フランス欧州ビジネスニュース2025年9月11日(フリー)
1. AI向け電子回路:NVIDIA、シンティル・フォトニクスの株式を取得
2. アメリカの関税に直面、ボルドーワイン、アジアをターゲットに
3. ビールに続き、スフレモルト、コーヒーとチョコレート市場に進出
4. 政府によるロードマップがなく、仏エネルギー業界、不確実性を抱えたまま
5. 休暇中に病気になった従業員は休暇を延期できる、仏破毀院による判決
6. ドラギ報告書から1年、エネルギーは依然として欧州の弱点
7. 自動車:欧州委員長、フランスとドイツに対するブリュッセルの配慮
8. 電気自動車:フォンデアライエン氏、「中国にこの産業を乗っ取られたくない」
9. 重要金属:ボルドー近郊の精錬所は、国の重大な公共利益プロジェクトに緊急で指定
10. トータルエナジーズ、液化天然ガスの需要増加に期待
11. スウェーデンの決済サービス「Klarna」の成功物語
1. AI向け電子回路:NVIDIA、シンティル・フォトニクスの株式を取得
グルノーブル発のディープテックであるScintil Photonicsは、Yotta CapitalとNGP Capitalが主導し、BNP Paribas、Boschのコーポレートベンチャー、Innovacom、Bpifranceが参加、さらにNvidiaが出資者として加わった第3回資金調達で5,000万ユーロを調達したのである。2018年にCEA-Letiとの研究から創業した同社は、シリコン・フォトニクス(photonique intégrée sur silicium)によりAIデータセンターの銅配線を光接続へ置き換え、爆発的に増えるトラフィックに対して高速かつ省エネの伝送を実現することを狙うのである。初製品の統合回路Leaf-Lightは1枚のチップに16本のレーザーを内蔵し、銅接続比で消費電力を5分の1に抑えつつ、AIデータセンターの「バックボーン」となることを目指すのである。事業モデルはファブレスであり、製造は台湾と米国の大手ファウンドリに委ね、グルノーブルとトロントに跨る従業員は約30名、さらに米国と英国に子会社を開設して生産・採用・海外展開を加速しているのである。より広いフォトニクス競争の文脈では、NvidiaがQuantum-XとSpectrum-Xを発表し、2025年末から2026年末にかけてエネルギー効率を3.5倍に高める計画を示し、AMDもEnosemiを買収したのである。アナリストはXPU相互接続の市場が2029年までに250億ドルを超え、AIネットワークインフラが十年末には年間1,000億ドル規模に達すると見込んでいるのである。
2. アメリカの関税に直面、ボルドーワイン、アジアをターゲットに
米国市場の関税とドル安の影響で需要が縮小するなか、ボルドーのグラン・クリュはアジアへの軸足を強め、Pichon Comtesse Réserveのような銘柄がシンガポールや台湾で存在感を示している一方、米国ではMouton Cadetが価格を17.99ドルに据え置き、約25%の販売減を回避する戦術を取っているのである。グラン・クリュの輸出は昨年12.3億ユーロに達し、なかでもタイは2%(台湾・シンガポールと同水準)と注目先であるが、依然として米国( 23% )、中国( 17% )、英国( 17% )、スイス( 9% )が上位であり、そのすぐ後ろに日本、ドイツ、アラブ首長国連邦、ベルギー、カナダ(各3%)が続く構図である。観光に支えられたタイは関税を大幅に引き下げたものの、市場はなお若く、支払リスクへの警戒から中国市場で一般的であった与信慣行ほどには踏み込めないのが実情である。成長余地としてはベトナムも注目され、中間層の拡大とラグジュアリー志向が追い風となる。他方、インドは150%の税が重くのしかかるが、長期的には有望なエルドラドと見なされており、将来的な開放に期待が寄せられている。さらに、EU-メルコスール協定が発効し、条件次第で関税がゼロまで引き下げられれば、生産者に新市場を開く可能性がある一方で、業界は正式文書の確定を見極めつつ戦略の調整を図る段階にある。
3. ビールに続き、スフレモルト、コーヒーとチョコレート市場に進出
世界最大のモルト企業である仏Soufflet Malt(仏InVivo傘下)は、2030年に向けた戦略でコーヒー、チョコレート、ノンアルコール飲料に軸足を広げ、依然として事業の90%超を占めるビールへの依存を下げる方針であり、2024年の売上高23億ユーロに続き、DiageoやPernod Ricard向けの9%にとどまる蒸留分野以外で成長を狙うのである。カカオ価格の4倍高騰(約1万ユーロ/トン)や気候要因によるコーヒー相場上昇を追い風に、同社はモルト由来コーヒー(バリスタと共同開発、ミュンヘンのdrinktecで9月中旬発表)やチョコレート向け処方、モルト・水・天然香料のみで作るソーダの開発を進める。フランスは世界モルト生産の30%を担い、世界で5本に1本のビールがフランス産モルトを用いるが、2024年の世界生産は2,470万トン(うち2,350万トンがビール、100万トン未満がウイスキー、40万トンがOvomaltineなどの食品用途)である。販売面では、カナダで来月にECを開始し、続いて米国でも展開して9,000超の小規模ブリュワリーに25kg袋でモルト・ホップ・酵母を提供し、2026年に欧州へ拡大する計画である。運用面では、Nogent-sur-Seineで試験したAIを全社展開して年間3〜5%の生産性向上を狙い、変動の大きいガス・電力コストを抑えつつ、バイオマスボイラー、ヒートポンプ、地熱の導入で2030年までに温室効果ガスを50%削減(直近2年で14%減)する目標を掲げ、エチオピアでのゼロエミッションサイトや太陽光・地熱案件(北米・中南米)に取り組み、5年で2億ユーロを投資するのである。顧客近接では、アフリカ南部(南アフリカ)でHeinekenの醸造所近接地に1億ユーロの新マルト工場を建設し、現地大麦生産者の品質向上を支援するとともに、2025年に2件の新規拠点計画を進める方針である。