フランス欧州ビジネスニュース2026年1月2日(フリー)
1. クラーケン:エネルギー供給会社がいかにしてソフトウェア大手になったか
2. ヒューマノイドロボットの舞台裏で働いている多くの人間のパイロット
3. 債務、AIバブル、価格競争…2026年の10大経済課題
4. ガス:バイオメタン生産により消費者のガス料金が上昇する理由
5. フランスの新車販売台数、2025年に5%減少
6. エアバス、広大な中国市場でボーイングに対する優位性を強化
7. SpaceXは競争相手を圧倒し、ヨーロッパはアリアン6で面目を保つ
8. 欧州の新しい炭素国境税を完全に理解するための5つの質問
1. クラーケン:エネルギー供給会社がいかにしてソフトウェア大手になったか
英国のエネルギー市場に旋風を巻き起こしたOctopus Energyは、自社開発のソフトウェアプラットフォームであるKrakenの独立性を高め、その事業を加速させている。2025年12月、D1 Capital PartnersやFidelity Internationalなどの投資家が10億ドル相当の株式を取得したことで、Krakenの企業価値は87億ドル(約90億ドル)と評価された。今回の取引は、将来的な株式公開(IPO)も視野に入れた、同ソフトウェア部門の正式な独立に向けた布石である。
Krakenは、顧客管理やエネルギー需給の最適化を行うクラウド型プラットフォームだ。自社での利用にとどまらず、EDF EnergyやENIといった競合他社にも提供されている。エネルギー価格が変動しやすい再生可能エネルギーへの転換が進む中、1日あたり150億件ものデータを処理し、電気自動車の充電やヒートポンプの稼働を最も安価な時間帯に調整する技術への需要は急増している。
Octopusの2025年4月期の売上高は137億ポンドに達したが、ソフトウェア部門であるKrakenは、親会社を凌ぐ高い利益率を背景に、さらなる成長が期待されている。現在、世界中で約7,000万件の顧客アカウントがこのシステムに接続されているが、Krakenはさらなる規模拡大を目指している。アル・ゴア元米副大統領の基金も出資する同社は、SAPやSalesforceといった既存の巨人に加え、最適化技術の分野ではTesla Energyとも競合しながら、エネルギーDXの覇権を狙っている。
2. ヒューマノイドロボットの舞台裏で働いている多くの人間のパイロット
2025年10月28日、米国とノルウェーの企業である1X Technologiesは、家庭用ヒューマノイドロボット「NEO」を発表した。月額499ドルで家事全般を代行し、最大25キログラムの運搬が可能である。しかし、実際の検証では、複雑な家庭環境において完全な自律走行は難しく、VR(仮想現実)ヘッドセットを用いた人間による遠隔操作に大きく依存している実態が明らかになっている。
この技術は、自律化が困難な精密作業や、危険な環境下での労働を安全な場所から行う手段として注目されている。例えば、英国のExtend Roboticsは、高電圧バッテリーの組み立て作業を遠隔地から行う技術を提供している。これにより、高コストな安全装備を省き、生産性を向上させることが可能となる。
一方で、遠隔操作ロボットは労働力のオフショア化(海外移転)を加速させている。日本のスタートアップTelexistenceは、東京のコンビニでの商品補充を、人件費の安いフィリピンから遠隔操作することでコストを削減している。また、Amazonの「Just Walk Out」システムも、実際にはインドの拠点にいる大量のスタッフが確認作業を行っていたと報じられている。
専門家は、ロボットによる100%の自動化は非現実的であり、80%を機械が、残りの20%を人間が補助する体制が現実的であると指摘している。今後、ロボット技術は人間の完全な代替ではなく、遠隔操作や監督を通じた「人間と機械の協調」によって発展していく傾向にある。
3. 債務、AIバブル、価格競争…2026年の10大経済課題
フランスと欧州は、2026年を不透明な経済・地政学的状況の中で迎えている。世界的な関税戦争や債務問題、技術市場の混乱など、直面する10の主要な経済課題を以下にまとめる。
2026年の主要な経済課題
第一の課題は、フランスの予算編成である。政府は赤字幅を3%未満に抑えるよう欧州連合から圧力を受けているが、議会の混乱により予算の不透明感が続いている。第二に、アメリカとの関税戦争が挙げられる。2025年4月2日の「解放の日」以降、米国の平均関税は3%から17%へと引き上げられた。米中間の休戦協定も2026年下半期に期限を迎え、緊張が再燃する恐れがある。
第三は、対中貿易摩擦である。欧州の対中貿易赤字は2024年に3500億ドルに達し、中国による報復関税の応酬が激化している。第四に、フランスの債務危機が深刻である。2026年の借換額は3100億ユーロに達する見込みであり、公的債務残高は3兆5000億ユーロを超えた。これにより、フランスの長期金利は**3.5%**まで上昇している。
第五の課題は、ファストファッションへの規制である。欧州市場には毎秒145個もの小包が流入しており、2026年7月から輸入小包に3ユーロの税が課される予定である。第六に、ウクライナ情勢による影響がある。紛争の長期化は欧州予算を圧迫し、欧州中央銀行(ECB)はインフレと景気停滞の板挟みとなっている。
第七は、原油価格の動向である。供給過剰によりバレルあたり60ドル前後で推移しているが、中東等の地政学的リスクには依然として脆弱である。第八に、レアアースの供給不安がある。中国が抽出の60%、精錬の90%を独占しており、これを「経済的武器」として利用している。
第九の課題は、メモリチップの不足である。人工知能(IA)需要の爆発により、供給不足と価格高騰が起きており、スマートフォン価格が20〜30%上昇する懸念がある。最後に、AIバブル崩壊のリスクである。現在、ハイテク株はS&P 500の35%を占めており、バブルが弾ければ4兆5000億ドルが消失する可能性がある。