フランス欧州ビジネスニュース2025年7月16日(フリー)

1. EDF、北米およびブラジル再生可能エネルギー事業、最大50%の資本開放を検討
2. フレンチテック:資金調達額、2020年以来最低水準
3. 空白の年、祝日、公務員…仏政府、財政再建計画の骨子を発表
4. 脱炭素化:欧州の港湾、電化埠頭で大きく出遅れ
5. 脱炭素化:セメントメーカー、予想以上に速いペースで脱炭素化が進行
6. 建築資材:オーストリアのウィーナーベルガー、フランスでさらなる事業拡大を目指す
7. フランスセメント産業の巨大変革の象徴、エアヴォール2025
8. アルストム、ドイツの鉄道復興計画からどのように利益を得たいのか
9. PFAS:ベルギー企業、PFASを除去する革新的なプロセスを開発
10. ルノーの株価、年間業績予想を引き下げたことで、15%以上下落
11. ヴォークリューズ県で、初の太陽光発電自転車道が整備される
1. EDF、北米およびブラジル再生可能エネルギー事業、最大50%の資本開放を検討
EDFは、北米およびブラジルにおける再生可能エネルギー事業の最大50%の資本開放を検討していることを正式に確認した。この決定は、特にEDF Renouvelablesが2024年に14億5,000万ユーロの純損失を計上し、売上高は24億ユーロであったという深刻な財務悪化を背景としている。
北米では、EDFの太陽光・風力発電能力の35%が集中しており、アメリカとカナダでの存在感が大きい。メキシコでは、先住民の権利をめぐる紛争を受け、完全撤退も検討されている。南米では、ブラジルがEDFにとって再生可能エネルギーとガス分野の主要市場である。
EDFは、国際展開戦略の一環として、2035年までの成長支援のために外部パートナーの資金を求めている。同時に、同社の負債総額は2024年に117億ユーロとなり、1年間で17億ユーロ増加した。特に、アメリカのAtlantic Shores洋上風力発電プロジェクトでは、9億ユーロの減損が発生している。
この方針は、フランス国内で進行中のEPR2原子炉建設プロジェクトへの集中とも関係している。労働組合側は、戦略転換の影響を懸念し、雇用や組織運営に関する説明を経営陣に要求している。現在、CGTは「警告権」の発動を主張しているが、CFDTやCFEはこれに同調していない。
2. フレンチテック:資金調達額、2020年以来最低水準
2025年上半期において、フランスのスタートアップ企業による資金調達総額は27億8,000万ユーロにとどまり、前年比35%減少した。EYによるベンチャーキャピタルの最新バロメーターによれば、資金調達件数も314件で、24%の減少となり、フレンチテックは2020年以来の最低水準に落ち込んだ。
1,000万ユーロ未満の資金調達も金額で17%、件数で28%減少し、例年堅調だった初期段階の投資にも影響が出ている。さらに、1億ユーロ規模の案件は、2024年の7件からKnave(フィンテック)とAlice & Bob(量子コンピューティング)の2件に減少した。
近年増加していたプレシード・シード投資ファンドの活動も、実際には経験豊富な起業家によるAIスタートアップに集中しており、結果的に評価額は2021年のバブル期並みに高騰している。
最も資金が集まった分野はソフトウェアであり、8億9,100万ユーロ(前年比39%減少)が投じられた。続いてグリーンテック(5億1,500万ユーロ, 53%減少)、フィンテック(4億8,700万ユーロ, 53%増加)が続く。Pennylaneは企業価値が20億ユーロに倍増した。
さらに悪いニュースとして、フランスはヨーロッパでの資金調達ランキングで2位から3位に転落し、ドイツ(36億ユーロ, −2%)に抜かれた。イギリスは依然として74億ユーロ(−12%)で首位を維持している。
ヨーロッパの資金調達上位10社にはフランス企業は含まれず、代わりにドイツ2社、イギリス3社、スウェーデン2社、スペイン2社、スイス1社がランクインした。最大の調達は、Helsing(600百万ユーロ)、Isomorphic Labs(545百万ユーロ)、GeoGuessr(462百万ユーロ)である。
3. 空白の年、祝日、公務員…仏政府、財政再建計画の骨子を発表
フランソワ・バイル首相は、フランスの財政再建計画の骨子を発表した。国家債務は2025年第1四半期時点で3兆3,454億ユーロ(GDPの113.9%)に達しており、バイル氏はこれを「真実の瞬間」と位置づけた。国の債務は1秒あたり5,000ユーロ増加していると警鐘を鳴らした。
計画は2本柱で構成される:債務削減と生産力回復。目標は2029年までに財政赤字をGDP比2.8%に抑えることであり、そのために必要な努力は438億ユーロ。そのうち300億ユーロは公共支出削減で賄う方針である。主な措置は以下の通り:
· 2026年の国家支出を2025年と同水準に凍結し、100億ユーロの節約を目指す
· 3,000人の公務員ポストを削減し、退職者の3人に1人のみを補充
· 年金、社会保障、給与の凍結(2026年)による「空白の年」を実施し、71億ユーロの削減
· 非効率な租税優遇措置(ニッチ)の見直しと、富裕層への新たな貢献金の導入(実質的な富裕税の復活)
· 医療費における55億ユーロの節約、および地方自治体に53億ユーロの負担軽減を求める
また、生産回復のために、復活祭の月曜日や5月8日などの祝日2日を廃止する提案も行った。「国全体がもっと働かなければならない」と強調した。加えて、失業保険制度の改革と「統一社会給付金」の創設も掲げている。
この計画は野党から激しい反発を受けている。社会党は「再建計画ではなく、フランスの社会モデルの破壊だ」と非難し、マリーヌ・ルペンも「このままでは不信任案を提出する」と警告した。
とはいえ、議会は夏季休会中であり、バイル氏には9月まで猶予がある。ただし、秋の議会再開後には不信任の可能性が高まっている。