フランス欧州ビジネスニュース2026年1月12日(フリー)
1. 仏Vusion、店舗のAI化で過去10年間年平均30%の成長
2. 石油:ベネズエラに駐在する欧州グループは米国に見放されたくない
3. JNPR、伝統的な蒸留技術と現代の健康志向を融合させ、急速な成長
4. 宇宙サービス専門企業テレスパツィオ・フランスの目覚ましい成長
5. ドイツでノンアルコールビールの「革命」:不況にあえぐビール醸造業者に一筋の希望の光
6. ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン:「欧州の遅れの根拠となるデータは、想像以上に脆弱だ。」
7. 「西欧諸国では、米国との『脱落』は普遍的なものではなく、一部の国はこの傾向に逆行している。」
8. ノーベル経済学賞受賞者アギオン氏:「欧州連合の弱さは否定できない」
9. 航空産業:アジアによるレアアースの支配に対抗する航空業界
10. なぜEDFと長期契約を結んだことがフランス企業にとって良い兆候であるのか
11. 自動車:中国のモデルからインスピレーションを得る
1. 仏Vusion、店舗のAI化で過去10年間年平均30%の成長
ニューヨークで2026年1月11日から13日まで開催されている世界最大の小売展示会「NRF」にて、店舗のデジタル化で世界をリードするフランス企業VusionのCEO、ティエリー・ガドゥが「インテリジェント・コマース」の展望を語っている。
ガドゥは、オンラインと実店舗は対立するものではなく、店舗はむしろ戦略的資産として「ライブ音楽」のような体験価値を提供し始めていると指摘する。同社は米小売最大手のウォルマートと数千億円規模の巨大契約を締結しており、現在、ウォルマートの全4,600店舗のうち約半数にVusionのソリューションが導入されている。このシステムは、電子棚札、カメラ、センサーなどのIoT機器をAI(人工知能)と統合することで、欠品防止や棚出しの効率化、EC注文の準備加速を実現している。
顧客体験の面では、AIが音声やスマートフォンを通じて買い物をナビゲートする「シームレス」な環境が構築されつつある。例えば、特定の料理に必要な食材の場所を指示したり、健康指標や予算に合わせた商品をリアルタイムで提案したりすることが可能になる。これにより、現在消費者がブランドから提供されている特典(プロモーション)の10%未満しか享受できていない現状を打破し、購買力を高める「ゲームチェンジャー」になるとしている。
経営面において、実店舗のデジタル化は、高額で収益性の低い巨大ECプラットフォームを構築するよりも効率的である。小売メディアによる広告収入を含めれば、営業利益率を1.5ポイントから2ポイント押し上げる効果があり、これは業界標準をほぼ倍増させることを意味する。
Vusionは過去10年間、年平均30%の成長を遂げており、2025年の売上高は前年比約50%増の15億ユーロに達する見込みである。世界で350の小売業者を顧客に持ち、6億個以上のIoT機器を導入している同社は、研究開発(R&D)に売上の5%を投資し、AIへのシフトを加速させることで、2026年以降もさらなる市場シェアの拡大と成長を見込んでいる。
2. 石油:ベネズエラに駐在する欧州グループは米国に見放されたくない
2026年1月、ドナルド・トランプ米大統領はベネズエラの石油生産再開に向け、米石油大手との協議を開始した。この動きは、同国に歴史的な拠点を置く欧州企業にとっても極めて重要である。フランスのモーレル・エ・プロム(Maurel & Prom)、イタリアのEni、スペインのレプソル(Repsol)の3社は、2025年5月の米制裁強化により輸出ライセンスを剥奪され、収益凍結などの苦境に立たされてきた。
特にレプソルは、ベネズエラ国内でPDVSAとシェブロンに次ぐ第3位のオペレーターであり、2024年には日量6万7,000バレルを生産している。同社とEniはベネズエラ側に対し約60億ドル(約52億ユーロ)の債権を抱えており、制裁下で停止した原油現物による債務回収の再開を待ち望んでいる。また、中堅のモーレル・エ・プロムも、収入の3分の1が凍結されるという「不当な状況」の打破を求めている。
トランプ氏は世界最大の埋蔵量を誇るベネズエラの石油を自国の管理下に置く意向を示しており、米企業に優先権が与えられるのは確実である。しかし、長年の危機で老朽化したインフラの再建には膨大な投資が必要であり、リスク分散の観点から欧州企業との合弁事業が検討される可能性がある。一部でトタルエナジーズのような撤退組もいるが、バローレック(Vallourec)などの関連企業は市場再開放を注視している。欧州の既存プレイヤーは、この巨大な再建プロジェクトにおいて、初期の再始動を担うシグナルとしての役割を期待されている。