フランス欧州ビジネスニュース2026年1月13日(フリー)
1. フランス初の防衛技術ユニコーン企業、Harmattan AI
2. ArianeGroup、アリアン6号の打ち上げ率を倍増すると発表
3. 衛星: Eutelsat、スターリンクとAmazon LEOに対抗する準備完了
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1. フランス初の防衛技術ユニコーン企業、Harmattan AI
地政学的な脅威が欧州で高まる中、フランスの国防スタートアップであるアルマタンAI(Harmattan AI)が、ダッソー・アビエーションをリード投資家として2億ドルの資金調達を実施した。これにより同社の企業価値は14億ドルに達し、フランス国防セクター初のユニコーン企業となった。ウクライナ戦争を機に国防分野への投資熱が高まる中、ENS(高等師範学校)とポリテクニーク出身の25歳の経営者、ムアド・ムガリが率いる同社は、軍事ドクトリンの変化を象徴する存在である。
同社は小型ドローンや迎撃機、監視機のほか、指揮統制プラットフォームを開発している。2025年にはフランス国防装備庁(DGA)から1,000機、英国軍から3,000機の契約を獲得し、実績を積み上げた。生産体制も急速に拡大しており、2026年2月中旬に新工場が稼働し、同年6月には月産1万機まで引き上げる計画である。
今回のダッソーとの提携は、単なる資金調達にとどまらず、産業面での相乗効果も狙っている。アルマタンAIは、ダッソーが手掛ける次世代戦闘機(ラファールF5や無人機UCAS)向けに、無人航空機制御のためのAI(人工知能)機能を開発する。ダッソーのエリック・トラピエCEOは、機敏な革新企業との連携が次世代戦闘システムの自律性強化に不可欠であると述べている。
マクロン大統領も、この動きをフランスの戦略的自律と技術的優位性を高める「素晴らしいニュース」として歓迎している。かつて稀であった大手防衛企業と新興企業の連携は、軍事費増強を背景に一般化しつつあり、フランスのテック業界にとって大きな機会となっている。
2. ArianeGroup、アリアン6号の打ち上げ率を倍増すると発表
エアバスとサフランの合弁子会社であるアリアングループは、新世代ロケットアリアン6の本格稼働と防衛部門の強化により、力強い復活を遂げている。2025年は同社にとって極めて良好な1年となり、アリアン6は初打ち上げ以降、計5回のミッションを成功させた。打ち上げ頻度は加速しており、2025年の4回から2026年には7〜8回へと倍増し、将来的には年間約10回の安定稼働を目指している。特に2月には、最大顧客である米アマゾンの衛星コンステレーション向けに、約22トンの搬送能力を持つ「アリアン64」構成での打ち上げが予定されている。
民間宇宙輸送の進展に加え、防衛分野での貢献も顕著である。核抑止力を担うミサイルM51の第3世代モデルの運用開始や、次世代版M51.4の開発契約締結など、フランスの国防戦略を支えている。さらに同社は、極超音速滑空体の開発や、欧州に深部打撃能力を取り戻すための戦域弾道ミサイル(MBT)の生産再開に向けた調査を完了した。宇宙防衛の重要性が高まる中、フランスとドイツの協力を軸とした民軍両用の事業構造が大きな強みとなっている。
一方、将来の競争力確保に向けた取り組みも加速している。子会社のマイア・スペース(Maia Space)は、2026年末に小型ロケットの初打ち上げ、2028年にはその再使用型バージョンの運用を計画している。今月にはノルマンディー地方のベルノンに1万平方メートルの新工場を建設開始し、フランス領ギアナのクールー宇宙基地では旧ソ連のソユーズが使用していた発射台の改修を進めている。すでにフランス軍などから受注を獲得しており、事業化に向けた基盤を固めている。
課題は、欧州内での「欧州優先(欧州の公的機関は欧州のロケットを使うこと)」の原則の徹底である。米国の公的機関が自国製ロケットを優先し一括発注を行うのに対し、欧州の公的機関は依然として契約ごとに交渉を行う傾向がある。経営陣は、約350億ユーロというドイツの巨額宇宙防衛投資などを念頭に、米スペースXからシェアを奪還すべく積極的な営業活動を展開している。アリアングループは現在、売上高約25億ユーロを民生・軍事で二分しており、アリアンスペースの完全子会社化などを通じて、不確実な国際情勢下での自律的な宇宙アクセス維持に自信を深めている。