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フランス欧州ビジネスニュース2025年7月11日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年7月11日(フリー)
 イタリア製菓大手フェレロ

1.        ディーゼルゲート:プジョーとシトロエン 、詐欺罪で訴訟を脅かされる

2.        フランス南西部では、航空業界がインドの多国籍企業の関心を集めている

3.        イタリア製菓大手フェレロ、朝食用シリアル専門の米企業WKケロッグを約31億ドルで買収することを発表

4.        フランスの若者、将来を心配し、大家族を諦める

5.        フランス、工場の減少が続く

6.        自動車:ドイツ高級車、中国と米国で苦戦

7.        欧州株式市場:欧州企業、第二四半期の業績が限定的な上昇になる可能性

8.        電気料金:政府の電気料金抑制計画に批判が殺到

9.        パリ市場、株式市場参入を促進するための処方箋


1.        ディーゼルゲート:プジョーとシトロエン 、詐欺罪で訴訟を脅かされる


2024年6月25日パリ検察プジョーシトロエンに対して、排ガス規制に適合しないディーゼル車を意図的に販売した容疑で、詐欺罪による裁判を求めた。
対象となるのは、2009年から2015年に販売されたユーロ5規格のディーゼル車 約200万台で、売上総額は339億ユーロに上る。これらの車両は、認証試験時のみ基準を満たすように特別に調整されており、通常の運転条件では窒素酸化物(NOx)の排出が基準を超えていた。これは「健康に危険」を及ぼし、特に呼吸器系疾患を引き起こす恐れがあるとされている。
ステランティス・グループに属するこの2社は、2021年6月9日と10日にそれぞれ予備起訴された。ジャン=マルタン・フォルツフィリップ・ヴァランら、複数の元経営陣も事情聴取を受けた。企業側は、ユーロ5の規制が不明確であることや、実際の使用状況に基づいた調整だったと主張している。
FNEグリーンピースUFC-ケ・シュジールジェネレーション・フュチュールなどの市民団体民事当事者として参加している。また、2024年3月にはフォルクスワーゲンに対しても同様の裁判が求められ、ルノーフィアット・クライスラーもすでに起訴済みで、調査が進行中である。
一方で、ルノーは最近、「詐欺的商慣行」として逆に訴訟を起こし、米国デラウェア州のファンドが、ディーゼルゲートに関する集団訴訟を営利目的に悪用していると非難している。


2.        フランス南西部では、航空業界がインドの多国籍企業の関心を集めている


インドの航空需要の急成長により、インドの大手工業グループフランスの航空機部品サプライヤーを次々と買収しようとしている。最新の事例は、Wipro Infrastructure EngineeringによるLauak社の資本の51%取得であり、これは1975年に創業され、2024年に売上高2億ユーロ従業員1,900人(うち700人がフランス在籍)という規模を持つバスク地方の企業である。この契約は2025年9月末に最終合意される予定で、世界的航空機部品企業の創出を目指している。
この動きは、インドの航空会社がエアバスに1,250機の航空機を発注したことを背景に、インドが航空産業における世界的な製造拠点を目指していることを示している。2024年3月には、インドのMotherson社11の生産拠点を持つAD Industries社を買収した。ただし、これらの買収には技術移転生産拠点の海外移転の可能性が懸念されており、現地労働者の間で不安も広がっている。
Figeac Aero社もまたインド企業のMahindra社と交渉を行ったが、価格面や経営体制の問題により交渉は停止している。一方、Tata社2025年1月ブレニャック(トゥールーズ近郊)に50人規模のITサービス拠点を設立し、より穏やかな形で航空産業への関与を深めている。
以上から、インドは航空機産業のグローバルプレーヤーとしての存在感を強めていると言える。


3.        イタリア製菓大手フェレロ、朝食用シリアル専門の米企業WKケロッグを約31億ドルで買収することを発表

イタリアの製菓大手フェレロは、朝食用シリアル専門の米企業WKケロッグを約31億ドル(負債込み)で買収することを発表した。この取引により、成長が鈍化していたWKケロッグウォール街からの撤退という形で再出発を図る。
フェレロの買収価格は1株23ドルであり、これは直近株価に対して30%、過去30日平均に対して40%のプレミアムを提供する、非常に魅力的な条件である。買収は全額キャッシュで実施され、評価倍率はEBITDAの約9倍、純利益の15倍と、業界平均並みである。
非上場の家族経営企業であるフェレロは、短期的利益に縛られず長期視点での経営が可能であり、アメリカ市場にも既に精通しているため、今回の買収リスクも抑えられると見られている。
また、WKケロッグから分離した企業ケラノヴァ(Kellanova)も、非上場の家族企業マース(Mars)による買収候補となっており、現在独占禁止法当局の承認待ちである。