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フランス欧州ビジネスニュース2025年9月12日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年9月12日(フリー)
中国のE-Commerce 大手JD.com

1.        フランス、TikTokに関して厳しい報告書

2.        FNAC Darty : 中国のJD.comによるドイツ株主の買収提案に仏財務省が注目

3.        バイオ燃料:中国の波を受けて、欧州、メルコスールからの低コスト輸入を懸念

4.        テクニップ・エナジーズ、5年ぶりの買収を完了

5.        セイルGP、強力な追風が吹く新種のセーリング競技

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8.        アイルランドの小売業者Primark、低価格戦略を支えるレシピ

9.        EU、2035年に予定されている内燃機関車の廃止について「できるだけ早く」見直す予定

10.  衛星:フランスの新興企業Skynopyとユーテルサット、革新的な提携を締結


1.        フランス、TikTokに関して厳しい報告書


 記事によれば、議員のLaure Millerは、未成年に対するTikTokの心理的影響を調査した国会調査委員会の報告書を発表し、委員長のArthur Delaporteと共に厳しい結論を示した。6か月の調査で、90時間の公聴会と178人の証言を集めた結果、TikTokのアルゴリズムは若者を「有害なバブル」に閉じ込め、自殺自傷行為摂食障害などのリスクを悪化させると結論づけられた。
報告書はまた、注意力の低下、睡眠障害、特に少女における自己肯定感の低下といった間接的影響も指摘した。さらに、2023年から2024年にかけて26%減少したフランス語圏のモデレーション要員や、未成年が金銭をやり取りするLive Match、安価商品を流通させるTikTok Shopなどの危険性を強調した。
委員会は抜本的な対策を勧告している。具体的には、15歳未満のSNS利用禁止、15〜18歳に対する22時から8時までのデジタル夜間外出禁止令、未成年向けの「For You(おすすめ)」フィードの廃止、無限スクロールや有償ライブ配信の禁止、さらに欧州の安全なシステムによる年齢確認の義務化である。また、プラットフォームは売上の一部をモデレーションや「信頼できる通報者」の資金に充てるべきであり、親が子どもを過度に露出させた場合には「デジタル過失罪」を適用すべきと提言している。
最後に、Arthur Delaporteはユーザーの「生命の危険」を理由にパリ検察庁へ告発を行い、違反が繰り返されればTikTokの完全閉鎖も選択肢に入ると警告している。


2.        FNAC Darty :中国のJD.comによるドイツ株主の買収提案に仏財務省が注目


中国の大手JD.comは、ドイツの流通大手Ceconomyに対して22億ユーロの買収提案を行った。CeconomyはFNAC Dartyの第2位株主(議決権21.9%)であり、この買収はフランスにも影響を及ぼす可能性がある。
フランスの経済財務省(Bercy)は、今回の案件について事前承認を義務づけ、JD.comの欧州およびフランスにおける戦略、とりわけ流通分野における意図の説明を求めた。審査は30日間で行われ、不十分な場合はさらに45日延長される。結果は、無条件承認、条件付き承認、または阻止のいずれかとなる。
一方、MediaMarktSaturn(欧州で1000店舗)を持つCeconomyの本拠地ドイツでも、連邦カルテル庁や経済省による審査が進行中であるが、政治的な反発は少なく、同社は2026年前半の取引完了に自信を示している。


3.        バイオ燃料:中国の波を受けて、欧州、メルコスールからの低コスト輸入を懸念


 欧州のバイオエタノールおよび次世代バイオ燃料産業は国際競争により深刻な打撃を受けている。メルコスールとの自由貿易協定により、820万ヘクトリットル、すなわち欧州生産の約12%に相当するブラジル産バイオエタノールの輸入が認められた。当初想定より市場規模が2〜3倍も小さい現状では、これは価格下落を招きかねない。ブラジル産はコストが低く、関税も3分の1に削減されるためである。
同様の事例として、イギリスでは米国との通商協定後、関税なしの輸入割当が導入され、主要工場2カ所が閉鎖に追い込まれた。フランスでも状況は厳しく、2010年には生産の30%を輸出していたが、現在では消費の30%を輸入に依存している。さらに、電気自動車の普及見込みが投資意欲を低下させている。
また、次世代バイオ燃料も危機にある。シェルがロッテルダムで計画していた年産82万トン規模の持続可能燃料工場は競争力不足を理由に中止された。加えて、アジアからの輸入品は不正が横行しており、パーム油の過剰使用や偽装廃油の輸出が問題となっている。EUは2026年から厳格な検査導入を予定しているが、具体策は未だ示されていない。ドイツは制度改革を準備しているが、フランス国内のプロジェクトは停滞している状況である。