米国製のチップを使用しつつも、製造コストの70%を欧州圏内で占めており、今後はさらなる内製化と、民間向け小型モデルの普及による市場拡大を目指している。