フランス欧州ビジネスニュース2025年8月8日(フリー)

1. 仏既製服ブランドを次々と買収するブルターニュのボーマノワールグループ
2. ヨット:モナコ・マリン、ブラックストーン・グループ入り
3. ヨット市場の驚異的なブーム
4. トランプ大統領の関税がフランス経済に及ぼす影響
5. 放射線科医、薬剤師など…医療関係者、社会保障制度のコスト削減に協力を要請される
6. ダノン、アメリカのケフィア専門店ライフウェイの買収に3度目の挑戦
7. ドイツ軍需大手ラインメタルの驚異的な成長
8. 電気バッテリー:アメリカのグループLyten、Northvoltの資産を買収
9. 付加価値の高いフィンランドのトロール、ムーミン
10. SpaceXが火星探査で前例のないパートナーシップをイタリアと締結
1. 仏既製服ブランドを次々と買収するブルターニュのボーマノワールグループ
ローラン・ボーマノワが1981年に創業したボーマノワ・グループは、フランスのプレタポルテ市場で際立った存在となっている。2024年には売上高30億ユーロ、世界40か国以上に2,700以上の店舗、従業員数15,000人以上を誇っている。
近年、同グループは経営難に陥ったブランドを相次いで買収してきた。ジェニファー、ラ・アル、そしてナフナフ(Naf Naf)の一部買収(2025年8月)がその代表例である。また、2024年6月には、クイックシルバー(Quiksilver)、ロキシー(Roxy)、ビラボン(Billabong)、DCシューズなどのボードライダーズブランドの西ヨーロッパでのライセンス取得も実現した。
2020年から2022年にかけては、キャロル(Caroll)、ラ・アル、およびオンライン販売サイトのサランザ(Sarenza)を取得した。これにより、実店舗とEコマースの両面で展開が可能となり、物流面では2002年に設立された子会社C-Logが統合的に支えている。
ナフナフの店舗網は、他ブランドの地域展開の強化に活用され、またサランザを通じたオンライン再展開も計画されている。フランス国内では、200の提携企業(500店舗)と50のフランチャイズ加盟店を有し、同グループは今やフランスのテキスタイル・ライフスタイル分野の有力企業である。
2. ヨット:モナコ・マリン、ブラックストーン・グループ入り
アメリカのSafe Harbor社は、ミシェル・デュクロスが所有する地中海沿岸の造船所グループ「Monaco Marine」の買収を完了した。この買収により、ヨーロッパ市場への本格進出が実現し、すでに保有するアメリカとカリブ海の139のマリーナ(うち85ヶ所が修理サービスを提供)を補完する形となった。
ミシェル・デュクロスは1995年に事業を開始し、モナコやマルセイユなどに8つの造船所を構築。グループの年間売上高は1億ユーロ以上に達していた。
Safe Harborは、2025年2月にブラックストーン(Blackstone)によって56億ドルで買収されており、その支援のもとでさらなる拡大を目指している。CEOのバクスター・アンダーウッドは、競合から市場シェアを奪うのではなく、「市場全体を成長させる」方針を掲げている。
ヨットが冬はアメリカ東海岸、夏は地中海に滞在することを踏まえ、両市場をカバーする体制を整えることは戦略的に重要である。また、ヨットがますます大型化・高機能化・高価格化している現在、設備投資と技術力の強化が不可欠であり、地方自治体との長期契約更新の交渉にも有利に働くと考えられる。
3. ヨット市場の驚異的なブーム
全長30メートル超のヨット市場は、数十年にわたって成長を続けている。2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック、および2022年のロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁などの危機を経ても、この高級市場は堅調である。
2008年には約3,300隻だったヨットの数は、2024年には6,000隻以上に増加した。SuperYacht Timesによると、2024年の市場規模は75億ユーロに達し、前年比で16億ユーロの増加となった。この成長は、2024年に228隻の新造ヨットが納入されたことに起因しており、これは2023年の205隻、コロナ前の2019年の162隻を上回る数字である。特に、全長100メートル超のメガヨットが5隻建造され、4億ユーロ超の売上を記録した。
また、中古ヨット市場も好調で、年間300隻以上が売買され、取引額は約50億ユーロに上る。さらに、現在700隻以上のヨットが建造中であり、マリーナやメンテナンス市場は今後数十年にわたり活況が続くと見られている。
この市場を支えているのは、富裕層の増加である。UBSによると、世界には現在5,200万人以上のミリオネアが存在し、これは2000年代初頭の約4倍にあたる。アメリカやヨーロッパに加え、アジアや湾岸諸国でも新たな需要が生まれており、高性能・高価格・高機能化が進むヨットの維持管理がビジネスの鍵となっている。顧客は基本的に高い支払い能力を持っており、この市場は極めて収益性が高いと評価されている。